自宅を購入したら確定申告をする?住宅借入金等特別控除の手続きについて解説

現在は歴史上もっとも借入金利が低く、住宅ローンの金利については20年前に比べて1パーセント以上低い金融機関も見受けられます。
首都圏では一部不動産価格が高騰しているところも見受けられますが、全国的には地価は横ばいか微減です。自宅の購入を考えるにはよい時代になりました。

さらに住宅購入を後押しするのが住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)です。
まわりでも「控除があるから自宅を購入した」という人や、年末調整が楽しみだという人がいませんか。
それほど住宅ローン控除は強力な制度なのです。

でも、控除を適用するための手続きについてはよくわからないという人も多いでしょう。年末調整で大丈夫と思っていると思わぬ損失を被ることにもなりかねません。

今回は、住宅ローン控除の概要と手続き、適用の際の注意点について解説します。
住宅ローンを活用して自宅を購入しようとしている方はぜひ参考にしてみてください。

住宅ローン控除の概要

住宅ローン控除とは、住宅ローンを使って新居を購入したとき、年末の借入残高の1%について10年間にわたって所得税の税額控除を受けられる制度です。

例えば、新築マンションを購入し年末の残高が3,500万円のときには、35万円の所得税の還付があります。
このとき一か月分の返済金額は11万5,000円前後ですので、返済額の約3か月分が浮いてしまう計算になります。この制度があるから自宅を購入したという人がいるというのもうなずけますね。 

住宅ローン控除の主な適用要件

住宅ローン控除は自宅を購入するためにローンを組めば誰でも適用できるというわけではありません。

主な条件に次のようなものがあります。 

1、新居購入から6か月以内に入居し、控除を適用する各年の年末まで引き続き入居していること
2、購入者の所得金額が合計3,000万円以下であること
3、床面積が50㎡以上で、2分の1以上が住むためのスペースであること
4、借入金の返済期間が10年以上で、一定の借入先からの借り入れであること(利率の下限あり)

 適用金額の上限については、消費税がかかる取引か否かによって異なります。

まず、新築マンションや分譲住宅を不動産会社から購入する場合には、建物部分について消費税がかかる売買になります。この場合の適用金額の上限は40万円です(10年間で400万円)。
一方、個人間での中古一戸建て・中古マンションの売買の場合には、消費税がかかりません。
このような売買のときには上限が20万円になります(10年間で200万円)。

購入(入居)時期 適用される期間 控除される税額の計算
令和3年1月1日から令和3年12月31日まで 10年 年末残高等×1%(上限40万円)
(注1)
消費税が課される住宅の取得等以外の今回は、住宅ローン控除の概要と手続き、適用の際の注意点について解説します。
住宅ローンを活用して自宅を購入しようとしている方はぜひ参考にしてみてください。場合は上限が20万円となります。

 (注2)
長期優良住宅などの認定住宅の場合には上限が50万円、消費税が課される住宅の取得等以外の場合には上限が30万円となります。

消費税が10%に引き上げられたことに伴う特別控除

令和元年10月より消費税が10%に引き上げられたことに伴い、その緩和措置として住宅ローン控除の拡大措置が設けられました。

令和2年のコロナウィルスの拡大を受けて、6か月以内の入居でなくても令和3年12月31日までに入居していれば適用可能とする措置も設けられています。入居が遅れたからといって適用をあきらめている方は、今からでも遅くはありません。 

具体的な控除額は以下の表のとおりです。 

入居時期 控除期間 各年の控除額の計算(控除限度額)
令和元年10月1日
から
令和2年12月31日
まで
13年 【住宅の取得等が特別特定取得(※1)に該当する場合】[1~10年目]
年末残高等×1%(上限40万円)
[11~13年目]
次のいずれか少ない額が控除限度額
1、年末残高等〔上限4,000万円〕×1%
2、(住宅取得等対価の額-消費税額)〔上限4,000万円〕×2%÷3
(注)「住宅取得等対価の額」は、補助金及び住宅取得等資金の贈与の額を控除しないこととした金額をいいます。
10年 [上記以外の場合]
1~10年目
年末残高等×1%(40万円)
(注)住宅の取得等が特定取得(※2)以外の場合は20万円

※1 消費税10%が課される住宅の取得等を指す
※2 消費税8%もしくは10%が課される住宅の取得等を指す 
※国税庁HPより一部抜粋
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

住宅ローン控除を使うための手続き

住宅ローン控除を使うためには、毎年一定の手続きをする必要があります。
初年度は確定申告、2年目は年末調整です。
初年度の確定申告は、一般の会社員の方は経験がなく忘れがちなので、ぜひ確認しておきましょう。
個人事業主など会社に所属していない方は、2年目以降も確定申告によって手続きします。

確定申告の方法

確定申告は、所得税を納税するための手続きで、毎年2月15日から3月15日ごろを申告期間して確定申告書を税務署に提出することによって行います。

会社員の方は、通常は会社が源泉徴収をして代わりに所得税を納税しているために個人が確定申告する必要はありません。
しかし、住宅借入金等特別控除など所得税に関する特別な税制を適用するときには、必要書類を添付して確定申告をする必要があるのです。

 確定申告用紙は地域の税務署で入手することができますが、現在では国税庁がWebサイトで確定申告書作成コーナーを設置しています。
手書きで申告書を作成するよりも、Webサイト上の作成ツールを利用して作成した方がわかりやすいと思います。
たくさんある明細書の中のどれを選択して提出すればよいのかについても迷うことがなく、手順に従って作成していけば申告書が完成する仕組みになっています。
確定申告書を作成したら、下記の添付書類を添付して、税務署に持参もしくは郵送で提出します。

現在では「e-tax」といって確定申告書の作成から提出までをWeb上で完結させるシステムもありますので、興味のある方は国税庁のHPを閲覧してみてください。

(確定申告に必要なおもな添付書類)

※購入物件や入居時期によって異なりますので、詳細は国税庁HPか税務署でご確認ください。

・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
・建物の登記簿謄本、請負契約書のコピー、売買契約書のコピー等適用条件に関する情報が記載されているもの
・土地の登記簿謄本、売買契約書のコピー等で敷地の取得年月日及び取得対価の額を明らかにする書類

年末調整の方法

会社員の人は、2年目以降は年末調整によって手続きします。

年末調整のときに、生命保険控除や地震保険控除など他の年末調整の書類とあわせて、以下の証明書を添付して勤務先に提出します。

・年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書
・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

住宅借入金等特別控除を使うときの注意点

住宅借入金等特別控除を適用するときには、初年度に確定申告を行わなければならないなど、慣れない手続きに戸惑うかもしれません。また、ほかの所得税額控除の特例も併せて利用するときには、控除を使えるのかどうかについても確認する必要があります。

以下の点についてはよくお客様から質問される事項です。

確定申告し忘れたらどうする

初年度の確定申告を忘れて、慌てて税務署に駆け込む人を毎年見かけます。
しかし、ご安心下さい。所得税の還付申告の期限は、5年間です。
したがって、3月中旬の確定申告に間に合わなくても住宅ローン控除の申告をすることができます。
しかし、5年を過ぎてしまった場合には、10年間の控除の適用期間が1年ずつ減っていきます。
早めに還付申告をするに越したことはありません。

ふるさと納税を併用するときの注意点

住宅ローン控除は、ふるさと納税と同様に所得税の税額控除が受けられる制度です。
ふるさと納税を併用する場合には、両方の控除額限度額を合計した金額が所得税額を超えてしまう場合があります。
一定額については、住民税からも控除できる制度がありますが、それでも控除しきれなかった部分については控除が使えないということになりますので、ご注意ください。

譲渡所得税の優遇税制を適用するときの注意点

特に自宅の買換えで住宅ローンを利用する場合には、自宅の売却時に課税される譲渡所得税に関する優遇税制との比較検討が必要になってきます。
譲渡所得税に関する特別控除や軽減税率、買い替え特例などの優遇税制を利用する場合には、住宅ローン減税を利用することはできないルールになっています。

譲渡所得税が低額の場合には住宅ローン減税を適用した方が結果的に得ということもありますので、不動産仲介業者や税理士などの専門家に相談してみるとよいと思います。

まとめ

住宅ローン控除は、自宅の購入を後押しして経済を活性化させるための強力な政策です。住宅ローン控除の要件を満たすならばぜひ活用したいものです。

しかし、適用条件や適用手続きについては、複雑なところもあります。なにかご不明な点がありましたら、ぜひ「ファミリア」までご相談ください。スタッフが懇切丁寧に対応させていただきます。

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