病気で住宅ローンが払えないときの対処法|保険が使えない場合はどうする?

下を向く女性

年齢を重ねるごとに病気やケガを負うリスクは高まります。病気やケガが原因で住宅ローンを払えなくなるケースは住宅購入者の誰もが抱えるリスクです。

病気やケガが原因で住宅ローンの支払いが苦しいとき、どのような対処法があるのでしょうか、保険が使えない場合についても解説します。

病気で住宅ローンが払えない。まずは保険の確認を!

病気になってしまい住宅ローンが払えなくなるかもしれないとき、一番にすべきは保険の確認です。保険にはさまざまなタイプがありますが、その中でも特に住宅ローンの返済に関係のある保険を紹介します。

団体信用生命保険の活用と具体的なケース

団体信用生命保険は、住宅ローンを組むときに一緒に契約することが多い保険で、団信とも呼ばれています。

フラット35など例外はありますが、基本的には住宅ローンの契約は団信への加入がセットです。そのため、まずは団信の保障が適用されるかどうか確認しましょう。

手元に住宅ローンの契約書類があれば、団信の内容を確認できます。また、住宅ローンを契約している金融機関に問い合わせしたり、金融機関のネットバンキングでも確認できるでしょう。

団信の代表例と保障内容

団信にはさまざまなタイプがあり、契約している団信によって保障内容が変わります。

団信の種類保障内容
団信死亡・高度障害
がん団信死亡・高度障害・がん
3大疾病保障団信死亡・高度障害・がん・脳卒中・急性心筋梗塞
8大疾病保障団信死亡・高度障害・がん・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧症・慢性腎不全・慢性膵炎・肝硬変・糖尿病

契約している団信によって変わりますが、条件を満たすと保険金が支払われ、住宅ローンが完済されます。ただし、保障対象の病気になっただけでは保険金が支払われないケースがあったり、保険金の額が住宅ローン残高の一部に限定されたりするケースもあり、必ずしも完済できるわけではありません。

高度障害と判断される病気とは

高度障害とは、身体または心に重大な障害があり、日常生活に大きな支障をきたす状態のことを指します。たとえば、全盲や四肢の欠損などです。

・両眼の視力を全く永久に失ったもの
・言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
・中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
・両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
・両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
・1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
・1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

高度障害になると障害者手帳を持つことで公的な支援を受けられるようになります。

出展:生命保険に関するQ&A|公益社団法人生命保険文化センター

医療保険や就業不能保険が利用できるかを確認する

病気になったときは、民間の保険が利用できるかについても確認しましょう。

病気が原因で住宅ローンが払えない場合に確認すべきは「医療保険」や「就業不能保険」です。医療保険は病気やケガが原因で入院や手術をした際に、保険金を受け取れます。通院だけでは保険金を受け取れない医療保険も多いため、医療保険が適用されるかどうか確認しましょう。

就業不能保険は病気やケガで働けない期間が続いたときに保険金を受け取れる保険です。
毎月〇〇万円という形で保険金が支給されるタイプが一般的です。

注意点として、働けない状態になってから一定期間は支払対象外期間に定められているため、働けなくなってからすぐに保険金を受け取れるわけではありません。

契約している保険会社に問い合わせしたり、PCサイトやアプリから加入内容を確認できます。

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保険に入っていない、または対象外の場合

保険に入っていない場合、または病気が保険の対象外だった場合でも、住宅ローンが払えない事態を乗り越える方法について解説します。

金融機関との交渉:リスケジュールの手続き

ローンを提供している金融機関と交渉し、返済計画を再度見直す「リスケジュール」です。

リスケジュールとは、借入金の返済期間を延ばしたり、返済額を減らすなどして、借り手の返済負担を軽くするための手続きのことを指します。仕事に復帰できる時期が明確な場合は、その期間の返済だけをストップしてくれるケースもあります。

注意点としては、返済期間を伸ばしたり返済額を減らすと、返済総額が増えてしまいます。
とはいえ、住宅ローンを滞納すると、一括返済を求められたり、遅延損害金を支払う必要が出たりと、さらに厳しい状況に追い込まれてしまいます。

そのため、病気が原因で住宅ローンが払えないと思った段階で、なるべく早く金融機関に相談するようにしましょう。早めに相談するほうが、金融機関の心象もよいため、リスケジュールに応じてくれる可能性が高まります。

親族間の借り入れやその他の金融支援

親族間での借り入れや、地域の信用金庫や信用組合などからの金融支援を利用する方法です。つまり、住宅ローンを返済するために、別の誰かからお金を借りる方法になります。

親族から借り入れをする場合、金利が低い、または無利息となることが多いため、返済の負担を減らすことが可能です。

ただし、親族間でのお金の貸し借りでは、利率や返済期間、返済の方法などをきちんと定めていない場合に、貸与ではなく贈与とみなされる危険性があります。贈与となると、年間110万円以上受け取った場合、贈与税が発生します。

公的制度を利用する:労災保険や傷病手当金

労災保険や傷病手当金などの公的制度を利用できるケースがあります。

労災保険は仕事中や通勤途中で病気やケガをした場合に適用される制度です。仕事に関連した病気やケガによって生じた給料の減少や治療費、障害の補償を受けられます。労災保険が適用されるためには、仕事と病気の発症に因果関係が必要です。医師や会社に労災保険が適用されるかどうか確認してみてください。

一方、傷病手当金は病気やケガで仕事に行けなくなった場合に受けられる給付金です。病気が原因で住宅ローンを払えなくなった場合、傷病手当金を利用することで給料の一部の補填が可能です。

ただし、傷病手当金では、病気やケガで働けなくなった期間が一定以上(通常は4日以上)あることや、所定の手続きをしっかりと行う必要があります。

このほかにも、病気が原因で失業せざるを得なくなった場合には雇用保険を利用できたり、障害を負ってしまった場合は障害年金を利用できる場合があります。

それぞれ利用するためには条件があるので、しっかりと確認しましょう。

家の売却を検討する必要があることも

病気で働けない状況が続き、住宅ローンが払えないとき、家を売却するという選択肢も存在します。保険や公的制度でもどうにもならない場合は家を売却して住宅ローンの負担から逃れたほうがよいケースもあります。

家を売却するメリットとデメリット

家を売却するとまとまったお金が手に入り、住宅ローンの返済に充てられます。

売却価格にもよりますが、住宅ローンを完済し、新しい家に引っ越す資金まで手に入るケースもあるでしょう。住宅ローンの支払いに悩む必要がなくなる点がメリットです。

一方で、売却価格によっては病気の治療費や生活費などを加味した場合に引っ越しの費用を捻出できないケースも考えられます。住宅ローンは完済できても、貯蓄を大幅に減らしたり、病気で収入が減ってしまうなどが重なると、家を売却する前よりも生活が苦しくなってしまうおそれもあります。

ご自身の状況を整理して、慎重に判断する必要があるといえます。

オーバーローン:任意売却を検討する場合の注意点

オーバーローンとは、家を売却しても住宅ローンを返済できない状態を指します。

通常、住宅ローン返済中の家を売却する場合、売却後に住宅ローンが完済できることが条件です。金融機関は住宅ローンを契約する際に、家と土地に抵当権という担保を設定しているからです。

抵当権とは住宅ローンの返済が滞った際に差し押さえて強制的に売却し、売却代金を回収できる権利です。

そのため、抵当権が設定されている土地や建物を購入したいと思う人は基本的にはいません。多くの人は他人のせいで強制的に差し押さえられるリスクのある土地や建物を買いたいとは思わないからです。

とはいえ、オーバーローンでも家を売却できる方法があり、これを任意売却といいます。任意売却では、住宅ローンを契約している金融機関の許可をもらい、家を売却します。その際、オーバーローンでも抵当権を外してもらえるため、売却が可能です。

注意点として、家を売却しても住宅ローンは残ってしまうため、残った住宅ローンをどのように返済していくか話し合う必要があります。また、任意売却には期限があり、住宅ローンを滞納してしまい競売の開札日の前日を迎えてしまうと、任意売却ができなくなってしまいます。

そのため、家を売却したい場合は早めに不動産会社に相談することが大切です。

リースバック:住宅ローンが払えないけれど家に住み続けたい場合

リースバックは、家を売却したあとに買主と賃貸借契約を結び、賃貸として同じ家に住み続ける方法です。

家を売却するため、住宅ローンを返済するための資金を獲得できる点に加えて、マイホームに継続して住める点がメリットです。

一方で、家の所有権は買主となり、契約内容によっては買い戻しができないおそれがある点はデメリットといえるでしょう。また、リースバック契約では通常の賃貸物件よりも高い家賃が設定されることが一般的です。

どのような選択肢を選ぶにしろ、病気が原因で住宅ローンが払えないと危機感を覚えた際は、早めに不動産会社や金融機関、専門家などに相談しましょう。

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