ゴミ屋敷の売却方法を具体的に解説。放置する危険性や必要費用も紹介

ゴミ屋敷は、物件の周囲や近隣住民に迷惑をかけるだけでなく、行政代執行による清掃やそれにかかる費用請求を受けるおそれもあります。そのため、ゴミ屋敷の処分は速やかに行う必要があります。

しかし、ゴミ屋敷はどのように売却すればよいのでしょうか。具体的な方法と、放置することの危険性や必要費用についても解説します。

ゴミ屋敷の放置は危険

ゴミ屋敷を放置することには、どのようなリスクがあるのでしょうか。ゴミ屋敷を放置することで起こり得るトラブルについて解説します。

近隣住民への悪影響

ゴミ屋敷を放置すると悪臭や害虫の発生、倒壊のリスクが高くなります。また、ゴミ屋敷にゴミを捨てる人もいるため、結果的にゴミが集まりやすい家になってしまいます。

さらには、犯罪者が犯罪の拠点にする可能性もあり、ゴミ屋敷があるエリアの治安が悪化するおそれもあるでしょう。

ゴミ屋敷を放置し、万が一火災や倒壊で近隣住民に損害が出た場合、所有者の責任が問われます。場合によっては多額の損害賠償を請求されることがあるでしょう。

特定空き家に認定されるリスクがある

平成27年(2015年)に空家等対策の推進に関する特別措置法が施行され、倒壊のおそれがある空き家は調査員が現地を調査し、「危険」と判断された場合には「特定空き家」に認定されることになりました。

特定空き家に認定されると、行政から指導があり、場合によっては固定資産税の優遇制度が撤廃されます。優遇制度が撤廃されると土地の固定資産税が6倍になり、負担が大きくなるため注意が必要です。

参考:国土交通省「住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報

ゴミ屋敷を放置することでの罰則

ゴミ屋敷の放置は罰則の対象になり得ます。たとえば、愛知県名古屋市では前述した空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、ゴミ屋敷の解消に関する条例を施行しています。

この条例では、ゴミ屋敷となっている建物の適切な管理を所有者に呼びかけ、場合によってはゴミの撤去支援を市から提案します。ただし、再三の呼びかけに応じない場合は指導、勧告、命令となり最終的には行政代執行による建物の解体やゴミの撤去となります。

この場合は、撤去にかかった費用を請求され、さらには罰則を与えられることにもなります。名古屋市ではありませんが、実際に2021年5月に愛知県蒲郡市で行政代執行によるゴミの撤去が実施され、所有者に400万円の請求がされました。

このように、ゴミ屋敷を放置することは大きな費用負担と手間がかかることになるでしょう。

参考:
東愛知新聞「「ごみ屋敷」の行政代執行開始
名古屋市「名古屋市住居の堆積物による不良な状態の解消に関する条例について

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具体的なゴミ屋敷の売却方法

ゴミ屋敷は多くの弊害を生むため、早期に売却することをおすすめします。売却するときのポイントや具体的な方法について解説します。

空き家として売るか土地として売るかを決める

ゴミ屋敷は建物の劣化が進んでいることが多く、中古戸建てとして売却できないことがあります。つまり、売却価格は土地の価値だけで算出されます。

中古戸建てとして売却するのか、土地として売却するのかで、販売計画は大きく異なるため、まずはどのように売却するのかを決めましょう。

売却方法を決めるとき、一般の方が適切な判断をするのは難しいため、必ず不動産会社に相談しましょう。

売却にかかる諸費用と税金を確認する

空き家を売却した場合には税金が発生することもあるため、注意が必要です。

ただし、空き家を解体する場合で所有者が状況を改善できない場合は、名古屋市から支援を受けられる場合もあります。詳細は以下より確認ができます。

名古屋市「名古屋市老朽危険空家等除却費補助金

また、条件がそろえば税金を大きく減らす優遇制度もあるため、まずは不動産会社に相談しどのような売却が適切なのかを確認しましょう。

仲介と並行して買取も検討する

空き家は、一般の買い手がなかなか見つからず、販売が長期化する傾向にあります。

販売が長期化すると、ゴミ屋敷の現状が悪化してしまい、さらに売れにくくなるという悪循環になってしまいます。このような事態にならないためにも、市場に売り出すのではなく、不動産会社が直接買い取ってくれる「買取」も視野に入れておきましょう。

不動産会社に買取をしてもらうのであれば販売期間がなく、すぐに契約ができます。ゴミ屋敷が抱えるリスクを最も早く解消できるためおすすめです。

ただし、買取は売却価格が安くなることが多いため、必ず一般仲介と買取の価格差を確認して決めましょう。

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ゴミ屋敷の売却に費用はいくらかかる?

ゴミ屋敷を売却する際には、具体的にいくらかかるのでしょうか。

売却費用は「居住中か、そうでないか」「戸建てとして売るか、土地として売るか」によって費用が大きく変わります。

ゴミ屋敷売却にかかる費用のシミュレーション

「居住中もしくは空き家」「戸建てもしくは土地」でそれぞれ売却する際の費用相場は次のとおりです。

〈戸建てとして売却〉

 居住中空き家
登記費用約1万円(所有権移転登記費用)
印紙代売却価格により変動(※1)
仲介手数料売却価格により変動(※2)
解体費0円
測量費0円
譲渡所得税の減税措置(※3)居住用財産特例空き家特例

〈土地として売却〉

 居住中空き家
登記費用約2万円(所有権移転、建物滅失登記費用)
印紙代売却価格により変動(※1)
仲介手数料売却価格により変動(※2)
解体費約120万円~150万円(木造2階建て100㎡の場合)
測量費約30万円~70万円(名古屋市で50坪の場合)
譲渡所得税の減税措置(※3)居住用財産特例(解体後1年以内)空き家特例(空き家になって3年以内)

(※1)参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置
(※2)売却価格に対し、以下のように算出される
・200万円以下:売却価格×5%+消費税
・200万円を超え400万円以下:売却価格×4%+2万円+消費税
・400万円を超える:売却価格×3%+6万円+消費税
(※3)条件を満たすことで譲渡所得税課税額から3,000万円を控除することができる

建物解体をする場合にはアスベストに注意

古い建物を解体する場合は、アスベストに注意が必要です。アスベストは以前多用されていた建材のことで、人体に悪影響を与えることが分かってからは使用を禁止されています。

建物面積が80㎡を超える建物を解体する場合には、事前にアスベスト調査をする義務があります。そのため、通常の解体費よりも調査費として数万円高くなりますが、万が一アスベストの含有が認められた場合には莫大な解体費が必要となります。

その場合は仲介での売却は難しく、買取を選択することになるでしょう。

トラブルが起きる前に、不動産会社へ相談しよう

ゴミ屋敷を放置すると近隣住民に多大な影響を与えてしまい、損害を与える状況になった場合には損害賠償請求の訴訟を起こされることもあります。

また、近隣住民から苦情がなくても市の調査員が現状をチェックし、危険建物と判定された場合には行政代執行が実施されることもあるでしょう。その場合には数百万単位の費用が請求され、さらには罰則もあります。

このような事態になってからゴミ屋敷を売却しようとしても、悪評が立ったあとでは売却が難しくなる一方です。そのため、ゴミ屋敷を所有している場合はなるべく早く不動産会社に相談し、適切な売却についてアドバイスをもらいましょう。

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