金利上昇で不動産価格はどう変動する?購入と売却への影響まとめ

金利と書かれたブロックとコイン

金利が上昇すると、住宅ローンの支払額が増えることから、不動産購入や売却を検討している方にとって大きな影響が出るおそれがあります。

金利上昇が不動産価格に与える変動や、購入や売却時に押さえておきたいポイントを解説します。金利変動がどのように影響するのかをしっかりと理解し、不動産売買時に賢い判断をしましょう。

金利が上昇すると不動産価格は下落しやすい、その理由とは?

金利が上がると、一般的に商品の価格も上がり、逆に金利が下がると価格は下がるのが市場の基本です。

それでは、不動産市場でも同じことがいえるのでしょうか。なぜ金利が上昇すると不動産価格が下落するのか、その理由を解説します。

住宅ローンの負担が増すことによる購入意欲の低下

金利が上昇すると住宅ローンの負担が増え、不動産を購入しようとする人の意欲が下がることがあります。

購入意欲が下がることで市場の需要が減り、不動産価格が下がりやすくなります。購入意欲が下がる主な原因は2つあります。

1つ目は、金利上昇によって毎月の返済が増えることで、「今不動産を買っても大丈夫だろうか」や「将来もっと負担が増えたらどうしよう」といった不安が生じることです。

2つ目は、返済額が増えると今まで購入できた物件が購入できなくなることです。

例えば金利1%の場合、3,000万円を35年間借りると、毎月の支払いは約8万5,000円です。
しかし、金利が2%になると、毎月の支払いは約9万9,000円になり、同じ支払額に抑えようとすると約2,500万円の借入にしかなりません。

つまり、金利が安いときは3,000万円の物件を購入できたのに、金利が上がると2,500万円までの物件しか選べなくなるのです。その結果、理想の物件を選べないことで購入意欲が低下します。

金利の上昇が資金調達コスト全体を押し上げる影響

金利が上昇すると住宅ローンの毎月の返済額が増え、家計の負担が大きくなります。その結果、住宅を購入しようとする人々が減り、不動産市場が縮小し、価格が下がりやすくなります。

不動産価格は住宅市場だけでなく、不動産投資市場にも影響を受けます。金利が上昇すると、投資物件を購入する際の借入の返済額も増加します。

返済額が増えることで不動産投資の収益性が低下し、投資家も購入を控えるようになります。

投資家の需要が減少すると、市場で売買される不動産の価格も下落し、不動産市場全体に影響を及ぼします。

売り急ぐ人の増加で供給過多に

金利が上昇すると不動産価格が下落しやすくなるため、不動産を売却する人たちが増えます。
また、金利上昇によってローン返済が困難になった人も増えるため、売り出される不動産は増加します。

不動産価格は需要と供給のバランスで決まります。供給が増えて需要が減ると、価格は下がります。

売却する人が増えると供給過多になり、不動産価格はさらに下落します。さらに、不動産価格が下がりはじめると「もっと値下がりするかもしれない」と考える人が増え、買い控えが進みます。

結果として需要が減り供給過多が続き、価格の下落がより一層進むのです。

金利が上昇しても不動産価格が下落しないケースもある

ビル模型とグラフ

金利が上昇すると不動産価格は下落する傾向があることを解説しましたが、価格が下落しない、または、しづらい不動産や状況もあります。

ここでは、金利が上昇しても不動産価格が下落しないケースをいくつか紹介します。

不動産需要の高いエリアの物件

以下のような不動産需要が高いエリアの物件は、金利が上昇しても価格が下落しにくいです。

  • ・人気エリアの物件(住環境が優れているため)
  • ・再開発エリアで今後の発展が見込まれる地域
  • ・新興住宅地

また、供給が少ないエリアの物件も同様に価格の影響を受けづらいです。

例えば、売り物件が5年以上なかった地域では、そのエリア限定で待っている購入希望者が必ずいるため、金利上昇の影響を受けずに高く売れる可能性が高いでしょう。

こうした地域では、物件の希少性や需要の高さが価格の下落を抑える要因となります。

希少性の高い物件

希少性の高い物件も、価格が下落しづらい特徴があります。一般的に人気のある物件は、需要が高いため価格が下がりにくいです。

例えば、駅近の物件は数に限りがあり、便利な立地のため常に高い需要があります。また、築浅の物件も新しいため、売りに出される件数が少なく希少性が高いです。

マンションの場合、最上階やルーフバルコニー付き、コンシェルジュサービス付き、角部屋など、特別な特徴を持つ物件は数が限られているため、他の物件よりも希少性が高くなります。

戸建ての場合、「角地」「高台」「眺望が特別に優れている」「有名建築家によるデザイン住宅」なども希少性が高いため、価格が下落しにくいです。

このように、希少性の高い物件は常に需要があり、価格の下落を防ぐ要因となります。

好景気・インフレ市場

金利が上昇しても、それ以上に好景気でインフレが強い市場では、不動産価格が下落しないことがあります。

一般的には、好景気に伴う物価上昇(インフレ)を抑えるために金利を引き上げますが、好景気が続く場合には金利上昇が十分でないときは物価高が続くことがあります。

不動産市場でも同様で、不動産バブルのような状況では、住宅ローンの金利が高くなっても不動産価格が下落しません。

例えば、日本が経験したバブル期では、住宅ローン金利が6%以上の高金利でしたが、不動産価格は上がり続けました。

しかし、バブルがはじけると、不動産価格は急激に下落します。不動産市場における価格変動は、経済全体の動向や市場のバランスに大きく影響されるのです。

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不動産の購入タイミングの見極め方

不動産の購入を検討している方は、購入するタイミングによって損はしたくないはずです。
不動産購入は「購入を考えた今がタイミングです」といわれますが、本当なのでしょうか。

また、金利が上がるかもしれない今は、不動産の購入のタイミングなのでしょうか。

ここでは、不動産を購入したほうが良いタイミングの見極め方について解説します。

貯蓄が十分に用意できる

不動産購入のための貯蓄をされていて、十分な自己資金が用意できている方は購入のタイミングとして適しています。

一般的に住居購入のための自己資金は10%とされています。つまり、それ以上の自己資金がある方は、十分な貯蓄があるといえます。

自己資金が十分であれば、自己資金がない方に比べると住宅ローンの金利が上がっても、その影響は少なくて済みます。

「金利上昇時に貯蓄を銀行に預けて利息を受け取る」という選択肢もありますが、預金金利はまだまだ低く、住宅ローンの金利よりも低いのが通常です。そのため、不動産購入のための貯蓄であれば、購入のために利用するほうが賢明です。

金利上昇に影響を受けないエリアの物件

金利が上昇すると、一般的に不動産価格は下落するとされています。

しかし、金利上昇に影響を受けずに下落しづらい物件の場合は、金利の上下に関わらず購入しても問題ありません。

需要の高い人気エリアの物件や希少性の高い物件は、金利上昇に影響して価格が変動しづらいです。

気に入った物件があったら、他の人に買われてしまう前に購入をしたほうが良いでしょう。

また、逆に地方や田舎の物件で、もともと単価が安い物件は金利上昇に影響を受けません。
金利が上昇して返済額が増えても、そもそもの返済額が少ないので、増える返済額の幅が小さく、価格への影響もそれほど大きくありません。

単価の安い物件の購入を検討している方は、金利上昇などの市場はあまり気にしなくてもいいでしょう。

今後の金利上昇が予測できる

好景気でインフレが強い市場で、今後も金利上昇が予測される場合は、早い段階で不動産を購入するほうが賢明かもしれません。

住宅ローンには変動金利と固定金利の2つの選択肢があります。変動金利は市場金利が上がると連動して上がりますが、固定金利は借入時の金利が一定期間据え置かれます。

そのため、金利が上昇する前に、長期の固定金利で住宅ローンを借り入れることがおすすめです。

また、好景気でインフレが強い市場では、不動産価格がさらに上昇する可能性があります。
したがって、価格が上がる前に購入するほうが有利です。

ただし、不動産バブルのような状況で、価格が実態以上に高くなっている可能性もあるため注意が必要です。

不動産の売却タイミングの見極め方

不動産の売却をいつしたらいいのか、お悩みの方も多いのではないでしょうか。売却するなら少しでも高く売りたいと考えるのが当然です。

「不動産売却のベストタイミングはいつなのか」ここでは、不動産売却を検討した方がいいタイミングの見極め方について解説します。

築年数が築20年以上

築年数が古い物件を売却する際は、なるべく早めに売却することをお勧めします。

特に戸建住宅では築年数が古くなればなるほど、建物の価値が下がるので、土地がよほど値上がりしていない限り、不動産価格全体が下落します。

マンションの場合は、鉄筋コンクリート造で建物が頑丈なため、戸建よりも価格下落の角度は緩やかですが、やはり築年数が古くなればなるほど価格は下落します。

また、築年数が古い物件は長く所有していればいるほど、修繕のリスクが高まります。設備などが故障すれば修繕費用がかかってきます。

さらに、雨漏りや建物の傾きなど大きな問題が発生してしまうと、市場価格よりも大幅に安い価格に下がってしまう可能性もあります。戸建の場合は特に築20年以上を経過している物件は注意が必要です。

金利上昇で競合物件の供給が多くなる前

金利上昇が原因で不動産価格が下がり始めると、多くの売主がもっと価格が下がる前に売却しようと考えます。

また、ローンの返済額が増えたことで、支払いが難しくなって売り急ぐ人たちも現れます。
このように売り出される物件が増えると、需要よりも供給が多くなり、価格はさらに下落します。

また、売り出し物件が多く競合する物件が増えると、自分の物件が選ばれる確率が低くなり、売却に時間がかかることがあります。売却期間が長くなると、価格を下げないと売れない状況に陥ることもあるでしょう。

したがって、金利上昇が見込まれる状況では、競合物件の供給が増える前に売却することをおすすめします。

ライフスタイルに変化があった

「結婚した」「子供が生まれた」「転職をした」「子供が独立した」「定年をした」など、ライフスタイルに変化があり、住んでいる物件が新しいライフスタイルに合わなくなった場合は、売却のタイミングです。

家族構成に合っていない広さの物件や、ライフスタイルと生活環境が合っていない立地の物件に住み続けるのは、金銭的な負担よりも精神的や身体的な負担が大きくなることがあります。

市場の動向よりも、自身のライフスタイルに合った住み替えをおすすめします。

住み替えに関するお問い合わせはファミリアホームサービスまで
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