日本では、毎年多くの台風被害が発生しており、台風に強い家づくりが必須です。また、家の強度だけでなく台風の影響を受けにくい土地についても理解しておく必要があります。
この記事では、台風に強い家の特徴と被害にあわない土地の選び方について解説します。
目次
台風によって家はどのような被害を受ける?
日本では異常気象の影響により、台風被害が増えています。なかには新築して間もない注文住宅が倒壊したという被害もあります。ここでは近年の台風被害について解説します。
台風による被害状況
内閣府の「令和2年台風第 10 号に係る被害状況等について 」によると、令和2年に発生した台風10号は西日本や東日本の太平洋側に大雨をもたらし、24時間降水量が200ミリを越える結果となりました。この台風により、人的被害として死者2名、行方不明者4名、家屋の被害は全壊が2棟、半壊と一部破損は合計855棟となりました。
これ以外にも床上浸水や長期間にわたる停電などが発生し、台風10号は日常生活に大きな影響を及ぼしました。同規模の台風は令和2年以降も発生しており、今後は日本のどの地域においても対策が必要だといえるでしょう。
台風被害は風の強さに影響する
台風が持つエネルギーの多くは、風にあります。気象庁が公開している「風の強さと吹き方」によると風が与える建造物への影響は、以下のとおりです。
風の強さ | 平均風速(m/s) | 建造物への影響 |
やや強い風 | 10~15 | 樋(とい)が揺れ始める |
強い風 | 15~20 | 屋根瓦・屋根蓋材がはがれる 雨戸やシャッターが揺れる |
非常に強い風 | 20~30 | 屋根瓦・屋根蓋材が飛散する 固定されていないプレハブ小屋が転倒する ビニールハウスのフィルムが広範囲で破れる |
猛烈な風 | 30~40以上 | 固定の不十分な金属屋根の蓋材がめくれる 養生の不十分な足場が崩落する 外装材が広範囲に飛散する 家が倒壊する 鉄骨建造物が変形する可能性がある |
このように、台風の規模によっては家が揺れたり、場合によっては倒壊したりすることも予想されます。また、住んでいる家が無事であっても瓦や壁材が飛来することで家が破損するおそれもあります。
台風襲来時には植木や自転車を家屋内に入れるなどの準備を行い、万が一に備えて家の火災保険を見直すことも検討しましょう。
台風の被害は雨と風だけではない
台風の大雨と強風による被害について解説しましたが、住んでいる場所によっては以下のような災害も起こり得ます。
- ・河川氾濫
- ・地滑り
- ・落雷による火災等
このような予期せぬ被害により、台風対策がされている家であっても周辺環境の変化により危険性が高まるおそれがあります。そのため、避難場所の位置確認や防災グッズをすぐに持ちだせる場所に置いておくなどの準備は非常に重要です。
台風に強い家の特徴とは
台風被害の多い日本は、台風対策がされている建造物が多いです。ここではその中でも台風に強いとされている家の特徴について解説します。
平屋は台風に強い
平屋は地震だけでなく、台風にも強いといわれています。通常の2階建て住宅は雨風があたる壁面積が大きく、台風の影響を受けやすい構造体です。その点、平屋は2階がなく重心が低い位置にあるため雨風の影響を受けにくくなります。
飛来物についてもフェンスなどがあれば家への衝突を守ってくれるため、台風に強い家を検討する際にはおすすめです。
台風に強い構造になっている
柱や梁で家を建てる構造とは別に、モノコック構造と呼ばれる構造があります。モノコック構造は元々航空機やレーシングカーといった過酷な環境に耐えられる工法として採用されていました。その頑丈さが耐震性や台風に対しても有効だと考えられ、住宅の工法としても取り入れられるようになりました。
その中でも、2×4(ツーバイフォー)と呼ばれる工法は外側の建材に強度を持たせ、柱や梁ではなく建物を一体の構造物として耐久性を保ちます。これにより台風による軸のゆがみや揺れの影響を受けにくくなるため、多くのメーカーが台風や地震に強い工法として主力製品としています。
外壁、屋根材の部材が台風対策仕様になっている
雨風に最も触れる外壁と屋根材の材質は、台風対策として非常に重要です。破損しないという点は当然ですが、剥がれて飛来物とならないような材質を選ぶようにしましょう。
代表的な屋根材として瓦がありますが、最近でも防災瓦という商品があります。割れにくく飛散しにくい部材となっているため、台風対策として有効です。その他にも金属屋根やアルファストシングルといったガラス製の屋根材もあり、台風のみならず地震にも強い屋根材として人気です。
また、台風に強い外壁材としてはガルバリウム鋼板が有名です。断熱効果のある鋼板を外壁に使うことで、台風による飛来物の衝突やひび割れを防ぎます。加えて防水性にも優れた材質です。
このように、台風に特化して強い材質を屋根材と外壁に取り入れることで、安心な生活を送ることができます。このように台風対策のされた家は、台風が去った後のメンテナンスも不要で、住まいにかかるランニングコストの削減にもつながります。
台風の被害にあわないためには、土地選びも重要
台風対策は建物だけでは不十分で、土地の形状や場所も重要です。台風は雨風に加え、地滑りや河川氾濫、急傾斜崩落といった災害も発生します。こういった災害は建物が頑丈であっても地盤沈下や土砂崩れなどの被害を受けるおそれがあります。
そのため、土地選びの時点でそういったリスクがないエリア選定をする必要があります。
高台や崖に隣接する土地は避ける
高台は見晴らしと日当たりがよく人気の土地ではありますが、台風の影響が大きい土地のひとつです。また、崖に隣接する土地は割安なため購入する人も多いですが、台風の影響で崖が崩落するおそれがあります。さらには一度崩落した土地で再建築するためには土砂を取り除かなくてはなりません。
そのため、台風の被害だけではなく台風の影響を除去するための費用が多額になる可能性があります。このように、高台と崖に隣接する土地はメリットも大きい分、台風に対し弱い面もあるため注意が必要です。
田畑や古い住宅に囲まれた土地もリスクが高い
周りに集落がなく、田畑に囲まれた土地は風の影響が大きく、飛来物を防ぐ障害物もありません。また、何かあった際にも救助が遅れることもあるため台風対策としては向いていない土地といえるでしょう。
その一方で、築年数が経過した家が立ち並ぶような住宅街も注意が必要です。特に隣地が空き家である場合は、台風による飛来物が衝突しやすい環境となるため、飛来物対策として壁を高くするなどの処置が必要となります。
しかし、こういった対策により日当たりが悪くなってしまうこともあるため、対策の内容についてはしっかりと検討しましょう。
リスクを教えてくれる担当者を選ぼう
河川氾濫や液状化の影響、活断層の有無についてはインターネットで調べられます。しかし、台風で実際にどのような影響があるのかを調べることは難しいです。
そのため、土地の提案を受ける際には台風の影響やその他のリスクについて、包み隠さずにアドバイスしてくれる担当者を選ぶようにしましょう。特にそのエリアに特化した不動産会社であれば過去の被害状況などといったニッチな情報を持っているため、有効なアドバイスを受けられます。
図面に記載してある情報だけでなく、そのエリアで営業しているからこそ提案できるような不動産会社、担当者を選びましょう。