一般的に建売住宅は注文住宅に比べて費用が安い傾向があります。
この記事では建売住宅の建物費用や建物以外の諸費用、そしてオプション工事をした場合の費用について紹介します。
相場をしっかりと把握することで、今後の住宅購入計画の参考になれば幸いです。
目次
建売住宅の建物費用はいくら?
建売住宅を購入する場合、建物そのものの価格と諸費用が必要です。まずは建売住宅の建物費用について紹介します。
建売住宅の所要資金
2021年に公開された住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」によると、全国および愛知県の平均の建売住宅の所要資金は下記のとおりです。ここで表す所要資金とは、予定建設費と土地取得費を合計したものをいいます。
住宅面積(㎡) | 敷地面積(㎡) | 所要金額(万円) | 手持ち資金(万円) | |
---|---|---|---|---|
全国 | 101.1 | 139.2 | 3,495.2 | 247.3 |
愛知県 | 104.5 | 141.1 | 3,235.4 | 161.0 |
住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」より
全国平均、愛知県平均ともに、建売住宅は3,000万円〜3,500万円で収まっていることが分かります。また愛知県では、敷地面積が全国平均を上回っているにも関わらず、所要資金は全国平均を下回っています。
注文住宅との比較
建売住宅と注文住宅とでは、どのくらい価格が違うのか比較してみましょう。
同じく住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」より注文住宅にかかった費用を見てみましょう。
住宅面積(㎡) | 敷地面積(㎡) | 建設費(万円) | 手持ち資金(万円) | |
---|---|---|---|---|
全国 | 124.4 | 315.7 | 3,533.6 | 617.7 |
愛知県 | 129.8 | 262.5 | 3,707.5 | 663.8 |
注文住宅の建設費は、全国平均、愛知県平均ともに建売住宅の所要資金を上回っています。注文住宅の建設費には土地価格が入っていません。
もし1,000万円の土地を購入する場合は、合計で約1,000万〜1,500万円の差がでます。
建売住宅の購入先による価格差
建売住宅の購入先は、ハウスメーカー・工務店・パワービルダーがあります。それぞれにはどのような違いがあり、建築相場はどのくらいなのでしょうか。
ハウスメーカー
ハウスメーカーの建売住宅は、設計から施工まで自社で一貫して行い、アフターサービスやメンテナンスが確立しているので、購入価格は一般的に高くなります。
坪単価は約50〜90万円です。従って床面積が40坪の建物の場合には、約2,000〜3,600万円が相場となります。
工務店
工務店は地域密着型が多いですが、近隣の都市に拠点展開している中堅の会社もあります。工務店の建売住宅は、価格が比較的安くなります。
坪単価は約40〜70万円です。従って床面積が40坪の建物の場合には約1,600〜2,800万円が相場となります。
パワービルダー
パワービルダーとは、住宅の一次取得者を対象として床面積が30坪前後の土地付き建売住宅を扱う業者をいいます。大量生産とコストカットを行うことで低価格を実現していますが、建材や設備等については普及品の場合が多いです。
床面積30坪前後の土地付き住宅で、約2,000〜3,000万円で販売します。
建物や土地以外に必要な費用
住宅を購入する場合、建物の建築費用や土地代金のほかに諸費用が掛かります。
建売住宅の場合で約6〜9%の費用が必要です。4,000万円の建売住宅を購入した場合には、240万円〜360万円の諸費用が掛かります。
建物や土地の部分は借り入れることができますが、諸費用は通常現金で準備しなければなりません。
仲介手数料
不動産会社を通して建売住宅を購入する場合には、不動産会社に仲介手数料を支払わなければなりません。
ハウスメーカーやデベロッパーが直接販売する建売住宅は仲介手数料がかかりませんが、取引形態が媒介または仲介の場合には仲介手数料が必要です。
物件が400万円を超える場合の仲介手数料は、次の速算式で計算します。
仲介手数料=物件価格×3%+6万円+消費税
なお仲介手数料は3%が上限で、上限を超えて請求されることはありません。
印紙代
建売住宅の購入時には、不動産売買契約書と金銭消費貸借契約書に印紙を貼る必要があります。印紙税は契約金額によって金額が異なります。
契約金額 | 印紙税額(円) |
---|---|
100万円超500万円以下 | 2,000 |
500万円超1,000万円以下 | 10,000 |
1,000万円超5,000万円以下 | 20,000 |
5,000万円超1億円以下 | 60,000 |
1億円超5億円以下 | 100,000 |
手付金
手付金は住宅の売買契約締結の際に買主から売主に支払う金銭で、契約の成立を担保することを目的としています。
そのため後日手元に戻ってくるお金ですが、決済時に購入代金に充てられるのが一般的です。手付け金上限は購入価格の20%と決められていますが、相場は約5〜10%です。
なお買主が契約解除する場合には手付を放棄し、売主が解除する場合には手付金の倍額のお金を支払わなければなりません。
登録免許税
登録免許税は、土地や建物を購入した人の所有権を登記する際に国に納める税金です。
登記手続きを行うことで、不動産についての所有権を対外的に主張できるようになります。
なお登録免許税には軽減措置がありますが、令和4年度の税制改正により適用期限が令和6年3月31日まで2年延長されました。
まとめると以下のとおりです。
登記の種類 | 登録免許税の税率(%) | 軽減措置後の税率(%) |
---|---|---|
土地の所有権移転登記 | 評価額×2.0 | 評価額×1.5 |
新築住宅の所有権保存登記 | 評価額×0.4 | 評価額×0.15 |
抵当権設定登記(住宅ローン借り入れ) | 借入額×0.4 | 借入額×0.1 |
ローン保証料
住宅ローンを借りるときは、保証会社と保証契約を結ばなければなりません。
保証会社に保証料を支払うことで、住宅ローンの融資を受けている人が返済できなくなった場合でも保証会社が代わって金融機関に債務を支払ってくれます。
しかし融資を受けている人の返済義務がなくなるわけではなく、返済先が保証会社に変更されるだけです。
保証料の支払い方は、住宅ローンの契約時に保証料を一括前払いする方法と、住宅ローンの金利に上乗せして支払う方法があります。なお保証料は物件価格の2%が相場です
団体信用生命保険料
金融機関から融資を受ける場合、団体信用生命保険に入ることを義務づけられているケースがほとんどです。
団体信用生命保険は、住宅ローンの返済中に契約者が亡くなったり高度障害状態になった場合、金融機関への支払いを肩代わりしてくれます。
団体信用生命保険の保険料は、住宅ローンの金利に約0.2%〜0.3%上乗せされます。
火災保険料・地震保険料
住宅ローンを結ぶ場合、ほとんどの金融機関は火災保険への加入を義務付けています。
火災保険に加入することで、火災以外に水濡れや風災・落雷・盗難などの補償を受けられます。ただし地震については補償されないので、別途火災保険に付帯する地震保険に加入しなければなりません。
火災保険料は、建物の構造や地域によって異なりますが、年間約3〜4万円です。
司法書士費用
所有権の移転は、手続きが難しいので通常司法書士に依頼しますが、登記費用とは別に司法書士への報酬が必要です。
司法書士の報酬は、地域や事務所によって異なりますが、約5〜15万円です。
オプション工事をした場合
本体価格と諸費用のほかにオプション工事をした場合には別途費用が掛かります。
そのため、どのようなオプションが必要かを決め、あらかじめ資金計画に入れておかないと資金が足りなくなることもあります。
また、建売住宅のすべてがオプション工事をできるとは限りません。あらかじめ、確認しておく必要があります。
ここでは流行りのオプション工事を費用も併せて3つご紹介します。
電子錠システム
電気の力でドアを施解錠する方法で、鍵穴に鍵を差し込む必要がなくなります。
テンキー式や非接触式・カード式などにより施解錠の操作を行うので、防犯性に優れています。費用は約5〜10万円と見ておきましょう。
タッチレス水栓
タッチレス水栓は、水栓を触ることなく水を出せるので、外から帰って来た時に便利です。
キッチンで料理中の場合も、触らなくてもよいので水栓を汚すことがありません。またエコセンサー機能付き水栓は、タッチレスでお湯を出すか水を出すか選択できるので便利な製品といえるでしょう。
タッチレス水栓は機能によって価格は異なりますが、約3〜10万円です。
浴室暖房乾燥機
浴室暖房乾燥機は、ヒートショックを防げるので、高齢者のいる家庭では必需品といえます。
また雨の日には浴室で洗濯物を乾かせるので、梅雨時でも心配いりません。
2室対応する製品もあるので、洗面所も暖房すればさらにヒートショック対策になるでしょう。
浴室暖房乾燥機は、約10〜20万円です。
諸費用やオプション費用については、住宅の価格と違ってはっきりとした金額が分かりにくいものです。また既に完成している建売住宅であれば、交換扱いになるので費用も上がります。
建売住宅を検討される際は、早いうちにプロに相談してみることをおすすめします。