住み替えにかかる税金の種類と節税方法、よくある失敗を避けるには?

家の模型とお金
  • ・住み替えで思わぬ税金が……
  • ・せっかくの新居なのに、税金で予算オーバー……

こんな失敗をしないために、知っておくべき税金の種類と賢い節税方法があります。さらに、多くの人が陥りがちな落とし穴も紹介します。

あなたの住み替えを税金面でも成功させる重要なポイントを、これからお伝えしていきます。新生活を迎える前に、ぜひチェックしてください。

住み替えにかかる税金の種類

住み替えをするときには、これまでの住まいを売却し新しい住まいを購入するという、2つの不動産取引を行います。

2つの不動産取引にそれぞれに税金がかかってきます。ここでは、その税金の種類や内容について解説します。

登記にかかる登録免許税

不動産の売買は「所有権」を売主から買主に移転することにより手続きが完了します。所有権の移転は「登記」が必要であり、登記には基本的に「登録免許税」がかかります。

住み替えの場合に登録免許税がかかる登記の種類は、次のようなものです。

住み替えの場合に登録免許税がかかる登記の種類

売却購入
抵当権などの権利解除所有権移転
住所などの変更抵当権設定

書面契約なら印紙税

不動産売買取引では「売買契約書」を作成するのが一般的です。売買契約は「口頭」でも有効ですが、不動産会社の仲介により契約する場合は必ず「契約書」を作成します。

住み替えでは売却と購入の2つの契約を行いますが、どちらの契約でも不動産売買契約書は印紙税法による「課税文書」に該当するため印紙税がかかります。

ただし、現在は不動産取引の契約は「電子契約」が認められているため、書面による契約ではなく「電子的」な方法で契約ができるようになっています。この場合には印紙税法が適用されず、印紙税はかかりません。

利益にかかる譲渡所得税

住み替えの場合にはこれまで住んでいた住宅を売却します。不動産を売却したときに売却益があると、「譲渡所得」になります。

譲渡所得があると譲渡所得税が課税されます。たとえば会社員の場合は給与に所得税が課税されていますが、譲渡所得税は給与にかかる税金とまったく別に課税が行われます。

これを「分離課税」といいますが給与所得と分離して課税されるため、さまざまな特例措置を設けることができ、課税額の軽減を受けられるようになっています。

また譲渡所得は売却した年の翌年に、税務署に確定申告し所得額や税額を決定したうえで納税します。

また譲渡所得には住民税も課税されますが、税務署への確定申告により住民税の申告手続きも済ませられます。

購入にかかる不動産取得税

新しい住まいを購入する場合にも税金がかかります。不動産を新たに取得した場合は「不動産取得税」がかかりますが、納税するのは都道府県です(※登録免許税・印紙税・譲渡所得税は国税、譲渡所得による住民税は市町村税)。

不動産取得税は所有権移転後、数カ月経過すると、都道府県税事務所から納付書や計算書が送られてきます。ただし住宅を取得した場合、一定の要件を満たしていれば減免措置を受けられます。

住み替えの税金を抑えるための節税方法

節税イメージ

住み替えをすると各種の税金がかかりますが、税金を軽減できる制度があります。

うまく活用して、納める税金をできるだけ抑えるようにしましょう。ここでは節税方法として代表的なものの概要を解説します。

まずは3000万円特別控除を利用

不動産売買でもっとも高額になる税金は「譲渡所得税」です。

住宅を売却したときにかかる譲渡所得税の節税方法として一般的なのが、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。

この特例はこれまでの住まいを売却したときに譲渡所得があった場合、所得金額から3,000万円が控除されるものです。つまり売却価格が3,000万円以内であれば譲渡所得は全額控除されますし、3,000万円を超える売却価格であっても譲渡所得が3,000万円以内であれば、譲渡所得税はかからない特別措置になっています。

譲渡所得が3,000万円を超えている場合は3,000万円までは控除され、超えた分の譲渡所得に対し課税されます。

この特例を適用するには確定申告が必要になるので、売却価格が3,000万円以内であっても必ず申告するようにしてください。

マイホームの所有期間が10年超えなら、軽減税率の特例

上記の「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を適用し、3,000万円を超えた所得金額に対して適用できるのが「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」です。

ただし条件があり、これまでの住まいの所有期間が10年を超えている必要があります。

軽減措置の内容は、所得金額が6,000万円までは通常の長期譲渡税率15%(復興特別税を除く)よりも軽減され10%になるというものです。6,000万円を超えた分に関しては15%になりますが、3,000万円の特別控除と併用できるので軽減措置としては大きなものになっています。

新居の購入には住宅ローン減税

新しい住まいの購入には住宅ローンを利用する方がほとんどです。住宅ローンを利用した場合には、「住宅ローン減税」を受けられます。

住宅ローン控除とは住宅取得のために借入れた住宅ローンの残高に対し、新築住宅で13年間、中古住宅で10年間、年末時点の住宅ローン残高の0.7%に相当する額を所得税から控除する制度です。

取得する住宅の環境性能により借入限度額に制限があり、制限を超えた金額については控除の対象になりません。

また新築住宅については環境性能が「省エネ基準」以上の住宅ですが、中古住宅は断熱性などの環境性能に関する要件はありません。

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住み替えの節税でよくある失敗を避けるための注意点

住み替えの際の節税方法にはいろいろな方法がありますが、併用できるものもあれば併用できない方法もあります。

併用できない節税方法については、よく比較しメリットの大きい方法を選択する必要があるでしょう。ここでは代表的なケースについて解説しますので参考にしてください。

3000万円特別控除が得か、住宅ローン控除が得か

居住用財産の売却で適用できる3,000万円控除は、新しい住まいを購入するときの住宅ローン控除と併用できません。

3,000万円控除は上限額を表しており、譲渡所得が少ない場合には控除できる金額も少なくなってしまいます。

住宅ローン控除は住宅ローン残高の0.7%が毎年控除され、新築住宅であれば13年間継続します。

たとえば省エネ基準の新築住宅を購入し令和7(2025年)年に入居する場合は、住宅ローンの控除が適用できる借入限度額は3,000万円です。

住宅ローン控除により所得税から還付される金額をシミュレーションしてみましょう。

便宜上、令和7(2025年)年1月に入居し、ローン返済も1月からと仮定して計算します。借入金は3,000万円とし金利は1.0%、35年払いと仮定します。

住宅ローン控除により所得税から還付される金額をシミュレーション

借入残高(万円)控除額(万円)
2025年末2,92820
2026年末2,85520
2027年末2,78219
2028年末2,70819
2029年末2,63318
2030年末2,55718
2031年末2,48117
2032年末2,40317
2033年末2,32516
2034年末2,24716
2035年末2,16715
2036年末2,08715
2037年末2,00614
合計225

*計算を簡略にするため年払いの計算にしていますので、実際の借入残高の数値とは若干異なります。

このように13年間で約225万円の住宅ローン控除が受けられるのですが、売却した譲渡所得が225万円超であれば3,000万円特別控除を選択するほうが得です。

逆に譲渡所得が225万円未満であれば住宅ローン控除を選択するほうが、節税効果は高くなるでしょう。

新居購入後、永住なら譲渡所得税が不要の「特定の居住用財産の買換えの特例」

買換えにより新しい住まいを購入し、その後買換えた住まいを売却しなければ、3,000万円特別控除よりも「特定の居住用財産の買換えの特例」のほうが節税効果に期待できる場合があります。

特定の居住用財産の買換えの特例」とは、買換えのために売却したときの譲渡所得税を、買換えた住まいを売却するときまで繰延べできる特例です。3,000万円特別控除を利用しても課税所得が残る場合に、選択肢として検討したい方法です。

繰延した買換え時の譲渡所得は、将来、買換えをした住まいを売却する時の譲渡所得に加算されますので、売却する予定がまったくない場合には、いつまでも譲渡所得税が課税されることはありません。

将来、買換えをした住まいを売却することが予想される場合には、買換え時に3,000万円特別控除を利用するか、買換え特例により繰延するかを比較検討する必要があります。

ただしこの特例は、買換えをした住まいの代金が売却した住まいの代金以上の場合にのみ適用できるので注意が必要です。また買換えのために売却する住まいについては、居住期間が10年以上かつ所有期間が10年超の条件があるので、ここにも注意してください。

買換えの特例と3,000万円特別控除の繰り返し、どっちが得か

上記は買換えた住まいを将来売却しない場合の節税方法として紹介しましたが、2度目に取得した住まいを売却する予定がある場合には、買換え特例を適用せずに「3,000万円特別控除」をくり返し適用させる方法があります。

買換えの特例は譲渡所得を繰延する方法のため、買換えた住まいを再び売却する場合には、最初に売却した譲渡所得が加算されます。そして2度目の住まいを売却する時点で3,000万円特別控除や、10年超の軽減税率を適用させられます。

一方、買換えた住まいの売却時期が最初に住まいを売却した年から3年目以降であれば、買換えの特例を使わず「3,000万円特別控除」をくり返し適用することも可能です。

どちらが得かは「課税所得金額」や「住宅ローン控除」による所得控除額により異なるため、売却する住まいの所有期間なども考慮したシミュレーションが必要です。

このようなシミュレーションは複雑な計算となるため、買換えの計画があり節税方法などについて検討する場合には、買換えに詳しい不動産会社に相談することが大切です。

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