老人ホームの住み替え理由とおすすめ入居先、失敗しないための注意点を解説

廊下にある車椅子

「今の老人ホームが合わない」「もっと医療体制が整った施設に移りたい」そんな理由から老人ホームの住み替えを検討する方が増えています。

しかし、住み替えは体力的・経済的にも負担が大きく、タイミングや選び方を間違えると後悔してしまうケースも少なくありません。では、どんな理由で住み替えが必要になり、どのような施設を選ぶのが正解なのでしょうか。

老人ホームの住み替えによくある理由や、おすすめの入居先の選び方、失敗しないために知っておくべき注意点を解説します。

老人ホームを住み替える主な理由とタイミング

老人ホームの住み替えは、さまざまな要因によって検討されます。以下に、主な理由とそのタイミングについてまとめましたので、チェックしていきましょう。

要介護度の変化

入居者の健康状態が変化し、要介護度が上がることで、現在の施設では適切な介護が受けられなくなる場合があります。

例えば、要介護度が1から2までの方しか受け入れていない施設に入居していて、入居されている方の介護度が3以上になることも起こりえますが、この場合は退去せざるを得ないでしょう。

また、認知症の進行により、認知症専門のケアが必要になるケースもあります。認知症は要介護度とは別に、受け入れ可能な施設もあれば、受け入れていない施設もあるので、別途確認が必要です。

家族内での金銭的な負担増加

老人ホーム費用を入居者の資産だけでまかなえない場合、家族も費用を負担する必要があります。老人ホームの月額費用の相場を以下にまとめましたので、参考にしてください。

  • ・特別養護老人ホーム(特養):月額約5~15万円
  • ・介護老人保健施設(老健):月額約8~15万円
  • ・有料老人ホーム:月額約15~35万円
  • ・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):月額約10~25万円

厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、高齢者世帯の2022年度の平均的な年金・恩給額は191万9,000円です。月額にして約16万円ですから、あまり余裕があるとはいえない状況です。

サービス付き高齢者向け住宅に入居した場合、最大で10万円近くを家族が負担することとなるため、こうした費用負担から住み替えを検討するケースは少なくありません。

施設内の設備やサービスの価格改定

リハビリ設備の縮小、食事サービスの質の低下、スタッフの人員削減といった、設備やサービスの変化を機に住み替えを検討するケースも少なくありません。

また、サービスの価格改定により、月額利用料が大幅に上昇することもあります。実際に、月額利用料が数万円上がったことで、住み替えを決断した入居者もいます。

入居者との人間関係やトラブル

施設内で起こりがちなトラブルや、住み替え原因となりうる事象を見てみましょう。

  • ・他の入居者との騒音トラブル
  • ・スタッフとのコミュニケーション不足
  • ・いじめや仲間外れ
  • ・プライバシーの侵害

特に騒音やプライバシーについては、認知症などの脳の病気がある入居者も受け入れている施設では、完全な解消は難しいでしょう。これが理由で住み替えを検討する場合は、親身が健康な人のみを受け入れる老人ホームを探さなくてはなりません。

またプライバシー問題に関しては、施設により1人ひとりが個室ではない場合、最初は「そのほうが楽しいかと思っていた」ものの、時間がたってストレスに感じるケースも十分に考えられます。熟慮のうえの判断をおすすめします。

老人ホームからの住み替え先と費用相場

老人ホームの入居者とスタッフ

住み替えを検討する際、入居者の健康状態や介護度に応じた適切な施設を選ぶことが重要です。以下に、介護が必要な方、自分で身の回りのことはできる方、それぞれに適した施設の種類と費用相場を見ていきましょう。

介護が必要な人向けの施設

介護が必要な方の入居が可能な老人ホームは、主に以下の種類があります。

  • ・特別養護老人ホーム(特養):月額約5~15万円
  • ・介護老人保健施設(老健):月額約8~15万円
  • ・介護医療院:月額約10~20万円

これらの施設は介護保険が適用されるため、比較的低価格で利用できるのもポイントです。ただし、入居には要介護の認定が必要であり、待機者が多い場合もあります。希望しても、すぐ入居できないケースもあるでしょう。

身の回りのことは自分でできる人向けの施設

身の回りのことは自分でできる、という方には以下のような施設がおすすめです。

  • ・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):月額約10~25万円
  • ・住宅型有料老人ホーム:月額約15~30万円
  • ・シニア向け分譲マンション:物件価格+管理費・共益費

自立した生活を送りながら、必要に応じて介護サービスを受けられます。生活の自由度が高く、プライバシーも確保されている点も大きなメリットといえるでしょう。

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老人ホームの住み替えで失敗しないための注意点

住み替え後に「こんなはずじゃなかった……」と後悔しないためには、以下の注意すべきポイントをおさえて施設を選びましょう。

契約解除料や敷金の返還について確認する

施設を退去する際、契約内容によっては契約解除料が発生することがあります。また、敷金の返還についても、原状回復費用が差し引かれる場合があります。契約書をよく確認し、不明点は施設側に問い合わせて明確にしておくことが重要です。

そのほかにも、退去時には以下のような費用がかかるのが通例です。

  • ・修繕費(原状回復費用)
  • ・クリーニング代(消毒費)
  • ・事務手数料(かからない場合もあり)
  • ・残置物処分費用(私物の家具など処分してもらう場合)
  • ・未払い金(退去までに精算が終わっていない費用)

これらも含めた退去費用の相場として、10~30万円となるケースもあります。

そのほか、入居一時金を支払っているケースでは、償却期間内であれば精算との相殺で残る部分は返還されるのが一般的で、特に入居90日以内であればクーリングオフの適用で全額返還されるべきものと覚えておきましょう。

ただし、特約や特例的なもので契約時に書面に記されていた場合は、返還されないこともあるため、契約条件や特約についても確認しておくと安心です。

退去時の高額請求・不当請求には注意

退去時に、以下のような理由で高額請求された場合には、応じる必要はありません。

  • ・数年住んでいて普通に生活していただけなのに、床の全面張替え費用を請求された
  • ・壁紙が日焼けしていることを理由に、全面張替え費用を要求された
  • ・壊してもいない室内設備の取り換え費用を請求された

不当な高額請求がなされた場合には、国民生活センターに相談しましょう。

参考:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

施設利用料の支払いが二重にならないか確認する

新しい施設への入居と旧施設の退去が重なると、利用料の支払いが二重になるおそれがあります。二重の支払いを避けるには、退去日と入居日を調整し、契約期間の重複を最小限に抑えましょう。

十分な資金を確保してから住み替える

住み替えには入居一時金、引っ越し費用、家具・家電の購入費用など、さまざまな費用がかかります。これらの費用をまかなうには、所有している不動産を売却して資金を確保する方法もあります。

不動産の売却を検討する際は、信頼できる不動産会社に相談し、適正価格での売却を目指しましょう。

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