老後の住まいは、マンションのほうがいいという意見が多いようですが、戸建てを選んだほうが快適な生活を送れるケースもあります。
老後の住み替え先を戸建てにすることには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。最近人気の「ミニ戸建て」とあわせて解説します。
目次
老後の住み替えで戸建てを選ぶメリット・デメリット
老後の住み替えで戸建てを選ぶことにはメリットとデメリットがあるため、両方を理解したうえで判断することが重要です。
メリット1:他人の気配を感じずに生活ができる
マンションは共同住宅であることから、上下左右に人の気配を感じながら生活することになります。そのため、お互い気を遣いながらの生活がストレスになる人には向いていません。
戸建ては敷地内の空間を所有することになり、さらにマンションよりも隣地との距離が離れています。このような特徴は家族だけの空間を確保できるというメリットになるため、他人の気配を感じずに生活したい人におすすめです。
メリット2:インドア系の趣味を楽しむことができる
ガーデニングや盆栽などは庭と日当たりが必要になることから、マンションには不向きの趣味といえます。
このように、ある程度の敷地を必要とする趣味を持っている人は、戸建てを選択することが多いです。また、マンションよりも敷地が広く部屋数も多い戸建てであれば、長年使っている思い出の品を収納しておくスペースを確保できます。
つまり、老後になるにつれ増える物や趣味に対応できるという点は、メリットになるといえます。
メリット3:資産価値の高い不動産を相続させやすい
子どもや孫に資産を残す場合、現金よりも不動産のほうが相続税対策になる(税金が安くなる)ことが多いです。
しかし、マンションは建物の経年劣化がそのまま資産価値に直結することから、築年数が古いマンションに住み替えをした場合は相続税対策としての効果は薄いといえます。
しかし、戸建てであれば建物の資産価値は減少したとしても、土地の資産価値は残ります。
このことからも、大きな地価変動が起きない限り戸建てのほうがマンションよりも資産価値形成としては優れているといえます。
デメリット1:メンテナンスや清掃が大変
戸建てへの住み替えはマンションよりも多くのメリットがある一方で、部屋数が多かったり2階部分があったりすることで清掃が大変といったデメリットがあります。
さらに、敷地が広いため草むしりや虫対策をする必要もあり、こうした工数は老後の大きな負担になる可能性があります。また、外壁や屋根などは定期的にメンテナンスすることになるため、ある程度のランニングコストを確保しておく必要があります。
マンションよりもランニングコストと工数がかかるという点は、知っておく必要があります。
デメリット2:2階をうまく活用できない
老後は平屋が望ましいといわれていますが、平屋には相応の土地面積が必要ですし、流通している物件も平屋より圧倒的に2階建てのほうが多いです。そのため、老後であっても2階建てを選択するケースがあります。
戸建てはマンションのようにワンフロアではないことから、老後は1階で生活する時間が長くなります。また、2階から1階へ移動する際の階段部分で転倒するリスクもあり、家の中を有効活用できなくなるという点はデメリットといえます。
老後の住み替えで戸建てを選ぶ際には2階部分の活用方法を十分に協議すべきです。
デメリット3:不便な立地になりやすい
戸建てはマンションよりも立地が悪くなる傾向にあります。そのため、スーパーや駅、病院が近くにない可能性があります。
このような状況で、車が運転できなくなると生活が不便になるデメリットがあります。老後の住み替えで戸建てを選ぶ際には、物件だけでなく周辺環境のチェックも重要といえます。
老後のおすすめのミニ戸建てとは
老後の住み替えに戸建てを選ぶことのデメリットを解消する方法として、「ミニ戸建て」という選択があります。
ミニ戸建てに定義はありませんが、一般に狭い土地に建てられるコンパクトな戸建てのことです。老後の生活に適している部分が多いため、住まい選びの選択肢に入れるとよいでしょう。
初期費用が抑えられる
ミニ戸建ては、建物がコンパクトになっているため、建築費、中古であれば購入費を抑えることができ、老後の資金を圧迫するリスクを下げられます。
また、壁と床面積が小さくなることから、外壁の修繕費用や固定資産税も抑えられるといった特徴もあります。
生活がしやすい
ワンフロアで生活できるミニ戸建ては生活動線がよく、段差による転倒事故も発生しにくいです。
生活導線がよいと掃除もしやすく、快適な生活環境で暮らすことできます。また、敷地が小さいことから草むしりや虫対策にかける工数も減り、戸建てがかかえるデメリットを解消することにもつながります。
老後の住み替えだけでなく老後を見越した住環境を確保するという意味で、ミニ戸建てを検討する若い世代も増えています。
間取りには注意点もある
便利な点が多いミニ戸建てですが、コンパクトな家になることから収納が少なくなるため、注意が必要です。思い出の品が多く、収納スペースが足りない場合は生活空間を圧迫するおそれもあります。
そのため、収納と間取りの広さは十分に検討する必要があるといえます。また、高齢者になると小さな段差でも転倒することが多くなり、玄関や土間といった段差にも注意すべきです。
ミニ戸建ては老後の生活向きの仕様となっているものの、老後の生活をより快適にするためにも細かい注意点を解消しておく必要があります。
老後の住まい選びにおいて欠かせないもの
老後の住まい選びは慎重に行う必要があります。老後は若い世代と違って住まい選びの失敗をリカバリーしにくく、失敗を抱えたまま生活することになります。
老後の住まい選びで重要なポイントを3つ紹介します。
・資金計画
・間取りと設備
・立地
資金計画
老後の生活に限らず、家づくりにおいて資金計画は重要です。
老後は収入の減少が見込まれるため、老後の生活にしわ寄せがいかないように資金計画を立てる必要があります。無理に高額な物件を購入してしまうと、老後の生活レベルが下がってしまったり、ローンが返済できなくなってしまったりするおそれがあります。
資金計画が成立する予算内で住み替えを検討することで老後の生活が困窮するリスクを下げられ、穏やかな生活を送ることができます。
間取りと設備
間取りや設備次第で、老後の生活が快適なものになるかどうかが決まります。
たとえば、空調設備をエアコンではなく床暖房にすることで、足元から暖かい健康的な生活を送れますし、ヒートショックの予防にもつながります。ほかにも、曲がり角が少ない直線的な間取りにすることで、生活がしやすく、身体への負担も最小限にできます。
このように、老後の生活をイメージしながら間取りを考えることが重要です。ハウスメーカーや不動産会社からのアドバイスを参考にすることをおすすめします。
立地
老後の生活を快適なものにするためには、物件だけでなく立地についてもこだわるべきです。
車や自転車に乗れなくなった場合、生活に必要な物は徒歩で買い物に行くことになります。その際に、スーパーやコンビニ、駅が遠いと身体への負担が大きくなってしまい、外に出なくなる高齢者も多いです。
外出の機会が少なくなると、認知症のリスクを高めてしまいます。そのため、立地がよく買い物や移動がしやすい環境を選ぶことが重要です。
不動産探しは運や縁、タイミングが重要です。土地や戸建て探しに関する相談は早めにすることをおすすめします。
住み替えに関する流れや費用、タイミングなどに関してはこちらでも詳しく紹介しています。
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