老後にマンションを売るべきか持ち続けるのか。人生の転換期に立つ世代にとって、この決断は簡単ではありません。
マンション売却にはメリットやデメリットがあることに加え、売却後の住まい選びは、第二の人生を豊かにするチャンスとも考えることができます。
老後のマンション売却に関する利点と、見落としがちな注意点を解説します。さらに、売却後の新たな住まいの選び方まで疑問にお答えします。
目次
老後のマンションを売却するメリット
老後にマンションを売却することには多くのメリットが存在します。売却によるメリットは、生活の質を向上させ、老後をより快適に過ごすための重要な要素です。
特に重要なメリットを3つに分けてくわしく解説します。
年代に合った暮らしやすい場所、家に住める
老後にマンションを売却するメリットとして、年代に合った暮らしやすい場所や家に住めることが挙げられます。
高齢者にとって、バリアフリーや段差の少ない住宅で暮らすことは重要です。年齢を重ねると体力や運動能力が低下し、段差や階段が大きな障害となります。
そのため、段差のないフラットなつくりの住宅や、車いすでも移動しやすいバリアフリー設計の住宅が求められます。これにより、日常生活の動作や暮らしが楽になり、事故のリスク軽減できます。
また、医療施設や公共交通機関が近くにある場所に引っ越すことは、高齢者にとって安心材料となります。医療施設へのアクセスがよい地域に住むことで、緊急時における迅速な対応が可能となり、定期的な通院もしやすくなります。
公共交通機関が整備された地域に住むことで、自動車に依存せずに移動できるため、高齢で運転が難しくなった場合でも不便を感じることなく生活を続けられることもメリットです。
子どもの家の近くや同居などが選択肢になる
マンションを売却することで、子どもの家の近くに引っ越す、もしくは同居するといった選択肢が生まれます。
高齢者にとって、孤独は健康に悪影響を及ぼす重大な要因です。子どもが暮らす家の近くに住むことで頻繁な訪問が可能となり、孤独感の解消につながります。
また、近くに住むことで、日常的なサポートを受けやすくなり、買い物や病院への付き添いなど、ちょっとしたサポートも頼むことができます。
一方で、子どもと同居する場合には、家事や育児を手伝うことで子育てにおける家族の負担軽減に貢献できます。
食事の準備や掃除、子どもの送り迎えなどをサポートすることで、共働き世帯の負担を減らせることも、老後の生きがいになるでしょう。
スローライフなど、定年後の楽しみを増やせる
老後のマンション売却により、スローライフを楽しむための選択肢が広がります。
都市部の騒がしさから離れ、地方や自然豊かな場所に引っ越すことで、静かな環境で心身のリフレッシュを図ることが可能です。趣味に没頭したり、ガーデニングやアウトドア活動、地域のコミュニティ活動に参加したりすることで、豊かな時間を過ごせるでしょう。
また、リタイア後には新しい趣味や学びを始めるかもしれません。都心部では、陶芸や絵画、音楽など、趣味を始めるための教室や施設が多く存在しています。新しいスキルを学びことで、自分の時間を有意義に使うことが可能です。
さらに、リタイア後にリゾート地への移住や海外移住を考える方も多く、これにより新たな文化やライフスタイルを体験できます。リゾート地では美しい自然環境の中でリラックスした生活を送り、海外移住では異なる文化や言語に触れ、新たな刺激が受けられます。
老後のマンションを売却するデメリット
老後にマンションを売却することには多くのメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。
老後にマンションを売却する際のデメリットについてくわしく解説します。
片付けなど、引っ越しの労力がかかる
老後にマンションを売却する場合、引っ越しにともなう片付けや荷物の整理に大きな労力が必要です。
長年住んでいると、家の中には多くの物が蓄積されており、それらを整理し、新しい住居に持ち込むか処分するかを決める作業は、肉体的にも精神的にも大変な負担になります。
特に、高齢者にとっては体力的な負担が大きく、無理に作業することで健康を損なうリスクも考えられるでしょう。
この対策としては、専門の引っ越し業者などのプロによるサービス利用が挙げられます。業者の助けを借りることで、効率的に作業を進められ、体力的な負担を軽減できます。
また、家族や友人の協力を得ることで作業を分担でき、精神的な負担も軽減できます。
住み慣れた街、マンションを離れることによる心理的負担
長年住み慣れた街やマンションを離れることは、高齢者にとって大きな心理的負担です。
これまでの生活の中で築いてきた人間関係や地域のコミュニティを離れることは、不安や寂しさを感じるかもしれません。また、住み慣れた環境から新しい環境に適応するには時間がかかり、その期間中は少なからずストレスになる点にも注意が必要です。
対策としては、引っ越し先を決める際に、すでに知人や家族がいる地域を選ぶことや、移住前にその地域を訪れ、環境に慣れておくことです。
さらに、新しい地域での活動にも積極的に参加し、新しいコミュニティに溶け込む姿勢が求められます。
老後にいちから人間関係を構築する必要
老後に新しい場所に引っ越すことで、再び人間関係を構築する必要があります。
これまで築いてきた友人関係やご近所付き合いをいちからやり直すことは、高齢者にとって大きな重圧でしょう。
そのため、新しい環境になじむためには、自ら積極的に地域の活動やイベントに参加し、新しい友人をつくる努力が必要です。
この対策としては引っ越し先を選ぶ際に、コミュニティが活発で、高齢者の多く住む地域を選ぶことが効果的です。これにより、同年代の友人をつくりやすくなり、地域に溶け込みやすくなります。
また、趣味などを共有するグループに参加することで、共通の話題を持つ友人を見つけやすくなるでしょう。
マンションを売却したら、どこに住む?
マンションを売却後、新たな住まいを選ぶ際にはいくつかの選択肢があります。
ここではマンション売却後の住まい選びの選択肢について、くわしく解説します。
- ・平屋
- ・有料老人ホームや高級老人ホーム
- ・補助制度を利用して高齢者に人気の街へ移住
平屋
平屋は階段がなく、すべての生活空間がワンフロアに集約されるため、移動に負担がかかりません。
特に、膝や腰に負担をかけずに生活できるため、身体的な負担が軽減されます。
また、庭付きの平屋に住むことで、ガーデニングや家庭菜園などの趣味が楽しめ、日常生活に充実感を与えます。
さらに、平屋は2階建ての戸建てに比べ、メンテナンスがおこなえます。高所の掃除や修理が不要なため、建物の維持管理がしやすいのが特徴です。
雨どいや窓の清掃も容易であり、外壁の手入れも手が届きやすい高さでおこなえます。
老後の住まいとして平屋を選ぶことは、長期的に見て理にかなった選択肢です。
有料老人ホームや高級老人ホーム
有料老人ホームや高級老人ホームに移る選択肢もあります。これらの施設は、介護サービスや医療支援が充実しています。特に、高級老人ホームでは、快適な生活環境が提供され、豊かなシニアライフが楽しめるでしょう。
また、日々の食事も栄養バランスが考慮され、プロによる料理が提供されることも多く、食生活の面でも安心です。
さらに、老人ホームには介護スタッフが常駐しており、急な体調不良にも迅速に対応できるため、健康面での不安を軽減できます。
補助制度を利用して高齢者に人気の街へ移住
地方公共団体(自治体)が提供する高齢者向けの住宅補助や移住支援制度を利用し、高齢者に人気の街へ移住する選択肢もあります。
この制度を利用することで、経済的な負担を減らしつつ快適な住環境を手に入れることが可能です。
また、一部の地方公共団体では、住宅取得費用の一部を補助したり、移住支援金を提供したりと、
移住に伴う経済的なハードルを下げています。
さらに、人気の街では高齢者向けのコミュニティやサービスが充実しており、高齢者に暮らしやすい環境が整っていることもメリットです。