家の売却価格は、築年数が古くなるほど下がりやすい傾向があります。ただし、築年数だけで価格が決まるわけではありません。
立地や建物の状態、周辺の需要によっては、築年数が経っていても想定より高く売れるケースがあります。相場を知らないまま売却を進めると、安く売り出したり、売れ残りやすい価格を設定したりするおそれがあるため、売るときのポイントを押さえておくことが大切です。
家の売却相場は築年数によってどう変わる?
家の売却価格は、築年数によって大きく変わる傾向があります。一般的に築年数が古くなるほど価格は下がっていきますが、下落幅は物件の種類やエリア、建物の状態によって異なります。
まずは、首都圏の成約データをもとに、築年数別の売却価格の傾向を見ていきましょう。
中古一戸建ての場合
以下は、公益財団法人 東日本不動産流通機構が2025年に公表した資料をもとに、首都圏にある中古一戸建ての成約価格を築年数別にまとめたものです。
| 築年数 | 成約価格(万円) |
|---|---|
| 築0~5年 | 5,147 |
| 築6~10年 | 4,940 |
| 築11~15年 | 4,749 |
| 築16~20年 | 4,313 |
| 築21~25年 | 4,148 |
| 築26~30年 | 3,662 |
| 築31~35年 | 3,148 |
| 築36~40年 | 2,914 |
| 築41年以上 | 2,437 |
参考:公益財団法人 東日本不動産流通機構「築年数から見た 首都圏の不動産流通市場(2025年)」
中古マンションの場合
こちらも中古一戸建てと同様に、公益財団法人 東日本不動産流通機構が2025年に公表した資料をもとに、首都圏にある中古マンションの成約価格を築年数別にまとめたものです。
| 築年数 | 成約価格(万円) |
| 築0~5年 | 8,666 |
| 築6~10年 | 8,201 |
| 築11~15年 | 7,335 |
| 築16~20年 | 6,709 |
| 築21~25年 | 6,075 |
| 築26~30年 | 4,286 |
| 築31~35年 | 2,638 |
| 築36~40年 | 2,761 |
| 築41年以上 | 2,558 |
参考:公益財団法人 東日本不動産流通機構「築年数から見た 首都圏の不動産流通市場(2025年)」
築25年超えの家は売却価格の下落が目立つ
東日本不動産流通機構のデータでは、中古一戸建ては築0〜5年の平均成約価格が5,147万円であるのに対し、築26〜30年は3,662万円まで下落しています。築0〜5年と築26〜30年を比較すると、下落幅は約29%です。
中古マンションは下落幅がより大きく、築0〜5年の平均成約価格が8,666万円であるのに対し、築26〜30年では4,286万円となっています。築0〜5年と築26〜30年で比べると、下落幅は約51%です。
データを見ると、中古一戸建て・中古マンションともに、築年数が古くなるほど成約価格は下がる傾向にあります。
中でも、マンションは築25年を超えたあたりから価格の下落幅が大きくなっており、戸建ても築30年を超えると下落が目立ちやすくなります。築年数が進むと、耐震性や設備の老朽化に不安を感じる買い手が増え、購入判断が慎重になりやすいためです。
家の売却を検討している場合は、築20年や築30年といった節目の前に査定を受けておくと、売却時期を判断する材料になるでしょう。
築年数以外に家の価値を左右する要素と下がる要因

家の売却価格は、築年数だけで決まるわけではありません。同じ築年数の物件でも、立地や建物の状態、間取りによって価格が大きく変動します。
不動産会社が価格を算出する方法や、家の価値を左右する主な要素、売却価格が下がる原因について解説します。
不動産会社が査定価格を算出するときの方法
不動産会社が家の査定額を算出する際は、主に以下の方法を用います。
| 査定方法 | 内容 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 取引事例比較法 | 周辺の類似物件の成約価格をもとに査定する方法 | 住宅の売却査定で最も一般的 |
| 原価法 | 建物を再築した場合の費用から減価分を差し引く方法 | 主に戸建て住宅 |
| 収益還元法 | 将来得られる収益をもとに価格を求める方法 | 賃貸マンションやアパート、投資用不動産 |
家の売却価格を決める要素
売却価格は複数の要素によって決まるため、それぞれ見ていきましょう。
立地の良さ
立地は家の売却価格を大きく左右する要素ですが、その一例をまとめました。
・最寄り駅までの距離
・スーパーや病院など生活利便施設の充実度
・学校や公園など周辺環境
・人気エリアや再開発エリア内にある
・災害リスクの低さ
利便性が高く需要のあるエリアほど、高値で売却しやすくなります。
同じ市区町村内でも、駅からの徒歩分数や周辺施設の充実度によっては、査定額に差が出るケースがあります。
外観や室内の状況
一戸建て・マンション問わず、建物の状態は査定額に影響します。査定時に不動産会社の担当者が確認する主なポイントは、以下のとおりです。
・外壁や屋根の劣化状況
・雨漏りやシロアリ被害の有無
・水回り設備の状態
・リフォーム・修繕履歴
・室内の清潔感や管理状況
定期的な外壁塗装や水回りの修繕が行われている住宅は、購入希望者からの評価が高くなりやすい傾向があります。修繕履歴やリフォーム履歴を事前に用意しておくと、買い手の信頼感につながり、価格交渉でも有利に働くことがあるでしょう。
間取り・階数・日当たり
住みやすさに関わる条件も売却価格を決める重要なポイントです。
・地域の需要に合った間取り
・マンションの階数
・日当たりや風通しの良さ
・眺望の良さ
・生活動線の使いやすさ
購入希望者のニーズに合う物件ほど、売却価格が高くなる傾向があります。
不動産売却で価格が下がる原因
不動産売却では、築年数以外にもさまざまな要因によって価格が下がることがあります。主な原因は以下のとおりです。
・周辺エリアの不動産需要が低下している
・駅や商業施設から遠く利便性が低い
・雨漏りやシロアリ被害などの不具合がある
・外壁や設備の老朽化が進んでいる
・水回り設備の汚れが目立つ
・間取りがいまのニーズに合っていない
・近隣に条件が似ている売却物件が多い
売却前に清掃や軽微な修繕を行うことで、内覧時の印象を改善できる場合があります。雨漏りやシロアリ被害などの不具合がある場合は、隠さずに不動産会社や買主に伝えたうえで、修繕の要否や売却条件を相談することが大切です。
家をできるだけ高く売却する方法
築年数や立地など売主では変えられない要素もありますが、工夫次第で高値売却につながることもあります。相場よりも高く売却するためのポイントを詳しく解説します。
周辺の類似物件と価格を比べる
売却価格を決める前に、周辺で売り出されている類似物件の価格を確認しておきましょう。
ただし、物件の売り出し価格と実際の成約価格は必ずしも一致しないため、方法ごとの特徴を理解したうえで参考にすることが大切です。
| 調べる方法 | 分かること | 注意点 |
| 不動産ポータルサイトで類似している物件を探す | 現在市場に出ている物件の売り出し価格を確認できる | 売り出し価格は売主の希望価格を含むため、実際の成約価格とは異なる場合が多い |
| 不動産会社のホームページで過去の売却事例を見る | エリアの売却事例や成約価格の目安を確認できる | 成約価格や売却時期、物件条件など詳細が掲載されていないケースもある |
| 不動産情報ライブラリやレインズ・マーケット・インフォメーションを活用する | 実際の取引価格や過去の成約情報を確認できる | 物件が特定されないよう加工された情報のため、自宅と同じ条件で比較するのが難しい |
| 不動産会社の査定サービスを利用する | 自宅の立地や築年数、建物の状態を踏まえたうえで概算価格を把握できる | 査定額は不動産会社によって算出方法が異なるため、複数社を比較することが重要 |
相場を確認したうえで家の査定額と照らし合わせると、売り出し価格が妥当か判断しやすくなります。相場より高すぎる価格設定は売れ残りにつながるため、現実的な価格を設定することが大切です。
清掃や整理整頓で内覧時の印象を良くする
購入希望者が物件を見学する内覧では、第一印象が重要です。室内が散らかっていたり汚れていたりすると、建物全体が悪く見えてしまうことがあります。
自宅の内覧前には以下のポイントを意識しましょう。
・不要な荷物を片付ける
・水回りを重点的に清掃する
・内覧前に十分な換気を行う
・明るく見えるよう照明を付ける
・ペットやたばこの臭い対策を行う
清潔感のある住まいは購入希望者に好印象を与えやすく、売却活動を有利に進められます。
内覧は購入意欲を左右する大切な機会です。プロのハウスクリーニングを活用することで、自分では落としにくい汚れや気づきにくい臭いを取り除き、より良い印象を与えられる場合があります。
売却のタイミングを見極める
家を高く売るためには、売り出すタイミングも重要なポイントです。
不動産市場には需要が高まりやすい時期があり、一般的に2月〜3月の春先は転勤や進学に伴う引っ越しが増えるため、買い手が集まりやすい傾向があります。
築20年から30年を迎える物件は、建物の老朽化や修繕のリスクを意識されやすく、売却価格に影響することがあります。「もう少し住んでから売ろう」と先送りにしていると、価格が下がってしまうことも少なくありません。
住み替えや売却を検討している段階で、一度不動産会社の査定を受けると、売却時期を見極めやすくなります。実際に売るかどうかは、査定結果を確認したうえで判断しても遅くありません。
専任媒介・専属専任媒介を検討する
できるだけ高く売却したい方は、複数の不動産会社に査定を依頼したうえで、信頼できる1社と専任媒介契約または専属専任媒介契約を結ぶ方法もあります。
専任媒介契約や専属専任媒介契約であれば、家の売却を任された1社が販売活動を進めます。とくに築年数が古く建物の状態に不安がある家は、1社が物件の強みや注意点を丁寧に分析し、販売戦略を立てることが重要です。
たとえば、リフォーム前提の買主に向けて広告を出す、解体費用を考慮した価格交渉に備えるなど、物件に合わせた売り方が期待できます。
専任媒介や専属専任媒介は1社だけに売却を任せる契約のため、不動産会社選びを誤ると売却活動が停滞するおそれもあります。築年数が古い家を売る場合は、査定額の高さだけで決めるのではなく、売るための具体的な戦略を説明できる会社を選ぶことが大切です。



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