住宅ローンの借入を考えるとき、重要な項目として返済比率(返済負担率)があります。
収入に対していくらの金額で返済をするか、その割合を指しています。
返済比率の設定を間違えると、思ったよりも返済が厳しくなり、毎日の生活にストレスを感じてしまうことも。
ライフプランの中でも大きなイベントである住宅ローン。
ストレスなく返済するために、適切な返済比率はどのように算出すれば良いのかをご紹介します。
返済比率とは?
額面年収と年間返済総額の割合を返済比率と言います。
「年間返済額÷額面年収」で計算されたものが返済比率にあたります。
この返済比率は住宅ローンを申し込んだ際、審査で重要視される項目です。
安定した返済を長期にわたっておこなえる、無理のない比率であるかをチェックされます。
金融機関側が返済比率に無理があると判断した場合、審査の通過は難しくなります。
無理のない設定が必要です。
自分では決めかねるという場合には、融資希望先の担当者やFPに相談してみると良いでしょう。
返済比率を決めるとき、住宅ローンの返済額以外の固定費・生活費を考慮するのは当然です。しかし「節約すれば少し高めの返済比率が設定できる、早く完済できる!」と考えるのは危険です。
冠婚葬祭や急な医療費、一時的な減収など、今後何があるか分かりません。
ボーナス払いが返済計画に入っていても、景気や勤め先の業績によっては思い通りにいかないこともあります。
「返済比率は生活に余裕を感じられる程度が良い」としておくと、先々でトラブルがあっても対応しやすくなります。
比率は20%~30%がベター
ストレスを感じにくい返済比率は「20%~30%」と言われています。
もっと高く設定しても生活に余裕があると言う人は別ですが、一般的な社会人ならこの比率が適しているでしょう。
たとえば「フラット35」の利用者の返済比率は、平均21.7%です(2019年)。
中古住宅になると20%を切っているケースも少なくありません。
「20%前後なの?自分の額面年収ならもう少し上げられるかも」と考えるかもしれませんが、額面年収と手取りの差を考慮してみましょう。
税金や保険関連が引かれると、手取りは額面年収よりも低い金額になります。
住宅ローンの返済額は手取りの中から捻出します。
そのため、額面年収だけを基準に設定した返済比率が高すぎると、家計とのバランスが悪くなる可能性が出てきてしまうのです。
額面年収と手取りのそれぞれで計算してみる
額面年収が800万円の人の手取りが600万円、年間返済額を200万円だとしましょう。
額面年収800万円で計算すると返済比率は25%です。
しかし、手取り600万円で計算すると一気に33%まで跳ね上がってしまいます。
実に8%もの開きがあることが分かりますね。
毎月の家計のコントロールに頭を悩ませてしまいそうです。
もちろんその差を気にしない、埋められるという家計環境であれば問題ありません。
しかし手取りが生活費の基盤になっているのなら、返済比率はあまり高めに設定しないほうが良いでしょう。
ほかにも変動金利か固定金利か、繰り上げ返済を視野に入れているのかなど、住宅ローンの返済にはさまざまな条件があります。
多角的な面から判断し、ライフプランに適した無理のない返済比率の設定をおすすめします。
余裕のある返済比率が人生の余裕に
せっかくの素敵なマイホームに住みながら、毎月の返済額が家計を強く圧迫するのは残念なことです。
額面年収と手取りの差の開きを考え、余裕のある返済が可能な返済比率を設定しましょう。
できれば手取りの20%~30%内で設定するのがベターです。
住宅ローンの返済は長く続きます。
ストレスのない返済額で順調に返済し続けられれば理想的ですね。