建て替えか住み替えか、どう判断する?それぞれの利点と欠点、注意点を解説

家の模型と電卓とお金

家を建て替えるか、住み替えるかどちらを選ぶかで、費用や暮らしの快適さ、将来のライフプランに大きな違いが出てきます。

将来につながる重要な決定を慎重に判断するためにも、建て替えと住み替えのそれぞれの利点と欠点、注意点を確認しておきましょう。

家を建て替えるメリットとデメリット

まずは、現在の住まいを建て替えるメリットとデメリットを見ていきます。

メリットデメリット
・これまでと同じ環境で過ごせる
・間取りや設備をアップデートできる
・税制優遇を受けられる可能性がある
・元の住まいの不満を解消しやすい
・近隣に迷惑になることもある
・建て替え中の仮住まいや引越しが必要になる
・費用が高額になりやすい
・土地の制約や法改正の影響を受ける可能性がある

建て替えなら新築の家を建てられるので、メリットが大きいように感じます。しかし、デメリットもあるため、ひとつずつ確認していきましょう。

メリット

建て替えのメリットについて、詳しく解説します。

これまでと同じ生活環境で過ごせる

現在住んでいる家を建て替える場合は、住む場所が変わらないため、住み慣れた環境で生活を続けられます。職場や子どもの学校が近い場合、通勤や通学をこれまで通り続けられるのがメリットです。

子どもが転校するなどの変化を考慮しなくて良いため、引き続き安心して過ごせるでしょう。大人も、引っ越しして近所付き合いや友人関係をいちから始めるなどの負担なく暮らせます。

また、建て替えての場合は住所が変わらないため、住所変更をしたり、新しく覚えたりする手間もありません。

理想の間取りや設備にアップデートできる

建て替えでは、家族のライフスタイルに合った間取りや設備を自由に設計できます。断熱効果が少なく、夏は熱く冬は寒いと感じている場合は、省エネ性能の高い断熱材を使用したり、高気密の家に建て替えたりできます。

また、オール電化住宅を導入すれば、より電気代の節約にもなるでしょう。子どもたちが成長し、それぞれ外出のタイミングが異なれば玄関キーも複数必要になります。しかし、指紋認証のスマートロックなどを導入すれば、鍵を紛失するリスクも減らせて快適です。

建て替えでは家族の成長や変化に応じて、そのときに必要な設計や設備を取り入れられるのが大きな魅力です。

税制優遇を受けられる可能性がある

建て替えは家を新築することになるため、 住宅ローン減税や固定資産税などの優遇措置を受けられる可能性があります。

省エネ基準を満たした長期優良住宅に認定されれば、次のような優遇が受けられます。

  • ・住宅ローン控除の控除上限額が増える
  • ・不動産取得税が少なくなる
  • ・登録免許税が軽減される
  • ・固定資産税の軽減期間が延長される

また、地方公共団体(自治体)独自の省エネ設備への更新支援などを利用すれば、費用負担をさらに軽減できることもあります。こうした制度を活用することで、経済的な負担を抑えながら建て替えできるでしょう。

元の住まいの不満を解消しやすい

建て替えの場合は、現在の住まいで感じている不便な点や不満に感じる点を解消しやすくなります。

「リビングに収納が少ない、光が入りにくい」「浴室が寒い」など具体的な不満点があるため、建て替え時の設計で直接的に改善できます。長年住んで気づいた改善点を具体的に反映できるのも、建て替えの大きなメリットです。

また、現在の家のサイズ感や間取りの使いやすさ、使いにくさもイメージしやすいため、より暮らしやすい家づくりができるでしょう。

デメリット

続いて、デメリットについて詳しく解説します。

近隣に建て替えを知られる・迷惑がかかる

建て替え工事中は騒音や振動、作業車両の出入りで近隣住民に迷惑をかける可能性があります。建設中だけでなく現在の家の取り壊しも必要になるため、通常の新築工事よりも騒音が出たり、工期が長引いたりする可能性があります。

最悪の場合には、近隣とのトラブルに発展することもあるため、普段から「近隣との関係を良好に保つ」「地域の行事に積極的に協力する」などの姿勢が大切です。

また、建て替えの計画が近隣に知られることで、近隣で噂話されるなど、プライバシーを侵害されるリスクもあります。

建て替え中の仮住まいと引っ越しが必要になる

建て替え工事の期間中は、仮住まいで生活しなければなりません。仮住まいを探す手間や費用がかかります。万が一、工期が伸びると仮住まいの期間が延びるため、家賃や生活費がかさむでしょう。

また、住み替えの場合は、新居への引っ越し1度のみで済みますが、建て替えの場合は仮住まいへの引っ越しと、建て替え後の引っ越しの2度が必要になります。

引っ越しに関しては、住み替えに比べて手間も費用も2倍かかります。

費用が高額になりやすい

解体費用や建築費用、各種申請費用など、建て替えにはさまざまなコストがかかります。特に住み替えには不要なのが、解体費用です。

現在の住まいの解体には、解体費用のほか足場や養生のための費用や重機レンタル費用などが必要です。解体費用の相場は、木造の場合1坪あたり約5万円です。40坪の自宅なら解体だけで200万円前後かかることになるでしょう。

このほか、建て替えの場合は古い家の登録を抹消する「滅失登記」のあと、新居の建物標題登記、所有保存登記、抵当権設定登記が必要です。

登記の費用がかかるうえ、司法書士に依頼するケースがほとんどのため、さらに費用がかかることを念頭に置きましょう。

土地の制約や法律の影響を受ける

建て替えることで、むしろ土地の制約や法改正の影響を受ける可能性もあります。建築基準法や都市計画法の改正によって容積率が変化していたり、高さ制限によって希望の設計ができなかったりするかもしれません。

また、自宅に接する道路が狭い場合、セットバックによって家を建てられる面積がこれまでより狭くなることも考えられます。万が一、接道が狭くて再建築不可の建物だった場合は、そもそも建て替えられないので注意してください。

さらに、隣家との距離間を考慮したり、採光を確保したりするために、リビングの位置や窓の位置なども希望通りにできない可能性があるため、事前に住宅メーカーや工務店に相談しておきましょう。

家を売って住み替えるメリットとデメリット

メリットデメリットと書かれた用紙とペン

次に、家を売って住み替える場合のメリットとデメリットについて解説します。

メリットデメリット
・売却資金を新居の購入費用にまわせる
・幅広い選択肢の中から新居を選べる
・仮住まいが不要になる
・住宅ローンを利用しやすい
・売却がスムーズにいかない可能性がある
・現在の住まいの住宅ローンを一括返済しなければならない
・新しい環境での生活になる
・さまざまな費用が必要になる

住み替えのメリットとデメリットを把握して、建て替えと住み替えのどちらが合っているのか判断していきましょう。

メリット

まずは、住み替えのメリットについて詳しく解説します。

売却資金を新居の購入費用にまわせる

住み替えなら、現在の家を売却した資金を新居の購入費用に充てられるため、初期費用の負担を軽くできます。

例えば、現在の家を1,000万円で売却し、新居の購入価格が2,000万円の場合、売却益の1,000万円をそのまま新居の購入費用にまわせます。

または、売却益のすべてを新居の購入費用に充てずに、引っ越し費用や家具購入費用にまわし、無理なく住み替えるのもひとつの方法です。

幅広い選択肢から新居を選べる

住み替えの場合は、一戸建てやマンションなど幅広い選択肢の中から新居を選べます。また、予算や希望に合わせて、新築物件ではなく中古物件を購入したり、購入した中古物件をリノベーションしたりと、希望や好みに合わせて探すのも楽しみのひとつです。

子育て世帯であれば、庭付き一戸建てで子どもたちにのびのびと過ごせる環境を用意したいと考える方が多いでしょう。一方で、シニア世代の場合は、医療機関や公共交通機関へのアクセスの良い、駅近のマンションに住み替える人も増えています。

仮住まいが不要になる

住み替えの場合は新居の完成後や購入後に引っ越しできるため、仮住まいを手配する手間や費用がかかりません。

建て替えの場合は、建て替えている間の仮住まいが必要です。例えば、仮住まいの賃料が1カ月10万円の場合、工期が6カ月かかるとすると、敷金や礼金などの初期費用や引っ越し費用を含めて約60〜100万円の負担が必要になります。

住み替えでは仮住まいの費用を抑えられるだけでなく、引っ越し回数も1回で済むのがメリットです。

住宅ローンが利用しやすくなる

住み替えの場合は、新居の購入時に新たに住宅ローンを利用できる場合が多いため、比較的低い返済金利で資金を用意できます。仮に現在の住まいに住宅ローンの残債があっても、売却した資金で返済できる可能性が高いため、新たに住宅ローンを組みやすくなるのです。

仮に残債が清算しきれない場合は、住み替えローンなどを活用し、現在の住まいと住み替える住まいのローンを一本化できるローン商品もあります。

デメリット

次に、住み替えのデメリットについて詳しく解説します。

売却がスムーズにいかない可能性がある

住み替えにともない現在の住まいを売却する際、売りたいタイミングで売れない可能性があります。建物の立地や築年数、季節によっても売れるタイミングは変わるため、気に入った新居が見つかったときに、必ず現在の住まいが売れるとは限らないことを念頭に起きましょう。

また、タイミングと同様に、必ず希望の金額で売れるとも限りません。住宅ローンの残債の金額をもとに売却価格を決める場合もありますが、需要が低いエリアでは希望の金額以下でしか買い手が見つからないこともあります。

住宅ローンを一括返済しなければならない

住み替えのデメリットのひとつは、現在の住宅ローンを売却時に一括返済する必要があることです。

例えば、ローン残高が1,500万円で売却価格が1,200万円だった場合、差額の300万円を自己資金でまかなわなくてはなりません。残債を清算していない状態だと、新居購入のための融資額が得られない可能性もあります。

事前に住宅ローンの残債と売却価格の見込みを立てておくことが大切です。

新しい環境での生活になる

住み替えで、これまで住んでいた地域と離れた地域に引っ越す場合は、新しい地域で生活リズムや人間関係をいちから築いていく必要があります。

住み替えによって子どもが転校する場合、新しい学校環境になじむまで数カ月かかる可能性もあります。また、近隣の方との関係も築いていく必要があるでしょう。地域の行事や活動に参加することで、スムーズに新しい環境になじむ努力が大切です。

さまざまな費用が必要になる

住み替えには、新居の購入費用以外にも次のような費用がかかります。

  • ・登記費用
  • ・住宅ローン事務手続き費用
  • ・住宅ローン保証料
  • ・火災保険・地震保険
  • ・引っ越し費用

また、現在の住まいが買ったときよりも高く売れたときは譲渡所得税を支払う必要もあります。

仮に、新居の購入費用が3,000万円だったとしても、住み替えにともなう費用を含めると100万円以上プラスでかかるでしょう。新居に住み替えるタイミングで、家具家電を新調したいと考える人も多いため、事前に予算の計画を立てることが大切です。

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建て替えか住み替えか判断するための注意点

建て替えと住み替えは、どちらもメリットとデメリットがあります。家族の状況や資金の状況によってもどちらを選ぶべきかは変わってくるため、判断のための注意点を見ていきましょう。

予算と資金計画をきちんと立てる

建て替えと住み替えではかかる費用や負担が異なるため、計画的に予算を組まなくてはなりません。それぞれの状況によって、建て替えが良いか住み替えが良いかは大きく異なります。

現住居の住宅ローンの残債が残っている場合は、建て替えよりも現在の住まいを売却して住宅ローンを完済し、住み替えるほうが良いかもしれません。

ただし、売却査定額はあくまで予測に過ぎず、実際の売却価格とは異なる可能性がある点に注意しましょう。さらに、売却が完了するまでの期間も予想以上に長引くことがあるため、少なくとも6カ月以上の余裕を持ったスケジュールを立てるのがおすすめです。

建て替えの場合も、解体費用や仮住まい費用など、見落としがちな費用を計画に入れておくことが大切です。

家族のライフプランを考慮して決める

家族のライフプランを考慮して、建て替えや住み替えの計画を進めることも重要です。家族構成や家族の年齢によって、建て替えてこれまでと同じ場所で暮らすほうが良いか、住み替えて別のエリアで暮らすほうが良いかの判断は異なります。

例えば、子どもがまだ小さい場合は、同じ場所で建て替えたり、住み替えるとしても同じ学区内に住み替えたりと、大きく環境が変わらないよう配慮する家庭が多いでしょう。

一方で、子どもが独立してセカンドライフについて考える家庭では、駅近の住まいに住み替えたり、階段のない平屋やバリアフリー設計の住宅に建て替えたりすることも考えられます。

家族の誰かが独断で進めるのではなく、家族全員で理想の生活や優先することについて話し合って決めましょう。

不動産会社によく相談する

納得のいく建て替えや住み替えをするには、信頼できる不動産会社に相談し、アドバイスをもらうことが欠かせません。

各不動産会社によって、得意なエリアや物件の種類などが異なります。売却したい住まいや、住み替え先の住まいなど地元市場に詳しい不動産会社を見つけましょう。地元に強い不動産会社なら、売却相場や購入先の条件に合った情報を提案してくれます。

また、住み替えの場合は、売却と購入、両方のスケジュールを調整してスムーズに住み替えられるよう、配慮してくれる不動産会社を選ぶのがおすすめです。不動産会社の担当者と信頼関係を築き、疑問点を気軽に相談することで、よりスムーズに住み替えを進められるでしょう。

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