空き家の固定資産税は誰が払う?税額や払わないときのペナルティも解説

固定資産税は不動産の所有者が支払う税金であり、活用されていない空き家であっても例外ではありません。そのため、空き家を所有している間は固定資産税を支払い続ける必要があります。

では、売買取引や相続があった場合、固定資産税は誰に支払い義務があるのでしょうか。固定資産税の税額や払わなかったときのペナルティと併せて紹介します。

空き家の固定資産税は誰が払う?

空き家の固定資産税は所有者に納税義務があります。もし、所有者が死亡している場合は相続人全員に支払い義務が発生します。

固定資産税を支払わないまま放置しておくと延滞金が発生し、最終的には物件を差し押さえられます。

空き家は「誰が所有しているのか」が大きなポイントです。これ以外にも売却した場合の固定資産税をどう扱うかという問題があるため、詳しく解説します。

1月1日時点の所有者が払う

固定資産税は該当する不動産の毎年1月1日時点の所有者が支払います。

相続があった場合は連帯債務として、相続人全員で支払いをする必要があります。相続したけれど登記していない場合でも相続人に支払い義務があります。相続があった場合は滞納になってしまうリスクが高いため、注意が必要です。

2024年には相続登記が義務化されることもあり、空き家の所有者特定は厳格化される傾向にあります。将来的には過料が科されることになるため、誰が所有者なのかを明確にしておくことが重要です。

売買取引があった場合

固定資産税の支払い時期は、基本的に6月・9月・12月・2月の4回に分けられます。

売買取引によって所有権が移転した場合であっても、1月1日時点の所有者に支払い義務があります。たとえば、5月1日に所有権が移動した場合、5月1日〜12月31日は所有していないにも関わらず、前所有者が固定資産税を支払います。

このような場合は、5月1日以降分を新所有者が日割りで清算するのが一般的です。

固定資産税は売買代金として清算される

固定資産税の納税義務者は売主であるため、買主が納税することはありません。そのため、清算は売買代金に上乗せされる形で行われます。

ガス、電気、水道などのライフラインも同様に、引き渡し完了日を基準として清算されることが一般的です。売却時には仲介会社を入れることで、このような清算はスムーズに行えるでしょう。

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空き家にかかる税金はいくら?

固定資産税は、固定資産税評価額 × 1.4%が税額になります。

空き家にかかる税金は固定資産税だけではありません。また、空き家の所有については全国的に厳しい処置が検討されており、京都市では2026年に「空き家税」が課税される予定です。

固定資産税以外にどのような税金がかかるのか、税額はどのくらいになるのかを解説します。

都市計画税

都市計画税とは、市町村が課税する税金です。

土地や建物の所有者に納税義務があり、支払い額は固定資産税評価額に上限税率の0.3%をかけた金額となります。課税の有無や税率水準は市町村によって異なります。

売買取引時には、固定資産税と同様に買主と売主で日割り計算し、清算されることが一般的です。

譲渡所得税

譲渡所得税は、売却時に発生した利益に対して課税される税金です。これは所有年数や購入当時の契約書の有無によって税額が大きく変わります。また、居住用不動産であれば、売却した際の税制優遇がありますが、居住用ではない空き家は税制優遇が適用されません。

もし、相続や遺贈によって取得した被相続人の居住用家屋を売却する場合は、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。つまり、売却益が3,000万円までなら譲渡所得税がかかりません。これを「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。

譲渡所得税は複雑であるため、売却前に必ず不動産会社に確認するようにしましょう。

参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

京都市では「空き家税」がかかる

京都市では2026年に「空き家税」が施行される予定です。具体的には評価額が100万円以上の空き家に対し、家屋の評価額の0.7%が課税されます。たとえば、家屋の評価額が1,500万円の場合、10万5,000円が空き家税として課税されます。

この条例施行の狙いには「空き家の活性化」があり、今後は京都市以外でも空き家に対する引き締め策は強化されるでしょう。

「空家等対策特別措置法」による固定資産税増額のリスクもある

2015年に「空家等対策特別措置法」が国土交通省より施行され、特定空き家に認定されることで固定資産税の税制優遇の撤廃措置が決定しています。

特定空き家とは、倒壊のおそれがあったり、著しく景観を損なってしまっていたりと、放置することが不適切である状態の家屋のことです。

建物が建っている土地の固定資産税は税制優遇で1/6に抑えられていましたが、特定空き家に認定されることで税制優遇がなくなり、6倍の固定資産税を納めなくてはいけません。

このように、特定空き家に認定されてしまうと税制面の負担が大きくなってしまうため、注意が必要です。

参考:「空き家対策の現状について

活用予定のない空き家は早めの処分を!

将来にわたって有効活用しない空き家であれば、早めに処分することがおすすめです。空き家を保有するリスクと併せて解説します。

空き家の処分を後回しにすると危険

空き家を長期間放置すると特定空き家に認定されることで、税制優遇が撤廃されるリスクがあります。また、そのほかにも倒壊や火災、犯罪の温床になるといったトラブルに巻き込まれるおそれもあります。

万が一、適切に管理していない空き家が倒壊や火災によって隣地に被害がでた場合、責任追及されるのは当然所有者です。また、不法侵入によって犯罪の拠点となった場合、犯罪との関連を疑われるおそれもあります。

このようなトラブルに巻き込まれないためにも、空き家は適切に管理するか早期売却しましょう。

資産価値の減少を止めることはできない

空き家を長期間放置したうえで売却を決めたとしても、売却金額が想定よりも安くなることがあります。なぜなら家屋は人が住むことで経年劣化を防いでおり、人が住んでいない空き家は経年劣化が激しく資産価値が大きく減少するからです。

家は本来、定期的にメンテナンスをすることで長期間の使用ができます。そのため、築年数が古い中古戸建てであってもメンテナンスがしっかりされていれば中古戸建てとして十分に売却が可能です。しかし、メンテナンスされていない空き家は家屋としての価値が低く、さらには買主としても修繕費用がかかるため、結果的に土地のみの価値となることが多いです。

このように、放置された空き家は放置される前よりも遥かに安い金額での売却となるリスクがあります。

早めに不動産会社へ相談するのがポイント

空き家を有効活用せずに所有することで固定資産税を支払い続けることになり、さらには固定資産税が増額されるリスクを抱えます。また、倒壊や火災発生によって隣地から損害賠償請求される可能性もあり、空き家は早期売却すべきだといえます。

しかし、空き家をどのように売却するのが適切であるかは一般のオーナーには難しい問題です。そこで、使っていない空き家を所有している場合はなるべく早い段階で不動産会社に相談しましょう。不動産会社に相談することで、空き家の現状や売却想定額、税金を差し引いて手元に残る額などを把握できます。

それらを確認したうえで売却するか維持管理するかを決められるため、不動産会社への相談が大きなポイントとなるでしょう。

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