日本はこれまで多くの地震が発生しており、気象庁からも南海トラフに対しての注意喚起がされています。
南海トラフ以外にも大地震を発生させるプレートは日本各地に点在していることから、「地震が怖くて家が買えない」と感じている人は多いです。しかし、地震や家についての正しい知識を身につけることで、リスクの軽減が可能です。
家を購入したあとに、地震が発生した場合の具体的なリスクや被害を避ける方法について解説します。
目次
地震が怖くて家が買えない?どんなリスクがある?
「地震が怖くて家が買えない」と考えている人は多いですが、家を購入したあとに地震が発生した場合、具体的にはどのようなリスクがあるのでしょうか。
家を購入した場合、地震発生に伴うリスクについて解説します。
家が倒壊する
最も大きな被害として考えられるのが、せっかく購入した家が倒壊してしまうリスクです。
住み替えや単身赴任といった理由で一時的に生活拠点が変わるのではなく、生涯住むと決めた家が倒壊してしまうことは経済的にも精神的にも大きな打撃となってしまいます。
その結果、被災後にストレスを抱えてしまい心が病んでしまう人もいます。家という大きな財産を喪失してしまう可能性が地震の大きなリスクといえます。
火災が発生する
内閣府の発表した「東日本大震災における火災の発生状況」によると、2011年に発生した東日本大震災における火災は378件発生しており、その内地震が原因となったのは163件とのことです。
また、火災発生の約6割が電気系統からの出火となっており、倒壊した家から出火することも考えられます。
さらに火災は延焼する可能性もあり、家が無事であっても隣地から燃え移ることがあります。このことからも、地震対策は火災対策も同時に実施しておくべきといえます。
ただし、こうした火災リスクは持ち家だけでなく賃貸でも同様に発生するため、賃貸暮らしであっても火災対策は必須です。
住宅ローンの債務だけが残ってしまう
家が倒壊してしまうと住む場所がなくなってしまいますが、住宅ローンは家が損失した場合でも免除となることはなく、支払いの義務は残ってしまいます。
このような事態になってしまうと、賃貸にすぐ生活拠点を移動できたとしても住宅ローンと賃料が家計を圧迫してしまい、被災前よりも苦しい生活になってしまうこともあり得ます。
金融機関によっては住宅ローンの元本部分のみ返済を待ってくれるケースもありますが、利息部分の支払い義務は毎月継続されますし、返済額が減るわけではないためいつかは返済しなければなりません。
そのため、地震によって住宅ローンを抱えたまま家が住めない状態になってしまうと、被災後の生活が大きく変化してしまうリスクがあります。
土地の納税義務は継続される
家が倒壊、もしくは住めない状態になっても住宅ローンの返済義務は残りますが、土地の固定資産税や都市計画税の納税義務も継続します。
家屋は申請することでこれらの税金を免除することが可能ですが、土地については財産として判断されてしまいます。
その結果支払い義務が残ってしまい、住宅ローンと同様に家計を圧迫する原因になるケースも多いです。
再建築不可物件になってしまう
家を購入することは不動産を保有することになりますが、将来的に売却できるというメリットもあります。
しかし、震災を受けた家や土地は資産価値が大きく減少し、土地の地盤が危険な状態に変化してしまうと事実上家を建てることができなくなってしまいます。
このような状態になってしまうと再建築不可物件として扱われ、売却して資金に充当することが困難です。
さらに、このような状態になっても税金の支払い義務は継続されてしまうことから、資産運用という点で大きなリスクといえます。
地震被害を避けるために必要な2つの要素
地震の被害によって家という大きな財産が損失する可能性はありますが、ポイントを押さえることで、リスクを0に近づけることも可能です。
地震被害を回避するための要素を紹介します。
災害に強い立地を選定する
地震被害のリスクを軽減するためには、立地の選択が重要です。
自然災害による被害を予測し、被害範囲を図示したものを「ハザードマップ」といいます。ハザードマップを有効に利用することで、被害リスクを押さえられます。
国土地理院が公開している「重ねるハザードマップ」やジャパンホームシールド株式会社が公開している「地盤サポートマップ」などを活用し、災害に強いエリアを探すことが重要です。
また、地盤の強度が高い土地かどうかを調べることは地震対策だけでなく、注文住宅を建てる際や将来建て替えする際の地盤改良費を節約するうえでも重要です。
日本の土地=地震のリスクが高いと判断するのではなく、正しいデータを使って検討する必要があるといえます。
地震に強い家を建てる
地震に強い家を建てることで、倒壊したり住めなくなる状態になったりすることを防げますが、それ以外にも安全場所の確保としても有効です。
たとえば、耐震性を表す指標として「耐震等級」というものがあります。耐震等級は1~3までの等級があり、耐震等級3は最も高い耐震性能を持つ建物ということになります。
耐震等級3の家であれば公民館や学校と同レベルの強度を保有していることになり、地震発生時はむしろ家にいたほうが安全といえます。
また、太陽光や蓄電池を搭載している家であれば電力が絶たれても家電を使うことができることから、最低限の生活を維持できます。
そのため、家を購入するためには耐震性を重視すべきといえます。
建物構造や立地以外で必要な対策とは
耐震性が高い家やハザードマップに強い立地を選ぶことは重要ですが、これ以外にもやっておくべき地震対策があります。
避難場所を確認する
ハザードマップは現地の浸水被害や津波災害のレベルを把握するだけでなく、避難場所や経路もチェックできます。
こうした情報はいざとなった際にすぐ避難できるという安心感につながることから、家を購入する前に調べ、家族と情報を共有しておきましょう。避難場所まで実際に歩いて、経路やかかる時間を確認しておくと、なおよいでしょう。
防災グッズを用意する
懐中電灯や水、非常用のスマートフォンバッテリーなどをカバンに入れ、玄関の近くに置いておくことがポイントです。
防災の備えについては、首相官邸の「災害が起きる前にできること」にて詳しい解説があるため、参考にするとよいでしょう。
また、その中に家の権利証や保険証書なども入れておくとスムーズに保険の請求などが可能となるため、おすすめです。
地震対策を家屋に施す
家具の転倒防止器具や地震の際に棚をロックする耐震ラッチなどはホームセンターで購入ができ、家の購入後すぐに導入すべき備品です。
総務省消防庁の「地震による家具の転倒を防ぐには」によると、地震発生時のケガの原因は
46%が家具等の転倒落下であるとのことです。
つまり、耐震性の高い家であっても家具の転送防止などの対策は必須といえます。
地震保険の内容は必ずチェックする
火災保険とセットで加入する地震保険は、地震による被害の補償という意味で重要な役割を担っています。
たとえば、地震保険の保険料が安いとランニングコストは下がりますが、万が一の被災時に十分な補償を受けられないおそれがあります。
そのため、保険料と補償内容のバランスをチェックしておくことは重要です。
地震に対して必要以上に怖がらない
日本に住むのであれば、どの地域であっても地震のリスクがあります。しかし、不必要に怖がることなく正しい知識やデータをもとに判断することをおすすめします。
そのうえで耐震性の高い家やハザードマップに強いエリアで希望の家を見つけることができたのであれば、積極的に検討してもよいでしょう。
希望するエリアについて詳しく知りたい場合は、そのエリアに詳しい不動産会社に相談することもリスクを軽減させる方法といえます。