住み替えを解説。費用や流れ、老後の住み替えや注意点も網羅

迷う営業マン

日本では新築至上主義が根強いため、高額な戸建てやマンションを長期の住宅ローンを組んで購入するのが一般的でした。また、「買った家には一生住み続ける」という考えも強く、住み替えを検討する人は多くありません。

しかし最近では、戸建てやマンションの中古市場も活性化しており、以前に比べて住み替えがしやすい環境が整ってきています。住み替えを検討する人も増えてきたため、家は一生に一度の買い物ではなく、人生のステージに合わせて柔軟に選択する時代に変わりつつあるのです。

とはいえ、住み替えには高額な費用がかかるため、慎重な判断が必要です。住み替えを成功させ、快適な住環境を手に入れるためにも住み替えのタイミング、選び方、手順や費用について確認しておきましょう。

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住み替えのタイミング

住み替えを検討するタイミングは、人生の転機や環境の変化に伴って訪れます。特に、以下のような状況が代表的な住み替えのタイミングといえるでしょう。

  • ・子どもの独立
  • ・子どもとの同居
  • ・快適な老後生活のため
  • ・建物の老朽化

住み替えの判断材料は十人十色です。結局のところ、それぞれのライフステージや家庭の事情によって変わるため、自身でベストなタイミングを見つける必要があります。

いずれにしても、住み替えが決まったら早めに行動することが大切です。新しい住まいの選定や引っ越しの準備には時間がかかります。そのため、住み替えをスムーズに進めるには余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。

子どもの独立

子どもが独立して家を出ると、子ども部屋が不要になります。しかし、使わないスペースでも、掃除や管理は欠かせません。また、家が広ければ固定資産税も高くなります。このように、子どもが巣立った後の家は、無駄が多くなりがちです。そのため、子どもの独立を機に、コンパクトで管理しやすい家への住み替えを検討するタイミングだといえるでしょう。

夫婦で住むのにちょうどいい広さの家に住み替えれば、管理がしやすくなります。また、水道光熱費なども抑えられるので、浮いた生活費を趣味などに充てれば、快適な暮らしを実現できるでしょう。

子どもとの同居(二世帯)

独立した子どもと再び同居をする場合も、住み替えが必要になる場合があります。これまで別々に暮らしていた親子が同居するには、今までの居住空間では部屋数が不足することが多いです。そのため、プライバシーを確保しつつ、お互いに快適に暮らすためには、二世帯住宅に適した家への住み替えが一般的な選択肢です。

二世帯住宅であれば、独立したスペースを確保しながらも家族のコミュニケーションを大切にできる住まいです。介護の必要性が生じた場合にも、親子で支え合いながら生活を送れるでしょう。

快適な老後生活を送るため

年齢を重ねるにつれ、今まで気にならなかった住まいの不便さが徐々に顕在化してきます。特に、階段の上り下りは体力の衰えとともに大きな負担になることがあります。

さらに、急な病気やケガの際に、介護施設や病院への距離が遠いと不安を感じる方も多いでしょう。こうした老後特有の悩みを解消するためにも住み替えが有効です。

たとえば、介護付きの住宅やエレベーター付きのマンション、バリアフリー設計の平屋など、高齢者に優しい住まいへの住み替えは、快適な老後生活を実現する選択肢の一つです。

住み替えを通じて安心で快適な住環境が整うと、毎日の生活を楽しみながらいつまでも元気に過ごすことができるでしょう。

建物の老朽化

現在住んでいる家の老朽化も住み替えのタイミングです。

建物は年月とともに劣化していき、修繕や改修にかかるコストが年々増加します。老朽化が進めば、安全性が損なわれるだけでなく設備も古くなるため、住み心地は悪くなる一方です。

建物の老朽化は、そのまま放置すると修繕費用がかさむだけでなく、場合によっては事故やトラブルにつながるおそれもあります。新しい家に住み替えると、設備が新しくなるので快適に暮らせます。家が老朽化し、修繕が必要になったタイミングは、住み替えを考える良い機会だといえるでしょう。

【関連コラム】
住み替えをするタイミングを解説。住宅ローン金利や経済情勢などからも考察

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住み替え先の選び方

老夫婦

住み替え先を選ぶうえで重要な要素は以下となります。

  • ・立地
  • ・予算
  • ・物件の種類

住み替えのタイミングを逃すと、希望する物件が見つからなかったり、価格が上昇したりするリスクがあります。特に人気のある地域や物件は、競争が激しくなる傾向にあります。

したがって、住み替えを検討する際は、これらの要素を総合的に判断し、適切なタイミングで行動することが重要です。

立地

住み替えを検討する際に重要になるのが立地です。立地は単に家の位置だけではなく、生活の利便性や快適性、将来的な資産価値にも大きな影響を与えるためです。

たとえば、住み替え先の周辺に医療機関や商業施設、公共施設などの日常的に必要なサービスや施設が近くにあることで車や公共機関を利用しないため、ストレスのない生活を送れます。

また、自然災害のリスクが低い場所を選べば、洪水や土砂崩れ、地震などの危険性を減らせます。そのほか、緑が豊かな環境や、静かな住宅街を住み替え先に選べば、心身ともにリラックスできる環境で生活をおくれるでしょう。

さらに、立地は将来的な資産価値にも影響します。住み替え先が都市部や発展が見込まれる地域であれば、売却の際に資産価値の上昇が期待できます。

住み替えの際は、これらの立地に関する要素を総合的に判断し、自分や家族のライフスタイルに最適な場所を選ぶことが大切です。

予算

住み替えを検討する上で重要になるのが資金計画です。無理のない予算設定をすれば、住み替え後も安定した家計を維持できます。住み替え後の生活に困窮しないためにも、将来のライフイベントを可能な限り想定し入念に予算を計画しましょう。

具体的には、子供の教育費や老後の生活費、万が一の医療費などを考慮に入れる必要があります。住宅ローンの返済期間や金利変動のリスクも念頭に置いておくと安心です。

予期せぬ出費に備えて、適度な貯蓄を維持することも重要です。急な修繕や家電の買い替えなどに対応できるよう、予備費を確保しておくことをおすすめします。

住み替えは人生の大きな決断です。長期的な視点で資金計画を立て、無理のない予算で住み替えを実現することが、安心で充実した生活につながります。

物件の種類

住み替え先の物件は、主に戸建てとマンションの2つに分類されます。それぞれの特徴を理解し、自分のライフスタイルに合った物件を選ぶことが重要です。

マンションからマンション、戸建てから戸建てへなど物件種別が変わらない住み替えでは、物件選びで失敗するリスクは比較的低いでしょう。現在の住まいでの不満点を改善できる物件を選べば、これまでの生活スタイルを維持しながらより快適な暮らしを実現できます。

一方、物件種別の異なる住み替えでは、いくつか注意点があります。

たとえば、戸建てからマンションへの住み替えでは、管理費や修繕積立金、駐車場などの戸建てにはない維持コストが発生します。また、戸建てに比べて収納スペースが限られるため、家具家電などの処分が必要になる場合があります。

反対に、マンションから戸建てへの住み替えでは、管理費や修繕積立金などのコストが削減され、駐車場を自由に利用できます。しかしその反面、修繕や管理は自身で行う必要があります。

住み替えの際は、それぞれの物件種類の特性を十分に理解し、自分や家族のニーズに合った選択をすることが大切です。現在の生活スタイルや将来的な変化を見据えて、最適な物件を見つけましょう。

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住み替えの流れ

住み替えを成功させるためには、適切な手順を踏むことが重要です。

住み替えは以下の流れで進めていきます。

  1. 1.書類の準備
  2. 2.不動産会社の選定
  3. 3.物件の売却
  4. 4.新居の購入
  5. 5.引っ越しの手配

理想の住み替えを実現するためにも、それぞれの手順について確認していきましょう。

書類の準備

住み替えにあたり、まず自宅の売却に必要な書類について説明します。自宅が戸建ての場合、以下の書類が必要になるため、事前に準備しておきましょう。

  • ・ローン残債の確認
  • ・登記事項証明書
  • ・建築確認済証、検査済証
  • ・登記済証(または登記識別情報)
  • ・固定資産評価証明書
  • ・建物図面
  • ・公図

マンションの売却では、追加で以下が必要です。

  • ・マンション管理規則
  • ・マンション管理組合の事業報告
  • ・マンション管理組合総会議事録
  • ・新築時のパンフレット(あれば)

区分所有マンションには、管理組合があります。マンション管理費や修繕積立金は売買価格に影響するため準備しておきましょう。手元にない場合は、マンション管理組合宛に請求します。

書類がそろっていないと売却手続きに時間がかかり、住み替えのスケジュールが遅れる可能性があります。スムーズな住み替えを実現するためにも、早めに必要書類を準備しておくことが重要です。

不動産会社の選定

戸建てやマンションを売却する際、仲介会社に買主探しを依頼することがほとんどです。そのため、不動産売却の成功は、仲介会社の選定にかかっているといっても過言ではありません。

不動産業界は参入障壁が低いため、実力や知識に乏しい会社が少なくありません。したがって、不動産仲介会社を決める際は仲介手数料などの目先の利益にとらわれず、会社の実績や信頼性を重視することが大切です。

物件の売却

住み替えのために自宅を売却する際、多くの場合、売却資金を新しい住宅の購入資金に充てます。また、新たに借り入れる住宅ローンの借入基準なども影響するため、ある程度スピーディーに売却することが重要です。

不動産を売却する際には、以下の方法があります。

  1. 1.仲介会社に依頼して買主を探してもらう
  2. 2.不動産会社に買い取ってもらう
  3. 3.自分で買主を探す

住み替えのための不動産売却では、確実性が重視されます。そのため、多くの場合、不動産会社に依頼して買主を探してもらうか、不動産会社に直接買い取ってもらう方法が選ばれます。

仲介で売却をする場合、売出価格は仲介会社と話し合って決めます。しかし、売出価格が相場から乖離している場合や、不動産の流通量が少ないエリアでは、売却までに時間がかかる可能性があります。

一方、不動産会社に買い取ってもらう場合、早期に売却できるメリットがあります。ただし、買取価格は一般的に市場価格よりも低くなる傾向があります。手間をかけずに売却したい、すぐに資金化したいという理由であれば、買取のほうが短期間で売却できるでしょう。

資金に余裕があれば買い先行も検討する

買い先行とは、現在の住まいを売却する前に、新しい住まいを購入することです。買い先行であれば、理想の物件が見つかり次第、すぐに購入手続きを進められます。また、新居への引っ越しを済ませてから現在の住まいを売却できるので内覧の対応に手間がかかりません。

一方、デメリットとしては、一時的に二重ローンを抱えることになる点があります。新居の購入資金と現在の住宅ローンを同時に支払う必要があるため、現在の住まいがなかなか売れない場合、金銭的な負担が大きくなります。

資金に余裕があれば、買い先行をすることでスムーズな住み替えが可能になります。

新居の購入

新居の購入の流れは、以下のようになります。

  1. 1.住替えの資金計画をたてる
  2. 2.新居の物件イメージを固める
  3. 3.候補物件を調査する
  4. 4.新居候補を絞る
  5. 5.住宅ローンの事前審査を行う
  6. 6.売買契約締結
  7. 7.引渡し

新居購入で最も重要なのは、希望条件を明確にすることです。新居に求める条件をしっかりとイメージし、それに基づいて資金計画を立てましょう。新居購入に充てられる予算を明確にしておくことが大切です。

希望条件が固まったら、いよいよ物件探しです。物件情報の収集には、不動産会社に相談するのが便利です。各社で取り扱い物件や得意分野が異なるため、事前によく調べてから相談すると効果的でしょう。

条件に合う物件が見つかったら、必ず現地で内覧します。資料上では魅力的でも、実際に見ると印象が変わることがあるからです。完全に条件に合わなくても、気になる物件は積極的に内覧しましょう。

住み替え先が決まったら、不動産会社を通じて購入申込書を提出します。不動産売買は早い者勝ちが基本なので、競合がいなければ、売主との売買交渉に進みます。

物件が決まったら、速やかに住宅ローンの審査手続きを進めます。審査に通らないと、新居の購入はできません。住宅ローン審査は、住み替えの成否を左右する重要なポイントです。

審査が通り、売主との売買条件がまとまれば、不動産売買契約を締結します。契約書の内容は事前によく確認し、疑問点や要望は事前に交渉しておきましょう。契約締結時には、手付金や仲介手数料、印紙税などの支払いが発生するので、金額を正確に把握し、準備しておくことが大切です。

引越しの手配

引越しの準備の前に、引越し会社を選定します。複数の会社に見積もりを依頼し、選定手続きをすることが一般的です。その際、引越し会社に一括見積を依頼ができるサービスなどがあるので便利です。引越しで費用を削減するため、不要品の選別や粗大ゴミの処分は事前に進めておきましょう。新居へ運んでから処分すると、余分な費用と手間がかかります。

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住み替えの費用

住み替えには以下の費用がかかります。

  • ・売却費用
  • ・購入費用
  • ・引っ越し費用
  • ・税金

住み替えには、想像よりも高額な費用がかかる場合があります。必要な費用を把握しておかないと、住み替え後の生活に余裕がなくなるおそれがあるため注意が必要です。ここでは、主な住み替え費用について説明します。

売却費用

家の売却にかかる費用は以下のとおりです。

  • ・仲介手数料
  • ・印紙税
  • ・抵当権抹消登記
  • ・住宅ローン返済手数料
  • ・譲渡税

仲介手数料は仲介会社と締結する媒介契約に基づき支払う費用で、売却代金が400万円を超える場合は売買価格の3%+6万円(税抜)です。印紙税は売買契約書に課税されるもので売買金額によって異なります。

抵当権抹消登記は、抵当権を抹消するために必要で、不動産1件で1,000円(土地と建物で2,000円)ですが、登記手続きを依頼する場合には別途司法書士報酬が必要となります。

これらの諸費用を合計すると売買代金の4~6%程度になることが多いでしょう。

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購入費用

新居の購入費用は、物件の売買価格だけではありません。家を購入すると不動産登記を行う必要があります。また、銀行などから住宅ローンを借り入れる必要があり、住宅ローンの諸費用がかかります。

その他にも以下の費用がかかります。

  • ・仲介手数料
  • ・登録免許税
  • ・印紙税(売買契約、金銭消費貸借契約)
  • ・住宅ローン手数料、ローン保証料
  • ・火災保険料
  • ・保険料
  • ・引越し費用

一般的に物件価格の4%~6%の諸費用が発生するといわれています。

【関連コラム】
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引っ越し費用

引越し費用は、量、時期と移動距離により異なります。同一市内や近隣の都道府県への家族引越しは、5月から2月の通常期で10万前後、3月から4月の繁忙期では15万円前後が料金相場といわれています。新居への移動距離が遠い場合、荷物が多い場合は更に予算をみておきましょう。

税金

住み替えに伴う税金は、主に以下の3つがあります。

  1. 1.不動産取得税
  2. 2.印紙税
  3. 3.譲渡所得税

税金の申告に漏れがあると、延滞税や追加の税金が課されたり、場合によっては刑事罰が科されたりするおそれがあるため注意しましょう。

1.不動産取得税

新しい住まいを取得する際に、都道府県に支払う税金です。税率は一般的に不動産価格の3%から4%程度ですが、都道府県によって異なります。一定の要件を満たす場合、税率の軽減や免除を受けられることがあります。

2.印紙税

不動産売買契約書に貼る収入印紙に係る税金です。売買価格に応じて税額が決まり、取引額が高額になるほど印紙税も高くなります。

契約金額本則税率(円)軽減後の税率(円)
100万円を超え500万円以下のもの2,0001,000
500万円を超え1,000万円以下のもの1万5,000
1,000万円を超え5,000万円以下のもの2万1万
5,000万円を超え1億円以下のもの6万3万
1億円を超え5億円以下のもの10万6万
5億円を超え10億円以下のもの20万16万
10億円を超え50億円以下のもの40万32万
50億円を超えるもの60万48万

印紙税の支払いは、契約当事者間で取り決めますが、一般的には買主と売主が折半して負担するケースが多いようです。

3.譲渡所得税

現在の住まいを売却して利益が出た場合、その利益に対して課税されるのが譲渡所得税です。税率は、所有期間や売却価格によって異なります。ただし、一定の要件を満たす場合は3,000万円の特別控除を受けられる場合があります。

また、住宅ローンを利用する場合、住宅ローン減税を受けられる可能性があります。一定の要件を満たす住宅ローンで新居を購入した場合、借入額に応じて一定期間、所得税の控除を受けられます。

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住み替え理由

住み替えに多い理由は以下の通りです。(国土交通省の「平成30年住生活総合調査」)

  1. 1.通勤・通学:35.1%
  2. 2.広さ・部屋数:21.4%
  3. 3.独立:18.2%
  4. 4.新しさ・きれいさ:16.2%
  5. 5.結婚:14.1%

住み替えの理由として一番多いのが、通勤や通学の利便性です。通勤・通学時間を減らすことで、家族との時間が多く取れるだけでなく通学時の子どもの心配も少なくなります。

広さや部屋数を重視して住み替えを検討する人も多いです。子どもの誕生や仕事スペースの確保など、検討理由は人それぞれです。新居に求める必要な部屋数や間取りを事前にイメージしておきましょう。

独立は、子供の独立のほか、単身赴任や転勤、離婚などが理由で住み替える人が該当します。離婚が原因で住み替える方も少なくありません。夫婦で住宅ローンを組んでいる場合、財産分与のため今の住宅売却が発生します。

結婚は、人生最大のイベントで、結婚時に住み替えを検討する方は多いでしょう。間取りやデザインが優れている住宅を選ぶのはもちろん、職場へのアクセスを重視して選ぶ人が多いです。さらに、子どもが生まれたり親と同居することも考えた住宅を選ぶことも重要です。

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老後の住み替えをスムーズに進めるポイント

老後の住み替えを検討する際、いくつかのポイントに注目することでスムーズに進められます。老後の住み替えは、新しい生活のスタートです。十分な準備と適切な判断により、充実した老後生活を送れるよう、計画的に進めていきましょう。

年齢別で住み替えに最適な方法を選択する

住み替えを検討する際、年齢によって進め方や考慮すべきポイントが異なります。ライフステージに応じた適切な住み替えを行うために、年代別の特徴を確認しておきましょう。

①40代

40代は、ライフステージの変化に伴い、住宅に対するニーズが大きく変わる時期です。40代で住み替えを検討する際は、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

  • ・入念な資金計画の作成
  • ・住み替えローンの仮審査の実施
  • ・住み替え先の目途を立てる

40代での住み替えでは、十分な資金計画が不可欠です。無理なローンを組むと、生活の困窮やローンの返済困難といったリスクが生じます。

住み替えローンを利用する場合は、事前に金融機関の仮審査を受けておきましょう。また、住み替え先が決まらない状態で現在の家を売却すると、賃貸住宅に長期間住む必要が生じるなど、負担が増える可能性があります。

【関連記事】
40代で住み替えをスムーズに進めるための4つのポイントを紹介

②50代

働き盛りの50代は、同時に老後を意識し始める時期でもあります。一般に、50代になるとライフサイクルが確定し、将来のリスクを見通しやすくなります。50代は住宅購入のシミュレーションがしやすい時期といえます。

さらに50代は収入のピークにあたるため、リタイア世代の60代と比べると住宅ローンが通りやすい点がメリットです。そのほか、一般に50代は60代よりも健康状態が良好なため、アドバンテージといえるでしょう。

50代で住み替えをするデメリットもあります。50代は収入が多いと同時に、支出が多い年代で住み替え資金が不足することがデメリットといえそうです。さらに、長期の住宅ローンを組みにくくなります。

【関連記事】
50代で住み替えはできる?注意点や住み替え先についても解説

③60代

60代は老後の生活を見据えた住まいの見直しが必要になる時期です。社会の変化や個々のライフスタイルに合わせた、住み替えが必要です。

60代での住み替えは、ライフステージに合わせた住環境への適応や老後の資金計画の見直しがメリットです。一方で、新しい住環境への適合、引越しなどに相応の体力が求められます。また、60代での住み替えは、資金計画が重要です。

住宅ローンを利用する場合、年齢を考慮して返済プランを立てる必要があります。60代は現役時代と違って、収入や健康の側面から住宅ローンの審査に通りにくいです。そのため、自己資金の割合は高くなります。

【関連記事】
60代での住み替えを成功させる|注意点やメリットなどを解説

老後住み替えの資金

老後の住み替えには多くの費用がかかります。その費用の調達について解説します。
ほとんどの金融機関では、住宅ローンを組むための年齢制限を設けているため、老後は住宅ローンを組むことが難しくなっています。

65歳を超えると年金生活や嘱託勤務となり、所得が低下し、金融機関の審査も厳しくなるのです。また、高齢になると持病を抱えているケースが多く、審査に通らず住宅ローンを組むことができないのです。

老後の資金調達には、現在住んでいる自宅や不動産を売却し、それを住み替え資金に充てる方法があります。具体的に買い替えのパターンは大きく3つに分けられます。

  1. 1.売却先行
  2. 2.購入先行
  3. 3.同時進行+住み替えローン

老後の住宅ローンが厳しいため、売却先行の方法で住み替えを検討することがおすすめです。

売却先行で住み替えを行うメリットとしては、不動産の売却が確定してから住み替え先を検討するため、資金計画を適切に組むことができます。また、売却を急ぐ必要がないため、腰を据えてしっかり売却活動を行えることもメリットです。

一方、売却が確定したあとに住み替え先が決まらない場合、賃貸住宅などの仮住まいが必要です。仮住まいの初期費用や賃料がかかるため、タイミングを見極めなければ無駄な出費になってしまいます。

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老後の住み替え資金はどのくらい必要?調達方法についても解説

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住み替えの失敗を防ぐ方法

スムーズな住み替えを行うために、今の家を売却する前にできる対策を説明します。

  • ・物件をキレイに掃除する
  • ・ホームステージングを行う
  • ・買取保証をつける
  • ・相場より安く販売する

家を売る際、買い手が気持ちよく検討できるよう掃除をしておくと印象が大きく変わります。特に、水回りの清掃はポイントが高いです。その他、買手が注目するフローリングや窓、クローゼットの中なども事前に掃除するとよいでしょう。

ホームステージングとは、魅力的な空間を演出する方法のことです。買い手は複数の物件との比較で不動産購入を決めます。売却物件の印象や雰囲気をよくできれば、競合物件と差別化できます。

買取保証とは、仲介による売却期間を設定し、期間内に売却できない場合には、仲介を依頼した不動産会社に買い取ってもらう方法です。
スピーディーに売却する手軽な方法は、相場よりも安くすることです。周辺相場より割安であれば、問い合わせや内覧は増えます。資金計画に余裕があり、早期売却したい場合は、相場より安い価格での売り出しを検討しましょう。

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買主が見つからないときの対策

売り出したあとに、買い手が付かない場合は、以下を検討します。

  • ・価格を下げる
  • ・条件を見直す
  • ・不動産会社を変える

売り出し価格は途中で変更可能です。買手候補が少ない場合、お得感があるラインまで価格を下げるのが効果的です。ただし、住宅ローンが残っている場合は、住宅ローン残債を意識する必要があります。

不動産の売買は、売却条件を売主が決定するため、通常は売主が有利な取引といえます。売却できない場合、価格だけでなく、引き渡し条件を見直しする方法があります。

たとえば、戸建ての建物の解体を売主負担で行う、現況引渡しでなく水廻りの更新を売主負担で行うなどが考えられます。

家が売れない原因が、依頼している不動産仲介会社にある場合があります。不動産会社が十分な販売活動をしていないことや、そもそも能力不足なども考えられます。そのような場合、媒介契約を更新せずに、依頼先を変更する決断が必要です。

老後に住み替え失敗する注意点

老後に住み替えを行う場合、以下の点に注意が必要です。

住宅ローン

リタイア後は現役時代より住宅ローンの融資審査に通りにくくなります。そのため、希望額の融資を受けられないこともあります。また、融資期間が現役時代より短くなります

資金計画が崩れる

希望通りのローンを組めても資金計画が崩れ、返済が滞るリスクがあります。リタイア後も働いて返済を行う予定でローンを組んだのに、体調面から仕事を続けられなくなることもあるでしょう。シニア世代は、病気、体力の低下、介護などにより働けなくなるリスクが高いため、現役世代より余裕を持った資金計画が重要です。

退職金や貯金をつぎ込む

住宅ローンを組むのが難しいため、退職金や貯金を使って一括で家を購入することにはリスクがあります。病気や家族の介護などで大きな出費が生じる可能性が高いためです。生活環境の改善のために住み替えをしたのに、生活資金が不足して、結果として生活レベルを下げるのは本末転倒です。

安く売却してしまう

現在の家の売却を住み替え費に充当するかたは多いですが、注意が必要です。早く売却したいと焦り、相場より割安で売却してしまうことや、質の悪い不動産会社と媒介契約を結んでしまうことなど様々な問題が発生します。

家の売却はしっかりとした準備と計画が必要です。また、実力があり、信頼できる不動産仲介会社を選定することが重要です。

間取りや広さが生活に合わなかった

住み替え先の間取りや広さが生活に合わず、ストレスを感じる方もいます。これまで使用してきた家電や家具が入らない、車椅子生活の移動が困難といったトラブルが生じてしまうことがあります。反対に、これまでの生活をイメージして広過ぎる家を選ぶと、清掃や維持管理が負担になってしまいます。

生活環境が大きく変わりなじめなかった

住み替えにより、周辺の環境や人間関係がストレスになるケースもあります。新しい生活になじめなくても、元の住居は売却済みであるため戻ることはできません。住み替え先の選定は、周辺環境も調べることが重要です。

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