家の買い替えは「今の家を売って、新しい家を買う」という2つの大きな取引を同時に進める必要があり、思っている以上に難易度が高いといわれます。
売却と購入のタイミングが合わなかったり、資金繰りやローンの審査でつまずいたりと、トラブルが起きやすいのも特徴です。
とはいえ、あらかじめ注意点とコツを押さえておけば、スムーズに買い替えを成功させることも可能です。家の買い替えが難しいといわれる理由と、失敗を防ぐための7つのポイントを詳しく解説します。
目次
家の買い替えが難しいといわれる理由
家の買い替えが難しいといわれる主な理由は、次のとおりです。
売却と購入のタイミングを調整する必要がある
家の買い替え方法には、売買のタイミングによって「売り先行」「買い先行」「売り買い同時進行」の3つのパターンがあります。
家の買い替え方法
| 概要 | メリット | デメリット | |
|---|---|---|---|
| 売り先行 | 先に旧居を売却し、仮住まいに引っ越してから新居を探す | ・旧居の売却額を新居の購入費に充てられる ・旧居の売却に時間をかけられる | ・引っ越し費用が余分にかかる ・新居選びに焦り、妥協してしまう可能性がある |
| 買い先行 | 先に新居を買って、引っ越してから旧居を売却する | ・引っ越しが一度で済む ・新居の選定に時間をかけられる | ・ダブルローンになる可能性がある ・旧居を売り急ぎ、相場より安く売却してしまう可能性がある |
| 売り買い同時進行 | 新居購入と旧居売却のタイミングをそろえる | ・引っ越しが一度で済む ・買い替えローンを利用できる | ・スケジュールの調整が難しい ・売り買いともに余裕がなく、満足のいく売買ができない場合がある |
いずれの方法も予算やスケジュール面で調整が難しく、判断を誤ると損失につながるおそれがあります。単に売るだけ、買うだけではなく、売買のタイミングを考えなければならない点に家の買い替えの難しさがあるのです。
出費がかさむ
住宅の購入には、数百万円単位のまとまった資金が必要です。住宅ローンを利用できるとはいえ、頭金のほかにも、登記費用や譲渡所得税、引っ越し費用など、さまざまな支出が発生します。
特に、旧居にローン残債がある場合には、その全額を一括で返済する必要があります。
実際に、旧居の処分に費用をかけすぎたことで新居の条件を妥協せざるを得なかったり、ダブルローンによって家計が圧迫されたりするケースも少なくありません。
物件やエリアの選定が難しい
物件やエリアの選定が難しい点も、家の買い替えが難しくなる大きな要因のひとつです。
賃貸であれば、気に入らなければ再び引っ越すことも可能ですが、住宅購入ではそう簡単にやり直しができません。
せっかく買い替えた家が気に入らなかった場合、「前の家やエリアのほうが良かった」と後悔することにもなりかねません。
特にシニア世代の場合、新しい環境に慣れるのが難しく、住み替えがストレスの原因になることもあるため、より慎重な判断が求められます。
難しい家の買い替えを成功させるための7つのポイント

先ほど紹介したとおり、家の買い替えは予算の確保やスケジュールの調整が難しく、一般的な新居の購入より難しい傾向にあります。判断を誤ると、以下のようなトラブルが生じるリスクがあります。
- ・予算不足やスケジュール上の制約により売買を妥協してしまった
- ・思わぬ出費があり家計を圧迫した
- ・融資審査が下りず新居を購入できなかった
- ・新居を用意できていないのに旧居を引き渡すことになった
このようなリスクを回避するために、特に重要なポイントを以下に紹介します。
スケジュールに余裕を持たせる
家の買い替えは旧居の売却と新居の購入を同時、もしくは連続して行う必要があります。タイトなスケジュール設定にすると、進行を焦るあまり旧居を相場より安く売却したり、新居の購入を妥協したりすることにもなりかねません。
スケジュールは余裕をもって組むようにしましょう。以下に売り買い同時進行する際の、ややゆったりしたスケジュール例を紹介します。
売り買い同時進行する際のスケジュール例
| 週 | 旧居の売却 | 新居の購入 |
|---|---|---|
| 1~2週 | 査定依頼・売却準備 | 条件整理・物件探し開始 |
| 3~4週 | 販売開始 | 内覧・ローン事前審査 |
| 5~8週 | 内覧対応・価格調整 | 内覧継続・候補絞り込み |
| 9~10週 | 購入申込み(仮押さえ) | |
| 11週 | 買主決定・交渉・買主の事前審査 | 事前審査 |
| 12週 | 売買契約 | 売買契約 |
| 13~16週 | 買主の本審査 | 本審査・各種手続き |
| 17~20週 | 引き渡し準備 | 引っ越し準備 |
| 21週 | 決済・引き渡し | 決済・入居 |
| 22~24週 | アフター対応 | 生活整理・手続き |
予算計画をしっかり立てる
家の買い替えでは新居の購入費用だけでなく、旧居のローン残債や仲介手数料、引っ越し費用など、さまざまな出費がかかります。これらを予算に含めておかないと、資金が足りずに妥協を強いられることもあります。
また、「前回ローン審査に通ったから今回も大丈夫」とは限りません。買い替えでは自己資金が減っていたり、旧居のローンが残っていたりと、不利な条件になることが多く、再審査に落ちるリスクがあるためです。
必要な費用を洗い出して、余裕を持った予算を組むことが、失敗を防ぐ鍵となります。
買い替え後の生活をイメージする
買い替えを成功させるには、新居での生活を明確にイメージすることが大切です。
例えば、子どもの独立を機にコンパクトな住まいに買い替えたのはいいものの、帰省時に泊まる部屋がなく困ったというケースは少なくありません。「コンパクトな家」「バリアフリーの家」など大まかな希望がある場合でも、実際の生活シーンを具体的に想像することが重要です。
家族で理想の暮らし方について話し合うことで、必要な間取りや設備が見えてきます。あらかじめ方向性を共有しておけば、新居の選定時に家族間で意見が対立するようなトラブルも避けられます。
引き渡し猶予を利用する
引き渡し猶予とは売買契約後も一定期間、旧居に住み続けられる特約のことです。新居への引っ越しが間に合わない場合や、旧居の売却代金を新居購入に充てたい場合に有効です。
家の買い替えでは、売却と購入のタイミング調整が難しくなりがちですが、引き渡し猶予を設けておけば、一時的な仮住まいを避けることができるなど、リスク回避策として役立ちます。
ただし、この特約を付けるには買主の同意が必要で、条件によっては買主に敬遠されたり、価格交渉を求められたりすることもあります。そのため、活用する際は不動産会社とも相談のうえ、慎重に検討しましょう。
控除を活用する
マイホームの売却や購入にはさまざまな控除が存在します。適切に利用することで、売買によって発生する支出を削減できます。
中でも特に有効な控除としては、「3,000万円特別控除」と「住宅ローン特別控除」があります。それぞれの概要と条件を以下に紹介します。
3,000万円特別控除
マイホームを売却して利益(譲渡所得)が出た場合、最大3,000万円まで非課税にできる制度です。
3,000万円特別控除の主な適用条件は、次のとおりです。
- ・自分が住んでいた住宅の売却であること
- ・売却後3年以内に再び同じ控除を使っていないこと
- ・親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと。
出典:国税庁「マイホームを売ったときの特例」
住宅ローン特別控除
住宅ローンを組んで家を購入した場合、年末のローン残高の0.7%を最大13年間、所得税・住民税から控除できる制度です。
主な適用条件は、次のとおりです。
- ・自分が住むための住宅であること
- ・床面積が原則50㎡以上(中古は要耐震性)
- ・借入期間が10年以上
- ・合計所得2,000万円以下
出典:国税庁「マイホームを持ったとき」
なお、3,000万円特別控除と住宅ローン特別控除は併用できません。そのため、どちらかより有利なほうを選ぶ必要があります。それぞれの控除を利用するのにおすすめの人は、以下のとおりです。
3,000万円特別控除・住宅ローン特別控除、それぞれでおすすめの人
| 3,000万円特別控除 | 住宅ローン特別控除 |
|---|---|
| ・旧居の売却で利益が出る人 ・新居を現金で買う人 ・新居のローンが少額で、住宅ローン控除を生かしきれない人 | ・新居に住宅ローンを使う予定の人 ・売却益が出ない人 ・長く新居に住む予定の人 ・高所得者(課税所得が高い人) |
実績のある不動産会社を選ぶ
家の買い替えを成功させるには、信頼できる不動産会社をパートナーとして慎重に選ぶことが不可欠です。
実績ある不動産会社であれば、相場とかけ離れた価格設定を避け、物件の特性や市場動向を踏まえた適正な売り出し価格を提案してくれます。また、旧居の魅力を最大限に引き出し、適切なターゲット層に向けた売却活動を行うことで、スムーズな売却につながるでしょう。
新居の購入においても、要望を丁寧にヒアリングし、予算や希望条件に合致する物件を紹介してもらえるため、満足度の高い住み替えが期待できます。
不動産会社の実績は、公式サイトや不動産ポータルサイト、SNS、口コミなどから確認できます。その際は、単なる取引件数だけでなく、取扱物件の種類(マンション・戸建て)、用途(居住用・投資用)、対応エリアといった得意分野も併せてチェックするとよいでしょう。
なお、売却と購入の両方を同じ不動産会社に依頼する必要はありません。不動産会社ごとに得意分野が異なるため、それぞれの目的に合った会社を選ぶことが大切です。ただし、売買を一社にまとめることで、スケジュールや資金計画の調整がしやすくなるというメリットもあります。
実力のある担当者を選ぶ
たとえ実績豊富な不動産会社であっても、担当者の知識や対応力によって、売買全体の質や結果は大きく左右されます。スムーズで納得のいく取引を実現するためには、担当者との相性や信頼関係が欠かせません。
初回の面談や、やり取りの中で、次のような点を確認しておきましょう。
- ・レスポンスが早く、連絡が滞らない
- ・質問に対して、正確かつわかりやすく答えてくれる
- ・丁寧にヒアリングを行い、こちらの状況に合った提案をしてくれる
- ・言葉遣いや態度が丁寧で、安心感がある
- ・物件のメリットだけでなく、デメリットもしっかり説明してくれる
- ・売買契約を無理に急がせず、時間をかけて検討させてくれる
- ・他社の不満を言わず、公正な立場で話す
こうした姿勢が見られない場合、違和感を我慢せず、早めに担当者の変更を申し出ることも選択肢のひとつです。不動産会社に依頼すれば、多くの場合、別の担当者に変更してもらえます。
ただし、契約がかなり進んだあとでの変更や、明確な理由がないまま何度も担当者を変えると、信頼関係が損なわれるおそれもあります。変更の判断は冷静に、タイミングも見極めながら行いましょう。



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