テレワークで郊外に住み替える?後悔しないための事前チェックポイント

リモートワーク中の若い女性

テレワークが当たり前になった今、「通勤のストレスを減らしたい」「広い家に引っ越したい」と考えて郊外への住み替えを検討する人が増えています。

テレワークを前提に郊外へ引っ越す前に押さえておきたいポイントを整理しました。失敗しない住み替えを実現するための具体的なポイントを、ステップごとにわかりやすく解説します。

テレワークで郊外に住み替えるメリット

会社に毎日通勤する場合、通勤の利便性を確保するためには、「駅から近い」「勤務地の最寄り駅まで乗り換えなしで行ける」といった条件が重要です。その結果、住むエリアが自然と限定されてしまいます。

特に都心部に勤務している場合、通勤時間を考慮すると、どうしても都心に近い場所を居住地に選ばざるを得ません。そのようなエリアの物件は、専有面積のわりに価格が割高になる傾向があります。

しかし、テレワークであれば毎日通勤する必要がないため、勤務地から離れた郊外も居住地の選択肢になります。物件選びの自由度が高まるだけでなく、地方移住を促進する支援制度を活用することも可能です。

郊外に住み替える主なメリットは以下のとおりです。

  • ・都心よりリーズナブルな物件が多い
  • ・閑静で自然豊かなエリアに住める
  • ・支援制度を利用できる場合がある

それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

都心よりリーズナブルな物件が多い

郊外の物件は、都心に比べて価格が抑えられている傾向にあります。

例として、23区内(世田谷区・足立区)、23区外(町田市)、東京都外(千葉県千葉市)で、3,000万円前後で購入可能な物件を比較してみましょう。

3,000万円前後で購入可能な物件

住宅種別間取り築年数
世田谷区マンション1LDK築42年
(リフォーム済)
足立区マンション2LDK築20年
(リフォーム済)
町田市一戸建て4LDK
※駐車場2台
新築
千葉市一戸建て4LDK
※駐車場2台
新築

出典:ホームズ
出典:ノムコム
出典:SUUMO

23区内でも特に都心に近い世田谷区では、3,000万円でファミリー向けの物件を購入するのは現実的ではありません。


比較的ファミリー世帯の多い足立区でも、3,000万円では中古の2LDKが中心となり、選択肢は限られます。

一方、町田市や千葉市では、同じ3,000万円で4LDKの新築一戸建てが購入できます。特に子育て世帯にとっては、子供部屋や駐車場を確保できる点は、大きな魅力といえるでしょう。

閑静で自然豊かなエリアに住める

都心部は便利な反面、繁華街特有の喧騒は避けられません。一方で郊外には、閑静で自然に恵まれたエリアも多くあります。

「家では静かな環境でゆっくりくつろぎたい」「休日は自然に触れたい」と考える人にとって、郊外の暮らしは理想に近い環境といえるでしょう。

また、空気がきれいで緑が多い郊外は、育児中の家庭にとっても魅力的な環境です。休日には近所の公園で遊ぶなど、家族でゆったりと過ごせる時間が増えるのも、郊外ならではの魅力です。

支援制度を利用できる場合がある

郊外に住み替える場合、さまざまな支援制度を利用できる場合があります。例として千葉県勝浦市の制度をいくつか紹介しましょう。

千葉県勝浦市の支援制度

支援制度名支援内容
若者等定住促進奨励金勝浦市内で住宅を取得または賃貸住宅に入居した若者夫婦(夫婦のどちらかが39歳以下)に対して1世帯につき10~60万円を支給
勝浦市移住支援事業支援金制度東京23区から勝浦市に移住して一定の条件を満たした場合(就業・テレワーク・起業等)に60~200万円を交付
子育て世帯向け移住体験プログラム「移住の学校inかつうら」空き家と自動車が支給され、地域住民と交流しながら「プチ移住」ができる(有料)。

※利用には条件があります。詳細は出典元のホームページでご確認ください。

出典:ちばらしい暮らし 千葉県移住・二地域居住ポータルサイト

上記のように、郊外にはさまざまな移住支援があります。事前に調べてうまく活用すれば、住み替え費用を大きく抑えられるだけでなく、移住後の「こんなはずじゃなかった」というミスマッチも防ぎやすくなります。

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テレワークで郊外に住み替えるデメリット

頭を抱える男性

郊外の物件は都心に比べて価格が抑えられており、部屋数が多い傾向にあります。

また、閑静で自然が豊かな点も魅力です。静かな環境で過ごしたい方や、自然の中で子育てをしたい方にとっては、多くのメリットがあるエリアといえるでしょう。

しかし、郊外は利便性の面で都心に劣る場合もあります。特に注意したいデメリットは、以下の3点です。

  • ・車がないと生活が不便になる
  • ・日常生活に必要な施設が少ない
  • ・出社時の移動が負担になる

各デメリットについて、以下に詳しく紹介します。

車がないと生活が不便になる

郊外には、車がないと生活が不便になるエリアが多く存在します。これは、都心ほど公共交通機関が充実しておらず、電車やバスの本数が少ないことが主な理由です。

車を所有するには、購入時に数百万円の初期費用がかかるだけでなく、車検代や保険料、自動車税、駐車場代、ガソリン代などのランニングコストも継続的に発生します。車種や走行距離によって異なりますが、年間で25万〜40万円程度の維持費がかかると見込んでおくと良いでしょう。

こうした車の購入費や維持費を総合的に考慮すると、郊外への住み替えによってかえって出費が増えてしまうケースもあるため、事前にしっかりとシミュレーションすることが大切です。

日常生活に必要な施設が少ない

周辺施設の少なさも、郊外に住む際のデメリットのひとつです。都心であれば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアが充実しており、日常の買い物に困ることはほとんどありません。

飲食店やショッピングモール、レジャー施設も多く、余暇を楽しむ場所にも事欠きません。一方、郊外ではこうした施設が少ない傾向にあります。

また、公共交通機関も都心ほど発達していないため、ちょっとした買い物でも車で移動しなければならない場面が多くなります。自然豊かで閑静な環境か、利便性の高い都市部を選ぶかは、ライフスタイルや価値観によって変わります。

住まいを選ぶ際は、自分や家族にとって何を重視するのかを、しっかりと見極めることが大切です。

出社時の移動が負担になる

テレワークが普及した現在でも、出社が求められる場面は少なくありません。国土交通省の「令和6年度テレワーク人口実態調査」によると、雇用型テレワーカーのうち、週5~7日テレワークを実施している人の割合は16.7%にとどまっています。

約8割以上のテレワーカーが週に1回以上は出社している状況を踏まえると、郊外に住み替えた場合、出社時の移動時間が長くなるおそれがあります。

以前はテレワークが積極的に導入されていましたが、現在では「業務効率やコミュニケーションに支障がある」といった理由から、出社回帰の動きも見られます。

今後、会社の制度変更などで出社日数が増えた場合には、郊外に住んでいることで通勤がより大きな負担になるリスクも想定しておきましょう。

テレワークの住み替えで後悔しないためのチェックポイント

テレワークの導入により、郊外へ住み替える動きが広がっています。閑静な住宅街で、都心よりも広々とした住まいに暮らせることは大きな魅力です。一方で、生活や通勤の利便性が低下するおそれもあります。

こうした郊外への住み替えには、メリットとデメリットの両面があるため、慎重な検討が欠かせません。

後悔のない選択をするには、事前にしっかりと調査を行い、住み替え後の暮らしを具体的にイメージすることが重要です。住み替えによる利点と不便さを冷静に比較・検討することで、期待と現実のギャップを最小限に抑えられます。

特に以下の3つのポイントは、事前に確認しておきたい重要な視点です。

  • ・エリアの特徴や利便性を調べる
  • ・プチ移住して実際の生活を体験してみる
  • ・ライフステージごとの変化を考慮する

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

エリアの特徴や利便性を調べる

郊外では、交通の便や周辺施設の充実度が都心より劣る場合も少なくありません。

また、エリアごとの独特な雰囲気や地域コミュニティにうまくなじめないこともあります。物件の価格やイメージだけで住まいを決めてしまうと、実際に暮らし始めてから「想像と違った」と後悔することにもなりかねません。

まずは、以下のような情報をしっかり収集することから始めましょう。

  • ・交通の利便性(駅からの距離、バスの本数、通勤所要時間など)
  • ・周辺施設の充実度(スーパーマーケット、コンビニエンスストア、病院、学校など)
  • ・治安(夜間の人通り、街灯の有無など)
  • ・地域コミュニティ(自治体の有無や活動頻度など)

これらの情報は、不動産会社の担当者やインターネットの口コミなどから得られます。加えて、住み替えを検討しているエリアには実際に足を運び、自分の目で雰囲気や生活環境を確認することが重要です。

プチ移住して実際の生活を体験してみる

エリアについて事前にしっかりと調査することは重要ですが、実際に暮らしたからこそわかることも多くあります。

そこでおすすめしたいのが、「プチ移住」です。プチ移住とは、一定期間そのエリアに滞在し、地域の雰囲気や生活のしやすさ、コミュニティの雰囲気などを実際に体感する方法です。

特に、テレワークが可能な人であれば、住み替え前に生活環境をリアルに確認できる貴重な機会です。

プチ移住を実現する手段としては、マンスリーマンションやテレワーク対応のホテルなどの利用が一般的です。また、エリアによっては自治体や不動産会社が提供する「お試し移住向けの物件」を活用できる場合もあります。

移住後に「想像と違った」と後悔しないよう、実際の暮らしを先取りして体験することが大切です。

ライフステージごとの変化を考慮する

ライフステージごとの変化を考慮することも、住み替えを検討するうえでの重要なポイントです。

若いうちや子供がいる間は、郊外の広々とした住宅に住み、車で移動するライフスタイルが便利に感じられるかもしれません。

しかし、リタイア後や高齢期を迎えると、郊外での生活がかえって負担になるケースもあります。例えば、高齢を理由に自動車免許を返納し、車の運転ができなくなった場合、交通の便が限られている郊外では日常の移動が困難になりがちです。

さらに、周辺にスーパーマーケットや病院などの生活インフラが少ないエリアでは、通院や買い物にも不自由を感じることがあるでしょう。また、郊外の広すぎる住宅は、子どもの独立後に管理や維持が負担となることも考えられます。

現在のライフスタイルだけでなく、将来的にもそのエリアで快適に暮らし続けられるかどうかを見据えたうえで、住み替えの計画を立てることが大切です。

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