今だからこそ地震保険に加入する/補償内容や保険料についても解説

東日本大震災から約10年が経過しようとしていますが、その傷が癒えないうちに、日本には震度7級の地震が何度も発生しています。熊本城が倒壊した熊本地震、そして札幌郊外の道路が波打つように変形してしまった北海道胆振東部地震は記憶に新しいところです。

 ほかの地域でも、巨大地震により自宅が倒壊してしまったらどうしようと心配している方も多いことでしょう。

 今回は、「地震保険」について、その概要、補償内容、保険料などを詳しく紹介します。ぜひ、地震保険の契約を検討する際の参考にしてみてください。

地震保険の概要

 地震保険は、地震による揺れ、火山の噴火、これらを原因とする津波を原因とする居住用建物や家財の火災、倒壊、流失などによって生じた損害を補償する損害保険です。単独で加入するものではなく、火災保険とセットで加入するものです。現在、火災保険しか加入していなければ、あとから地震保険を付帯して契約することも可能です。

 地震保険は、損害そのものを保証するというよりは、被災者の生活の再建や安定を目的としたものであるために、損害額のうち補償の範囲に限りがあり、また保険金額も上限があります。

 日本は地震大国であり、地震への備えが非常に重要であるにも関わらず、地震保険の補償内容に制限が加えられているのは、地震保険が特殊な保険であると考えられているからです。

地震保険が創設された経緯・地震保険の仕組み

 地震保険は関東大震災のころから議論はされていました。しかし、地震が起こると広範囲に甚大な損害が発生すること、またそのメカニズムが明らかでないために、発生地域、発生確率などについて予測が困難であることから民間の保険にはなじまないものとして、実現しなかったのです。

 しかし、1964年、当時大蔵大臣であった田中角栄氏が地震保険の創設を強く主張し、地震保険制度が発足するに至りました。

 地震保険は、保険事故(巨大地震の発生)があった場合の保険金の支払いについて、民間の損害保険会社のみの支払能力に依存しているわけではありません。損害保険会社、再保険会社、そして政府が保険金の支払責任を分担して負うことで、安心できる制度設計となっています。

 具体的には、一度の地震により支払われる保険金の額の上限が11.7兆円、このうち871億円までは民間損害保険会社が負担します。871億円を超え1,537億円に達するまでは政府および民間が各50%を負担し、1,537億円を超える部分については政府が大部分(約99.9%)を負担することになっています。

 このように政府が大きく関与した制度設計になっているために、保険料についても民間の保険会社の利益については考慮せずに保険料が決定される仕組みになっています。このように地震保険は、一部公的な意味合いを持つ保険なのです。 

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地震保険の補償内容

 それでは、地震保険の補償内容を具体的に見ていきましょう。

 地震保険は災害地域の範囲が広範囲にわたること、被害が甚大になりやすいこと、地震保険の目的はあくまで被災者の生活の再建にあることから、補償内容、保証金の支払基準についてさまざまな制限があります。

火災保険と地震保険における補償内容の違い

 まず対象建物について、火災保険にはおおむね制限はありませんが、地震保険の対象建物は居住用の建物に限定されています。事業用の工場や店舗、事業用機械などは対象となりません。

 また、補償内容について、地震が原因となった火災については、火災保険ではカバーされず、地震保険の補償内容となります。典型的なケースは、地震の揺れによってストーブが倒れるなどして火災が発生した場合、もしくは隣地の火災が地震の揺れによって燃え広がった場合です。このようなケースは、いずれも火災保険の補償内容から除外されています。

補償金額の設定方法

 補償金額については、地震保険は火災保険の30%から50%の範囲内とされており、さらに建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限となっています。仮に高級住宅街にある1億5000万円の自宅に地震保険を付保しようと思っても、その上限は5,000万円となります。

 補償金の支払基準

 地震保険の補償金は、建物を実際に修補した費用をもとに算出されるのではありません。あくまで、地震による損害の程度に応じて、全損、大半損、小半損、一部損というように分類されて、その分類に従って支払金額が決定されます。それぞれの損害の程度は、建物の主要部分がどの程度損傷しているか、また建物の焼失・流失床面積が建物全体のどのぐらいの割合になっているかによって判定されます。

  補償金額
全損 保険金額の100%(時価を限度とする)
大半損 保険金額の60%(時価の60%を限度とする)
小半損 保険金額の30%(時価の30%を限度とする)
一部損 保険金額の5%(時価の5%を限度とする)

 上記の表にある通り、地震による火災の焼失床面積が50%近くあったとしても、小半損と認定されれば、保険金の支払金額は保険金額の30%となります。やはり、地震保険は建物を再建するためのものというよりは、生活を立て直すためのものという意味合いが強いようです。

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地震保険の保険料

 地震保険は損害保険会社によって相場より高い、安い、ということはありません。地震保険の保険料は居住している地域と建物の構造によって決まっています。

 地震保険は制度が発足してから歴史が浅いことから、今までの支払い実績のみでは保険料を算出するのに十分なデータ量ではありません。そこで、保険料率は、公的な機関によって作成された地震発生データを利用し、精密な被害予測より将来の支払保険金を予測して算出しています。

保険金額1,000万円当たり、1年あたりの保険料は以下の通りとなっています(2019年1月1日以降の保険料)。

居住する都道府県 主として鉄骨造・鉄筋コンクリート造の建物(イ構造) 主として木造建物(ロ構造)
岩手、秋田、山形、栃木、群馬、富山、石川、福井、長野、滋賀、鳥取、島根、岡山、広島、山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島 7,100 11,600
北海道、青森、新潟、岐阜、京都、兵庫、奈良 7,800 13,500
福島 8,500 17,000
宮城、山梨、香川、大分、宮崎、沖縄 10,700 19,700
愛媛 12,000 22,400
大阪 12,600 22,400
愛知、三重、和歌山 14,400 24,700
茨城 15,500 32,000
埼玉 17,800 32,000
徳島、高知 15,500 36,500
千葉、東京、神奈川、静岡 25,000 38,900

保険料の割引制度

 地震保険には、建物が地震に強い性能を有しているか、耐震診断を受けているかなどによって、4種類の保険料割引の制度があります。

  割引率 適用される条件
耐震等級に関する割引 耐震等級3は50%、
耐震等級2は30%、
耐震等級1は10%
住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)を有している建物であること
耐震診断に関する割引 10% 地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、建築基準法(1981年6月1日施行)における耐震基準を満たす建物であること
免震建築物に関する割引 50% 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく、免震建築物であること
建築年による割引 10% 1981年6月1日以降に新築された建物であること

地震保険料控除制度について

 地震保険の保険料については、生命保険等のように所得控除の制度があります。上限は5万円です。住民税については2万5千円を限度に控除されることになっています。

 年末調整や確定申告の際に申請することで地震保険料の控除ができますので、保険料の負担が軽減されます。

地震保険は心強い味方 早めのご相談を

 地震保険は保険料が高いというイメージがあるために、今まで加入を躊躇している方も多いと思います。しかし、実際に地震の被害にあわれた方で、地震保険があったために生活の再建が早まったという方や、政府の援助に加えて地震保険がおりたことで大きな心の支えとなったという方がたくさんおられます。

 地震保険加入をご検討の際にはぜひ「ファミリアホームサービス」にご相談ください。

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