今の家が売れたけど、引っ越すはずの新しい家にまだ入居できなかったり、自宅を大規模リフォームすることになったりすると、仮住まいが必要です。
短い間の仮住まいでも、住民票は移す必要があるのでしょうか。この記事では、住み替え時の住民票の手続きについて、そしておすすめの仮住まい先について紹介します。
目次
仮住まいは住民票を移さなくていい?
仮住まいで住民票を移す人は少ないようです。その理由や移さなかった時のデメリットを紹介します。
1年未満であれば移さなくていい
仮住まいの期間が1年未満であれば住民票を移す必要はありません。
本来、住所が変わったら2週間以内に住民票を移す義務があります。例外的に、以下のような正当な理由があれば移さなくてもよいとされています。
- ・新住所に住むのが一時的な場合
- ・生活の拠点が移動しない場合 (単身赴任や通学での一人暮らし)
仮住まいは一時的なものです。引っ越しの度に何度も行政の窓口に行くのは手間ですし、住民票を移せば公的証明書(運転免許証など)も合わせて変更する必要が出てきます。
手間を省くためにも、仮住まい中は住民票を移さないという人は多くいます。
1年を超えて住民票を移さないとどうなる?
仮住まい期間が1年を超える場合は住民票を移さなければいけません。
しかし、まれに工期の遅延や、引っ越しのタイミングが合わず仮住まい期間が1年を超えてしまうことがあります。
正当な理由がなく住民票を移さないままでいると、5万円以下の過料が課せられるおそれがあります。仮住まい期間が長期化しそうな時は、住民票を移しておくと安心でしょう。
ただ、大規模リフォームで元の家にいずれ戻る時は、本質的な生活拠点が変わらないため仮住まい期間が1年を超えても住民票を移す必要はありません。
住民票を移さないことで生じるデメリット
以前の住所と、仮住まいの自治体が違うと行政サービスを受けるのに支障が出る場合があります。
選挙や福祉関連サービスが受けられない
選挙の投票は住民票がある自治体が基準です。投票するためには、住民票のある地域へわざわざ赴かなければいけません。また、図書館や福祉サービスも十分に受けることができなくなります。
子ども医療費助成がすぐに受けられない
子どもの医療費助成は、住民票がある自治体から受けられます。住民票と仮住まいの自治体が違うと、すぐに助成を受けられません。助成を受けるためには医療費明細や領収証を持って、住民票のある自治体で還付申請をする手間がかかります。
本人限定郵便が受け取れない
ネット銀行などインターネットで完結させるサービスには、本人確認をかねて「本人限定郵便」を送付することがあります。郵便配達員が、本人確認資料をチェックして受取人を確認します。本人確認資料(免許証)と実際の送り先の住所が違うと、サービスを受けられません。
確定申告が最寄りの税務署でできない
確定申告は住民票のある自治体の税務署で行います。現在はオンラインで完結することも多いですが、相談して進めたかったり、持ち込みをしたかったりする場合は赴く必要があるので面倒です。
仮住まいに必要な手続きとは
仮住まい中に、不便なく暮らすための必要手続きはいくつかあります。どれも生活に直結することですので早めに対処しておきましょう。
なお、運転免許証や金融機関への届け出、クレジットカード会社や保険会社への連絡は新居に移ったあとで構いません。仮住まい中はあえて申請しなくてもよいでしょう。
郵便物の転送
最初にやっておきたいのが郵便物の転送サービスです。郵便物が一切届かないのは生活に支障をきたします。
住民票は移さなくても、郵便物の転送はしてもらえます。転送サービスをしてくれる期間は1年間で、途中解除や中止といった手続きはありません。
リフォームが完了して元の家に戻ったり、新居に移ったらもう一度郵便局へ転送届を提出してください。なお、「転送不要」扱いの郵便物は配達されません。
ライフラインの契約
仮住まいが賃貸物件であれば、ライフラインの契約は必須です。水道、電気、ガス以外にもインターネットや新聞も必要です。
ガスは利用開始時に立ち会いが必要です。日程の調整も含め余裕を持って連絡しましょう。
勤務先への報告
一時的な仮住まいなので、勤務先への申請はいらないと思うかもしれません。しかし、最寄り駅が変わったり、車の移動時間が変わったりと、通勤経路に変更があると通勤補助に影響が出ます。
正しい通勤経路を報告していないと、正しい通勤費が支払われません。会社の規律違反にもなるので早めに報告しましょう。
おすすめの仮住まい先
仮住まい先にはいくつかの選択肢があります。おすすめの仮住まい先を紹介します。
民泊
仮住まい先として今注目されているのが民泊です。ホテルやマンスリーマンションよりも賃料が安く、都心で1泊5,000円以下で宿泊できることもあります。
戸建住宅が丸ごと借りられることもあり、インフラ関連や家具家電も整っているので、服さえ持っていけば生活できます。しかし、民泊の利用期間は法律上180日以内となっている点には注意が必要です。
賃貸物件
一番ポピュラーな仮住まい先が賃貸物件です。特にある程度の広さが必要になるファミリー世帯にニーズがあります。
一番のメリットは物件の選択肢が多いことです。自分の家具家電を持ち込んで生活するので、ストレスなく過ごせます。
一方デメリットも多く、賃料に加えて敷金や礼金、仲介手数料に火災保険などの初期費用の負担が大きくなります。初期費用は家賃の約4カ月分はかかると考えておきましょう。
マンスリーマンション
短期間であれば、マンスリーマンションの利用もおすすめです。メリットは家具が整っているので身ひとつで入居が可能なことです。水道からインターネットまですべて整っているのでいちいち契約する必要はありません。
一方、デメリットは間取りに余裕のあるタイプは少なく、ファミリー世帯は選択できる物件があまりありません。また、賃料も普通の賃貸物件と比べて割高となります。
荷物はトランクルームへ
大型家電やオフシーズンの荷物まで仮住まいに持ち込むのは大変です。新居が決まるまでは、トランクルームの利用がおすすめです。
トランクルームの賃料は立地や、屋外か屋内かによって変わります。初期費用は保証金、事務手数料、初月分翌月分の賃料、鍵代などがかかるので賃料の約3カ月分をみておきましょう。
利用開始までタイムラグがあるため、1週間前には予約することをおすすめします。トランクルームには重要書類や貴重品を置くことはできません。合わせて貸金庫の利用も検討しておくと安心です。
住み替えは失敗が多い?
住み替えは進行が複雑なうえにタスクも多いです。そのため、希望通りの住み替えができなかったと失敗してしまう人も少なくありません。
旧自宅が売れないまま新居を購入する「買い先行」を行った結果、二重の住宅ローンに悩まされるケースもよくあります。さらに旧自宅が売れるまでは、固定資産税も二重でかかります。その結果早く売ることが最優先となり、物件を買いたたかれるなんてことになりかねません。
このような事態を避けるためにも、住み替えを検討したなら早めに不動産会社に相談することがおすすめです。
取り敢えず行動しながら知識を集めていくのと、ある程度知識を持ったうえで行動に移すのでは大きく異なります。せっかく住み替えをしたのに、失敗して「前の家のほうがよかった」ということにならぬよう、しっかりと準備をしていきましょう。