不動産売却時の確定申告をe-taxで行う方法と注意点を紹介

不動産を売却したときに、売却価格などによっては確定申告が必要です。その確定申告はe-taxで済ますことができます。

e-taxでの確定申告は、書面で行う場合と比べてどのくらい便利なのでしょうか。e-taxで確定申告を行う方法や注意点と併せて紹介します。

e-Taxで不動産売却の確定申告ができる

不動産売却をしたときの確定申告はe-Taxを利用すると簡単に手続きできます。まずはe-Taxの概要やメリットを解説します。

e-Taxとは

e-Taxとは、所得税や贈与税などの申告や納税をインターネットを利用してできるシステムのことです。

e-Taxの利便性は年々向上しています。たとえば、以前はマイナンバーカードの読み取りができるICカードリーダライタが必須でした。しかし今ではスマホに「マイナポータルアプリ」をインストールすると読み取りできるようになり、より手軽に手続きできます。

国税庁の「令和3年度における e-Tax の利用状況等について 」から、利用率が増加していることもわかります。所得税の確定申告のe-Tax利用率は、平成30年度は44.0%だったのが、令和3年度には59.2%まで上昇しました。約6割の方がe-Taxを使い確定申告しており、今や窓口や郵送よりポピュラーな申告方法といえます。

平成30年令和元年令和2年令和3年
e-Tax利用率(所得税申告)44.0 %47.5 %55.2%59.2 %

e-Taxのメリット

e-Taxの利用には以下のようなメリットがあります。

・自宅で確定申告ができる
・還付金を早めに受け取れる
・税額を自動計算してくれる
・早めの申請が可能
・添付書類を省略できる

自宅で確定申告ができる

e-Taxの最大のメリットは、確定申告から納税までの手続きを自宅で完結できることです。書面を提出する場合は、わざわざ平日に税務署の窓口へ行かなければいけません。また、確定申告の期間中は混雑しているため待ち時間が長くなります。

郵送による手続きは、書類の印刷やポストへの投函など手間がかかります。e-Taxであれば、外出したり待ったりせずにパソコンで手続きが完了できます。

還付金を早めに受け取れる

書面での確定申告よりも、e-Taxのほうが還付金を早く受け取れます。書面の場合は1カ月から1カ月半かかるのに対し、e-Taxで行うと約3週間に短縮されます。早めに還付金を受け取りたい方にはe-Taxがおすすめです。

税額を自動計算してくれる

e-Taxは税額を自動で計算してくれるため計算ミスが起こりません。入力方法も質問形式でわかりやすく案内表示され、初めての方でも入力しやすい仕様になっています。また、必須項目に入力もれがあるとメッセージが表示されるため間違いを防げます。

早めの申請が可能

e-Taxの確定申告は通常より早めに開始されます。通常、確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日の1カ月間です。e-Taxは1月上旬から開始されるため、約2カ月半の期間があります。期間が長いため余裕を持って手続きできます。すでに準備が整っている方であれば、早めに確定申告を済ませることも可能です。

添付書類を省略できる

e-Taxの場合、添付書類を省略できるものもあります。省略できる主な書類は以下のとおりです。

・給与所得者の特定支出の控除の特例に係る支出の証明書
・医療費通知(医療費のお知らせ)
・医療費に係る使用証明書等(おむつ証明書など)
・セルフメディケーション税制に係る一定の取組を行ったことを明らかにする書類
・社会保険料控除の証明書
・生命保険料控除の証明書
・地震保険料控除の証明書
・寄附金控除の証明書
・住宅借入金等特別控除に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの)

ただし、省略できるとはいえ税務署から書類の提示を求められる場合もあります。申告期限から5年間はこれらの書類の提示または提出を求められることがあるため、申告後5年間は保管しましょう。

不動産売却の特例もe-Taxで申告できる

不動産売却をすると、3,000万円の特別控除や軽減税率などの特例を利用する場合があります。これらの特例を使うときでも、e-Taxで申告可能です。

画面上に特例の一覧が表示されますので、適用したい特例を選択しましょう。そして画面の案内に従って入力していくと「譲渡所得の内訳書」も作成できます。不動産売却すると申告用の書類は複数枚必要ですが、e-Taxならば自分でそろえる手間を省けます。

参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例
   国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

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e-Taxで不動産売却の確定申告をする方法

e-Taxで不動産売却の確定申告をする方法や必要書類を解説します。

STEP1:利用者識別番号の取得

e-Taxを利用するためには、まず利用者識別番号という16桁の番号を取得します。取得方法は以下の7通りです。

・WEBからマイナンバーカードを使ってアカウントを登録する
・WEBから利用者識別番号を取得する
・マイナポータルの「もっとつながる」機能からe-Taxを利用する
・WEBからID・パスワード方式の届出を作成・送信する
・税務署に行って、ID・パスワード方式の届出を作成・送信する
・書面で利用者識別番号を取得する
・税理士に依頼し、利用者識別番号を取得する

STEP2:電子証明書の取得

インターネットを利用するe-Taxでは、電子証明書を利用してデータの作成者や真正性を証明します。電子証明書は、書面取引でいう印鑑証明書や運転免許証のような本人確認書類のことです。

電子証明書を取得するためには、マイナンバーカードとそのパスワードが必要です。またマイナンバーカードを読み取りできるICカードリーダライタ、またはQRコードを読み取りできるスマホも使用します。

STEP3:データを作成・送信する

e-Taxで所得税の確定申告をする場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用して手続きを行います。次に確定申告のデータを以下の手順で作成し送信します。

①申告・申請データの作成
確定申告書等作成コーナーを使いデータを作成します。

②申告・申請データへ電子署名
作成したデータが正当なものであることを証明するため、電子署名および電子証明書を添付します。電子署名と言っても、名前を記入するわけではなくマイナンバーカードのパスワードを入力して行います。

③申告・申請データの送信
作成したデータを送信します。送信後、正常に送信できたかの判定や受付番号などが画面上に表示されます。

④送信結果を確認する
送信後、審査結果(受診通知)がメッセージボックスに格納されます。正しく送れているか必ず確認しましょう。

必要書類

不動産売却の確定申告をe-Taxで行う際の必要書類は以下のとおりです。ただし利用する特例などによっては不要な場合もあります。

・マイナンバーカード
・購入時・売却時の売買契約書
・登記事項証明書
・不動産購入時・売却時にかかった経費の領収書
・住宅ローンの残高証明書(譲渡契約締結日の前日のもの)

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e-Taxを利用する際の注意点

とても便利なe-Taxですが、注意点がいくつかあります。e-Taxを利用する前に確認しましょう。

マイナンバーカードの発行には時間がかかる

e-Taxを利用するにはマイナンバーカードが必要ですが、発行には約1カ月かかります。 発行されたあとは市区町村窓口に取りに行かなければならず、さらに時間がかかる場合もあります。確定申告の期間に間に合うよう早めに準備しましょう。

事前準備が多い

マイナンバーのほかにも事前準備が必要です。利用者識別番号や電子証明書など聞き慣れない用語の手続きを行う必要があります。案内に従って入力すればできますが、初めて行うときは難しいと感じる方もいるでしょう。

手間や時間をかけたくないときは、国税庁の「e-Tax・作成コーナーヘルプデスク 」のように確定申告をサポートしてくれるサービスを利用しながら進めましょう。

利用可能時間に注意

e-Taxはいつでもどこでも手続きできる点がメリットですが、利用できない時間帯もあります。基本的には確定申告時期(毎年2月16日〜3月15日)は全日24時間稼働しています。

ただしメンテナンスのため週に1度程度、0:00〜8:30の間が利用できないことがあります。手続きしたいときがメンテナンスと被っていないか、事前に確認しましょう。

不動産売却の確定申告はパソコンが必要

条件を満たせばスマホでもe-Taxを利用できます。しかし、不動産売却の場合スマホは対象外のため必ずパソコンが必要です。パソコンを保有していない方は書面の手続きを検討しましょう。

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