住み替えで住宅ローンを減税 (控除)するには?その方法と注意点を解説

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住宅ローン控除を適用すると、所得税と住民税を以下の計算によって減税できます。

所得税と住民税からの減税額=住宅ローンの年末残高×0.7%

住宅ローン控除を適用後、新しく住宅を購入してマイホームを住み替えることもあるでしょう。

マイホームを住み替えるときも、原則として最初の住宅購入時と同じように住宅ローン控除を適用できますが、一部の特例とは併用できません。

住み替える新居が新築の場合と中古の場合でも要件は異なるので、事前に確認をしておきましょう。

マイホームを住み替えるときの住宅ローン控除の適用について解説します。

住み替えで住宅ローンを減税 (控除)できる?

マイホームを住み替えるときも、住宅ローン控除を適用できます。

まずは、住み替える新居が新築の場合と中古の場合について、住宅ローン控除を適用するための要件を確認していきましょう。

新居が新築の場合

新居が新築の一戸建てや新築マンションの場合、住宅ローン控除を適用するためには次の要件を満たさなければなりません。

  • ・居住期間が要件を満たしている
  • ・返済期間が10年以上である
  • ・所得が一定以下である

それぞれの内容を紹介します。

居住期間が要件を満たしている

新築日から6カ月以内に居住を開始し、かつ、住宅ローン控除を適用する年の12月31日まで居住を継続しなければなりません。

たとえば10月に住宅ローンを契約し、翌年1月に入居した場合、翌年12月31日まで居住を継続後、翌々年に住宅ローン控除を適用できます。

住宅ローン控除の適用は本人が居住するマイホームに限るため、普段居住しない別荘や賃貸用の住宅には適用できません。

単身赴任などのやむを得ない事情があるときは、家族に住んでもらうなどの方法で例外的に住宅ローン控除を適用できる場合があります。

返済期間が10年以上である

住宅ローンの返済期間は10年以上でなければなりません。

一般的な住宅ローンであれば、返済期間は30年ほどに設定されることが多いため問題になるケースは少ないでしょう。

ただし、契約上の返済期間が10年以上の場合でも、繰り上げ返済をすると返済期間が10年未満になるケースもあるので注意しましょう。

所得が一定以下である

床面積が50㎡以上の場合、年間所得が2,000万円以下のときに住宅ローン控除を適用できます。

所得には、給与、退職金、株式の運用益、不動産所得などが含まれます。夫婦によるペアローンのときは夫婦の合計所得ではなく、夫婦それぞれの所得が2,000万円以下であれば適用可能です。

床面積が40~50㎡未満であり、2024年12月31日までに建築確認を受けた住宅は、年間所得が1,000万円以下のときに適用できます。

新居が中古の場合

新居が中古の一戸建てや中古マンションのときは、前述した新築の場合の要件に加え、以下の要件を満たす必要があります。

  • ・居住期間が要件を満たしている
  • ・現行法の耐震基準を満たしている

それぞれの要件を確認しましょう。

居住期間が要件を満たしている

新居が中古住宅の場合、取得日から6カ月以内に居住開始し、かつ、住宅ローン控除を適用する年の12月31日まで居住を継続する必要があります。

その他の要件は、新築の場合と同じです。

現行法の耐震基準を満たしている

築年数の古い住宅の場合、現行法の耐震基準を満たしていない可能性があります。1982年1月以前に建築された住宅の場合、耐震基準適合証明書を取得して耐震基準を満たすことを証明しなければなりません。

この他には、耐震等級1〜3であることが証明された既存住宅性能評価書や、既存住宅売買瑕疵保険の保険付保証明書が利用できます。

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住み替えで住宅ローンを減税 (控除)するときの注意点

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住宅ローン控除は以下の特例と併用できません。

  • ・3000万円の特別控除
  • ・買い替え特例

それぞれの特例の内容は次のとおりです。

3000万円の特別控除と併用できない

マイホームを住み替えるときは、前の住居を売却して新居の購入資金にあてる場合が多いでしょう。

マイホームを売却すると、売却によって得た利益に譲渡所得税が課されます。3,000万円の特別控除とは以下の要件を満たす場合に、マイホーム売却時の譲渡所得税を3,000万円まで控除できる制度です。

  • ・現在居住している、または転居後3年目の年末を過ぎていない
  • ・売却先が親族や同族会社などではない
  • ・売却年の前年や前々年に3,000万円特別控除、買い替え特例、住宅ローン控除などの特例を適用していない

譲渡所得税は以下のように計算します。

譲渡所得税=(売却価額-譲渡費用-取得費用)×税率

譲渡所得税の税率

所有期間税率
売却年の1月1日時点で5年以下
(短期譲渡所得)
税率39.63%
(所得税 30.63% 住民税 9%)
売却年の1月1日時点で5年超
(長期譲渡所得)
税率20.315%
(所得税 15.315% 住民税 5%)

前年、前々年、前々々年に住宅ローン控除を適用していると、3,000万円特別控除は適用できません。

控除される税額を比較して、どちらがよりメリットが大きくなるか確認したうえで選択しましょう。

住み替えで発生する税金の種類についてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:住み替えにかかる税金の種類と節税方法、よくある失敗を避けるには?

買い替え特例とも併用できない

買い替え特例とは譲渡所得税の支払いについて、将来的に新居を売却するときまで繰り延べできる制度です。

適用すると、新居を売却するときまでは旧住所からの住み替えによる譲渡所得税の納付が必要ありません。買い替え特例を適用するための要件は以下のとおりです。

種類要件
旧住居
(売却)
・現在住んでいる住居、または、転居後3年目の年内までに売却している
・3,000万円特別控除や住宅ローン控除など、他の特例を利用していない
・売却代金が1億円以下である
・居住期間が10年以上である
・売却先が親族などでない
新居
(購入)
・築年数25年以内で、かつ一定の耐震基準を満たしている
・床面積50㎡以上、土地面積500㎡以下である
・旧住居の売却から前後1年以内に新居を購入している

効果はあくまで繰り延べにとどまり、新居を売却するときは納税をしなければなりません。

買い替え特例も住宅ローン控除と併用できないため、どちらかの選択となります。

住み替えで住宅ローン控除を受ける方法・手順

住み替えで住宅ローン控除を適用するには、初年度に税務署へ確定申告をする必要があります。

会社に勤務されている方の場合、確定申告をする機会は少ないかもしれません。2年目以降の手続きは会社の年末調整で行われますが、初年度のみみずから確定申告をします。

ここからは、住宅ローン控除を適用するための確定申告の手順について確認していきましょう。

1.必要書類を準備する

初年度の確定申告では、主に以下のような書類を準備します。

確定申告で必要な書類

必要書類入手方法
確定申告書税務署の窓口や国税庁のHPからダウンロード
住宅借入金等特別控除額の計算明細書税務署の窓口や国税庁のHPからダウンロード
本人確認書類の写し(運転免許証やマイナンバーカードなど)運転免許試験場や市区町村役場など
住宅ローンの年末残高証明書金融機関から発行
登記事項証明書法務局で交付申請
不動産売買契約書の写し不動産売買時に交付
源泉徴収票勤務先で発行

2.必要事項を記入する

「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」に、必要事項を記入して提出しましょう。
主な項目と記入方法は以下のとおりです。

  • ・入居日
    「新築又は購入した家屋等に係る事項」に入居日を記載します。
  • ・取得対価
    契約書に記載されている土地と建物の価額を記入します。
  • ・床面積
    登記事項証明書に記載されている床面積から記入します。
  • ・住宅借入金等の年末残高
    金融機関から送付される借入金の年末残高等証明書に記入します。

3.期日までに税務署に提出する

確定申告の期日は、入居した年の翌年の2月16日~3月15日です。提出先は、住所地を管轄する税務署の窓口となります。

申告を忘れてしまった場合、5年以内であればさかのぼって控除を受けられます。しかし、なるべく早めに申請をしておくのが望ましいでしょう。

住み替えローンの控除方法についてはこちらで詳しく紹介しています。
関連記事:住み替え時の住宅ローン控除とは?適用条件と利用時の注意点を解説

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