旦那さんが会社を解雇されて収入が減ると、住宅ローンをこれまで通り支払えるのか不安に感じる方もいるでしょう。
失業しても住宅ローンの返済義務は残るため、家計の支出や残債によっては返済が難しくなる場合もあります。ローンを支払い続けられないときは、金融機関への相談や公的な給付制度の利用、家の売却など、状況に応じた対応の検討が必要です。
失業による収入減少。住宅ローンの支払いはどうすればいい?
収入が減って住宅ローンの支払いに不安がある場合は、家計の状況やローンの残高を確認し、失業保険の申請や金融機関への相談を早めにすることが大切です。
まずは、失業したときに、どのように対応すればよいのか、順に紹介します。
1. 家計の収支と住宅ローンの残債を確認する
最初に確認したいのが、現在の家計の状況です。毎月の収入が減った状態で、住宅ローンや生活費をどのくらい支払えるのかを把握しなければ、今後の対応を判断できません。
現在の収支を確かめるために、毎月の住宅ローンの返済額、光熱費、通信費、教育費、食費など、毎月の支出を書き出しましょう。あわせて、預貯金や退職金、失業保険で見込まれる収入、妻の収入なども記載しておきます。
住宅ローンは借入残高や毎月の返済額だけでなく、ボーナス払いの有無、完済予定時期、金利のタイプも確認しておくことが大切です。住宅ローンの返済が一時的に苦しいだけなのか、今後も継続して支払うことが難しいのかによって、取るべき対応が変わります。
数カ月分の生活費とローンの返済を預貯金でまかなえる場合は、再就職までの期間を見据えて支出を見直しましょう。すでに貯金が少ない、退職金がない、妻の収入だけでは返済が難しいという場合は、早めに金融機関へ相談する必要があります。
住宅ローンは、滞納してから対応するのではなく、支払いが厳しくなりそうな段階で相談することで、選択肢が多くなります。家計の状況を把握したうえで、今後の対応を検討しましょう。
2. 失業保険の申請をする
会社を解雇された場合、雇用保険の給付要件を満たしていれば、失業保険を受け取れます。失業保険は、少しでも早く再就職ができるように、失業中の生活を支えるための給付金です。
失業保険の支給は、住所地を管轄するハローワークで求職の申し込みを行い、受給資格の決定を受ける必要があります。会社を辞めたからといって、自動的に支給されるものではありません。
失業保険の手続きには、以下の書類などが必要になります。
・雇用保険被保険者証離職票-1、2
・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
・個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票)
・本人の顔写真2枚(マイナンバーカードの提示で省略可能)
・本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
ハローワークに行けば、すぐに給付金が振り込まれるわけではありません。受給資格の決定後、雇用保険説明会への参加や失業認定などの手続きが必要です。失業保険を住宅ローンの支払いに充てる予定であっても、実際に支給されるまで一定の時間がかかるため、手続きはできるだけ早めに進めましょう。
参考:厚生労働省|ハローワークインターネットサービス – 雇用保険の具体的な手続き
3. 金融機関にローン返済の相談をする
住宅ローンの支払いが厳しくなりそうな場合は、滞納する前に借入先の金融機関へ相談しましょう。
金融機関によって対応は異なりますが、一定期間の返済額を軽減する、返済期間を延長する、元金返済の据え置きなどの方法を提案してくれることがあります。ただし、返済条件を変更できたとしても、住宅ローンそのものが免除されるわけではありません。
毎月の返済額を一時的に下げると、その分だけ返済期間が延びたり、将来の返済額が増えたりする要因になります。総返済額が増えることもあるため、条件変更後の返済計画を必ず確認しましょう。
金融機関へ相談する際は、現在の収入、預貯金、失業保険の見込み、再就職の予定、毎月支払える金額を整理しておくと話が進めやすくなります。「いつまでなら支払えるのか」「いくらなら返済を継続できるのか」を具体的に伝えることが重要です。
4. 連帯保証人に状況を共有する
配偶者が解雇されたら、できるだけ早く連帯保証人に状況を共有しましょう。住宅ローンは家計全体に関わる問題で、夫婦だけで判断すると対応が遅れるおそれがあります。
特に、夫婦でペアローンを組んでいる場合や、妻が連帯保証人・連帯債務者になっている場合は注意が必要です。契約内容によっては、夫が返済できなくなった場合、妻に返済を求められることがあります。住宅ローンの名義や保証の内容を確認し、誰にどのような負担が発生するのか把握しておきましょう。
親族が連帯保証人になっている場合も、ローン返済が滞れば迷惑をかける可能性があります。支払いが難しくなってから伝えるのではなく、早い段階で現状を共有し、今後の方針を相談することが大切です。
5. 返済が難しい場合は家の売却を検討する
家計の見直しや失業保険の活用、金融機関へ相談をしても住宅ローンの返済が難しい場合は、家の売却を検討することになるでしょう。住宅ローンを滞納し続けると、最終的に家が競売にかけられるおそれがあります。
競売になると、売却価格や退去時期を自分で調整できないため、売却をするなら早めに判断することが大切です。
家を売却する場合は、住宅ローン残高と家の売却価格の見込みを確認します。売却価格が住宅ローンの残高を上回る場合は、売却代金でローンを完済できる可能性があります。反対に、売却価格よりも住宅ローン残高のほうが多い場合は、不足分を自己資金で補わなくてはなりません。
家を売るかどうかは大きな判断ですが、住宅ローンを滞納してしまうと選択肢が限られます。返済を続ける見通しが立たない場合は、早めに不動産会社へ査定を依頼し、家の売却で住宅ローンを完済できるか確認してください。
住宅ローンの支払いが不安なときに確認するポイント

解雇やリストラで失業して、住宅ローンを支払い続けられるかどうか不安に感じたときに確認するポイントを紹介します。住宅ローンの返済免除は難しいとしても、そのほかの措置で返済を続けられる可能性があります。
ローンの返済に不安を感じたら、それぞれのポイントを確認してみてください。
住宅ローンが免除される条件
会社を解雇されただけでは、住宅ローンが免除されることは基本的にありません。もし、失業で収入が減少したとしても、返済義務は残ります。
住宅ローンの支払いを免除される代表的なケースは、団体信用生命保険の支払事由に該当した場合です。フラット35の新機構団信では、加入者が死亡した場合や所定の身体障害状態になった場合、残債の返済が不要になります。
新3大疾病付機構団信に加入している場合は、死亡や所定の身体障害状態に加えて、三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)や要介護2以上に該当したときも、団信により全額弁済される仕組みです。
返済を免除される条件は、加入している団信や特約によって異なります。一般的な団信では、失業や解雇は保障対象ではないため、まずは契約内容を確認しましょう。
参考:住宅金融支援機構|団体信用生命保険の契約概要(詳細版)
住宅ローンの残高と毎月の返済額
住宅ローンの支払いが不安なときは、まずローンの残高と毎月の返済額を確認しましょう。残高がいくらあるのか、毎月いくら返済しているのかが分からなければ、返済を続けられるのか、返済が難しいのか判断できません。
住宅ローンの残高は、金融機関から届く返済予定表や残高証明書、インターネットバンキング、金融機関の窓口などで確認できます。毎月の返済額だけでなく、ボーナス払いの有無、完済予定時期も確認しておきましょう。
特にボーナス払いを設定している場合は注意が必要です。再就職するまでは、ボーナスの支給はありません。毎月の返済は何とか続けられても、ボーナス月にまとまった返済ができず、滞納につながるおそれがあります。
住宅ローンの支払いが難しいと判断したときは、毎月の返済額だけでなく、年間の返済総額で考えることが大切です。失業保険や退職金、預貯金を含めて、何カ月分の返済まで行えるかを計算しましょう。
返済期間の延長の有無
住宅ローンの返済が一時的に苦しい場合、返済期間の延長を金融機関に相談する方法があります。返済期間を延ばすことで、毎月の返済額を抑えることが可能です。
毎月の返済額が家計を圧迫している場合、ローンの返済期間を延長できれば、再就職までの負担を軽くできます。
ただし、返済期間を延長すると利息を支払う期間が長くなるため、総返済額が増えることが考えられます。加えて、完済時の年齢や借入状況によっては、希望通りに延長できないこともあるでしょう。
ローンの返済期間延長は、あくまで返済を継続するための一時的な対策です。再就職後に収入が戻る見込みがあるのか、無理なく支払えるのかを確認したうえで検討しましょう。
失業給付や退職金で返済可能か
会社を解雇された場合、失業給付や退職金で当面の住宅ローンを支払えるか確認しましょう。すぐに再就職できるとは限らないため、数カ月分の返済をまかなえるのか把握しておくことが大切です。
失業給付は、雇用保険の加入期間と受給者の年齢、離職理由などによって給付日数や金額が変わります。たとえば、45歳以上60歳未満の方で、被保険者だった期間が10年以上20年未満の場合、給付日数は270日です。
なお、失業給付は働いていたときの給与と同額が支給されるわけではない点にも注意が必要です。給付額は、基本手当日額に所定給付日数を掛けて算出します。
会社都合による退職で、退職時45歳、雇用保険の被保険者期間が10年以上20年未満の場合、所定給付日数は270日です。年収500万円程度であれば、失業給付の総額は約180万~190万円程度が目安となりますが、実際の支給額は退職前6か月の賃金や給付額の上限・下限などによって異なります。
退職金がある場合も、すべてを住宅ローン返済に充てるのではなく、再就職までの生活費や税金の支払いなども考慮して判断することが大切です。
参考:厚生労働省|ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数
住宅ローンが返済できない場合の選択肢
解雇されてからの収入では住宅ローンの支払いが難しく、今後も返済を続けられる見通しが立たない場合は、家の売却でローンの解消を検討することになります。
ただし、住宅ローンの残高や売却までの期間によっては、通常の方法では売却できないこともあるため、事前に確認しておきましょう。
不動産仲介で売却する
家の売却代金で住宅ローンを完済できる見込みがある場合は、不動産仲介で売却する方法があります。不動産仲介とは、不動産会社に買主を探してもらい、一般の購入希望者に家を売却する方法です。
不動産仲介のメリットは、市場価格に近い金額で売却できる点です。住宅ローンの残高より高く売却できれば、売却代金でローンを完済し、残ったお金を引っ越し費用や生活費に充てられます。
ただし、不動産仲介は買主を探す必要があるため、売却までに時間がかかりがちです。売却活動中も住宅ローンの返済が続くため、3〜6カ月程度は返済を続けられるか確認しておくことが大切です。
また、売却価格が住宅ローンの残高を下回る場合、仲介での売却は困難です。まずは不動産会社に家の査定を依頼し、いくらで売れそうなのかを確認しましょう。
任意売却を利用する
家の売却価格より住宅ローン残高のほうが多く、自己資金で不足分を補えない場合は、任意売却を検討することになるでしょう。任意売却とは、ローンを借りている金融機関の同意を得て、家を売却する方法です。
任意売却を利用すれば、通常の不動産取引に近い形で売却できる可能性があります。ただし、売主の判断だけでなく、金融機関の同意が必須です。売却価格や売却時期についても、金融機関と調整することになります。
また、任意売却で売り出せるのは、家を競売にかけられるまでの期間だけです。競売にかけられると、市場の相場よりも売却価格が安くなり、住宅ローンに充当できる金額が少なくなってしまいます。強制退去させられるおそれがあるため、できるだけ早く金融機関に相談しましょう。
任意売却をした後は、売却価格と住宅ローンの残高の差額を分割して支払い続けます。
専門の業者に買い取ってもらう
できるだけ早く家を売却したい場合は、不動産買取業者に買い取ってもらう方法があります。不動産買取は、不動産会社や専門の買取業者が直接買主となる売却方法です。
買取のメリットは、売却までの期間が比較的短いことです。仲介のように購入希望者を探す必要がないため、条件が合えば1カ月程度で現金化できる可能性があります。解雇によって住宅ローンの支払いを長く続けられない場合は、早期売却が有効なケースもあるでしょう。
ただし、買取は仲介で売却する場合よりも、売却価格が低くなる傾向があります。業者は買い取った後に再販売やリフォームを行うため、その費用や自社の利益を見込んだ価格になるためです。住宅ローンの残高が多い場合は、買取価格でローンを完済できるか確認する必要があります。
リースバックを利用する
家を売却して住宅ローンの返済に充てたいものの、すぐに引っ越すのが難しい場合は、リースバックを利用する方法もあります。リースバックとは、自宅を売却した後、買主である不動産会社と賃貸借契約を結び、家賃を支払いながら同じ家に住み続ける仕組みです。
リースバックを利用すれば、生活環境を大きく変えずに、売却代金を住宅ローンの返済に充てられます。ただし、リースバックは、家の売却後に家賃の支払いが発生します。住宅ローンの返済がなくなっても、家賃を支払うことができなければ住み続けられません。
加えて、売却価格が通常の仲介売却より低くなる場合や、賃貸として住める期間が限られる場合もある点は押さえておきましょう。
旦那さんが解雇されて住宅ローンの返済が難しくなったときは、滞納する前に家計やローンの残債を確認し、金融機関へ相談することが大切です。返済の継続が難しい場合は、家の価値を確認するために、一度不動産会社へ相談してみましょう。



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