空き家を売却する際、どこまで片付けを進めたら良いのか迷う方も多いでしょう。室内に残置物があっても売却は可能ですが、片付けの有無は売却条件や引き渡し後のトラブルリスクにも影響を及ぼします。
家財の処分には手間と費用がかかるため、できるだけ無駄な負担は避けたいものです。空き家の売却で後悔しないためには、片付けが必要なケースと不要なケース、費用の相場について押さえておきましょう。
目次
空き家の売却で片付けが必要なケースと不要なケース
空き家売却で片付けが必要なケースと不要なケースは以下のとおりです。
| 片付けが必要なケース | 片付けが不要なケース |
|---|---|
| ・できるだけ良い条件で売却したい場合 ・撤去費用の請求を避けたい場合 ・物件をきれいな状態に整えることで、印象改善が期待できる場合 | ・現況渡し(そのままの状態)で売却する契約の場合 ・不動産会社に買い取ってもらう場合 |
個人に売却する場合は、内覧や契約後のトラブル防止の観点から、事前に片付けをしておくと安心です。売買契約で残置物の範囲や処分負担を明確に定めることで、スムーズに売却できる場合もあります。
不動産会社に依頼して買い取ってもらう場合は、会社によって現況渡しで売却できる可能性があります。ただし、残置物の撤去費用の請求を避けたい場合や、片付けることで大きな利益を得られるときは、片付けをしたほうが良いでしょう。
空き家を片付けて売却した場合のメリット
空き家の売却契約の内容によっては、残置物がある状態でも問題なく売却が可能です。実際、部屋をきれいに片付けて売却することで、さまざまなメリットを得られます。
片付けてから売却するメリットを3つご紹介します。
内覧時の印象が良くなる
仲介による売却でも、双方の合意があれば残置物がある状態での売却も可能です。残置物を撤去する契約であっても、売買契約が成立してから引き渡しまでに片付けが完了すれば問題ないでしょう。
ただし、契約内容に関係なく、室内の片付けが済んでいるほうが内覧時の印象が良くなりやすいのは事実です。残置物が多いと物件の状態に関係なく「管理が行き届いていない」「圧迫感がある」などマイナスの印象を与えてしまうおそれがあります。
また、購入希望者が内覧時に将来の生活をイメージしにくい、というデメリットもあります。内覧時の印象は購入するか否かの判断を左右する要素です。内覧時に好印象を与えられるよう、空き家の片付けを早めに済ませておくのが理想です。
査定額の向上が期待できる
売却前に空き家を片付けておくと、査定時や内覧時の印象が良くなり、査定額や価格交渉でプラスに働くケースがあります。
仲介の売却価格は査定額を基準に設定します。物件の状態(劣化の程度、損壊の有無等)だけでなく、室内外から受ける印象や、買い手にかかる負担の程度も査定額を左右する要因です。
片付けが済んでいない空き家は、内覧時に受ける印象も悪くなりやすいため注意しましょう。できるだけ良い条件での売却を目指すのであれば、事前に片付けを済ませておくべきです。
スムーズに売却できる
事前に空き家の片付けを済ませておけば、スムーズな売却が実現しやすいでしょう。理由として以下が挙げられます。
1.内覧時に好印象を与えられるため買い手が見つかりやすい
2.残置物がないため、契約におけるトラブルを軽減できる
3.引き渡し日までに焦って片付けを終わらせる必要がない
特に重要な要素が2と3です。残置物がある場合は、原則として売買契約書に記載する必要があります。残置物に関する記載が不十分だった場合、契約不適合責任を問われるリスクや、売却後に処分費用を請求されるおそれがあるためです。
また3のように、引き渡し日までに片付けが間に合わず、トラブルになるケースも少なくありません。売却開始の時点で片付けが完了していれば残置物が存在しないため、残置物が原因のトラブルが起こらなくなります。
以上のように、トラブルなくスムーズに売却を進めたいと考えている方には、空き家を片付けるメリットは大きいといえるでしょう。
空き家を売却する前に片付けたときの費用目安

売却前に空き家の片付けをする場合、自分で行うか業者に依頼するかで費用は大きく変わります。自分で片付ける場合の費用と業者に依頼する場合の費用の相場、それぞれの注意点についても紹介します。
自分で片付ける場合の費用
自分で片付ける場合にかかる費用の目安は、以下のとおりです。
| 費用の内容 | 発生する場面 | 費用の相場 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 粗大ごみの処理費用 | 家電や大型家具など処分する数が少ない場合 | 1点:数百円~数千円 | ・自治体によって費用の差が大きい ・家電リサイクル法の対象家電は粗大ごみに出せない |
| 廃棄物処理場への持ち込み料金 | ・不用品をまとめて処分したい場合 ・費用をできるだけ抑えたい場合 | 10kgあたり100円〜200円前後※自治体によって金額は異なる | ・自治体によって費用の差が大きい ・分別が必要 ・家具や家電など持ち込めないごみもある ・一部のごみには処理手数料がかかる |
不用品の状態によっては、ごみとして処分するのではなく、リサイクルショップやフリマアプリなどで売却する方法もあります。状態の良いものは売却して現金化し、売却が見込めないものは粗大ごみや廃棄物として処分をすることで、金銭面の負担を最小限に抑えられます。
業者に依頼する場合の費用
残置物を片付けるときの依頼先は複数ありますが、主に不用品回収業者が挙げられます。
不用品回収業者の主な料金プランは以下の3種類です。
| 業者の種類 | 主な特徴 | 向いているケース | 費用の相場 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 不用品回収業者 | ・家具や家電、日用品などの不用品をまとめて回収してくれる業者 ・処分に特化しているため比較的対応が早い | ・家財が多い場合 ・自分で運び出すのが難しい場合 | ・軽トラック約1台分で1万円~1.5万円前後 ・1tトラックで2.5万円~4万円前後 ・2tトラックで5万円~7万円前後 | ・業者によって料金体系や追加費用の有無が異なる ・回収できないものもあるため、事前確認が必要 |
| 遺品整理業者 | ・故人の遺品を整理し、不用品の処分や貴重品の仕分けも対応してくれる業者 ・相続に関する相談を受け付けているところもある | ・印鑑や通帳など処分してほしくない貴重品がある場合 ・遺品の整理に精神的な負担を感じる場合 | ・1R・1Kで3万円~8万円前後 ・1DK・1LDKで5万円~15万円前後 ・2DK・2LDKで14万円~27万円前後 ・3LDK以上で20万円以上 | ・費用が高くなりやすい |
| 空き家片付け業者 | ・空き家にある不要なものを処分してくれる業者 ・害虫駆除に対応しているところもある | ・家財が多い場合 ・建物の老朽化が進んでいて、室内での作業が危険な場合 | ・1R・1LDKで3~18万円前後 ・2LDKで10万円~30万円前後 ・3LDK以上は15万円以上 | ・費用が高くなりやすい |
利用するプランや不用品の量、追加費用の有無によって、費用が大きく変動します。
業者に依頼するときの判断基準
空き家の片付けを業者に依頼するか判断するときは、以下の項目を確認すると良いでしょう。
・空き家を片付けるための時間を確保できるか
・不用品の量が少なく、自分で分別や粗大ごみの処分依頼、廃棄物処理場への持ち込みが可能か
・粗大ごみの処理費用・廃棄物処理場への持ち込み料金の合計と、業者へ依頼する場合の料金のどちらが安価か
仮に不用品の数が少なくても、時間を確保できなければ自分で空き家を片付けるのは難しいといえます。まずは確保できる時間の有無、次に自分で片付けられる物量であるか、最後に費用面で判断していくのがおすすめです。
空き家を片付けずにそのまま売却する方法
空き家を仲介で売却する際、残置物の片付けを求められることが多いでしょう。一方で、空き家を片付けずに売却できるケースもあります。
空き家を片付けずにそのまま売却する方法をご紹介します。
現況渡し(残置物込み)で売却する
仲介での売却でも、双方の合意があれば空き家を現況渡しで売却することが可能です。
残置物がある状態で引き渡す場合は、売買契約書に必ず残置物に関する特約を明記しましょう。残置物特約に最低限記載すべき項目として以下の3つが挙げられます。
・残置物の範囲
・残置物の所有権の帰属(残置物の所有権が物件の引き渡しと同時に買主に移転する旨)
・残置物の撤去・修理・処分費用の負担者
・契約不適合責任の免責
売買契約書には、残置物の有無が必ず記載されているわけではありません。空き家を片付けずに売却する場合は、残置物込みで引き渡すのか、また処分費用の負担について買主と交渉が必要です。
また、契約不適合責任の免責特約を設ける場合でも、売主が知っている不具合や事情を告げずに売却すると、後にトラブルになるおそれがあります。
不動産会社に買い取ってもらう
不動産会社に直接買い取ってもらう方法では、空き家の片付けが不要になる可能性があります。
買取では、リフォームや解体、再販などを前提として行われます。不動産会社側で物件の修理や残置物の処分、解体工事などの必要な作業を行うため、片付けをせずに売却が可能なのです。
買取は仲介に比べて売却価格が安価になりやすいため、残置物の処分費用や工事費用を考慮して売却方法を判断しましょう。買い手を探す必要がなく、スピーディーな売却が可能な点も大きなメリットです。



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