不動産の固定資産税が払えないとどうなる?事前に知っておくべき対処法とは

不動産所有には固定資産税がついてまわります。

固定資産税は毎年納税する必要がありますが、長い人生を考えると事業や生活が苦しく支払いが困難な時期もあります。

今回は固定資産税を滞納するとどのようなリスクがあり、支払いが困難な場合はどのような対策があるのかを解説します。

固定資産税が払えないとどうなる?

固定資産税を滞納してしまうと、延滞税などが課せられます。納付期限や延滞税の計算方法などを説明します。

翌日から延滞金が発生する

固定資産税を納付期限日までに支払わない場合には、期限日の翌日から期間に応じて延滞税が発生します。ここでは名古屋市を例に納期と延滞金について確認していきましょう。

名古屋市では固定資産税の納付を4期に分割しており、納付期限がそれぞれの期ごとに定められています。

 納期納付期限日
第1期4月4月30日
第2期7月8月2日
第3期12月1月4日
第4期翌年2月2月28日

(参考 名古屋市ホームページ)

固定資産税を滞納すると期間によって延滞金が発生します。納付期限日から1カ月以内と1カ月経過以後で税率が異なることに注意しましょう。

 納付期限の翌日から1カ月以内納付期限の翌日から1カ月後経過以後
2014年2.9%9.2%
2015年2.8%9.1%
2016年2.8%9.1%
2017年2.7%9.0%
2018年2.6%8.9%
2019年2.6%8.9%
2020年2.6%8.9%
2021年2.5%8.8%

(参考 名古屋市ホームページ)

たとえば、納付期限が令和2年1月4日、固定資産税の納付額が50,000円を1年間滞納した場合は次のような計算で4,100円となります。(百円未満を切り捨て)

50,000円×2.6%×31日÷365日=110円

50,000円×8.9%×334日÷365日=4,072円

110円+4,072円=4.182円

最悪の場合は差し押さえになる

固定資産税の支払いを放置したままにしておくと地方自治体から督促状が送られてきます。督促状には延滞金や納税の期限についての情報が書かれており、内容に従って延滞税を納めれば問題ありません。

しかし督促状が届いたにもかかわらず、それを放置し続けると当局によって財産調査などがされ、財産が差し押さえられてしまいます。会社の給与や銀行の預金から差し押さえられるため、職場や金融機関に滞納している情報が知られてしまうこともあります。

最終的には不動産まで差し押さえの対象になり、資産だけでなく社会的な信用まで失うリスクがあります。

最終的に不動産が競売にかけられる

固定資産税の延滞税を給与や銀行の資産だけで払いきれない場合は、不動産を競売にかけられてしまいます。自宅の場合は競売が完了すると引き渡し命令によって強制退去させられてしまいます。

固定資産税は必ず納税する必要があり、たとえ自己破産しても納税義務は消滅しません。

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新型コロナウイルス感染拡大で、固定資産税が払えないケースが増えている?

固定資産税は毎年支払い続けるランニングコストです。近年の新型コロナウイルスの感染拡大で、経済活動が止まったことによって収入が減り、店舗や自宅の固定資産税の支払いが困難なケースが増加しています。

新型コロナウイルスによる影響で納税が困難なケース

新型コロナウイルスの影響で固定資産税を納税できない方は地方自治体の猶予制度が利用できる可能性があります。

猶予制度とは、特定の事情によって事業を継続することや生活することが困難な場合に、地方自治体に申請することで期間猶予や一部免除がされる制度です。特に中小企業や小規模事業者に向けて猶予制度を出している地方自治体が多いです。

猶予制度を利用するためには新型コロナウイルスの影響により休廃業するなどの事情を満たす必要があるため、申請の前に地方自治体に確認をすることが大切です。

相続不動産の固定資産税が払えないケース

相続した不動産の固定資産税を滞納するケースが増えています。不動産を相続すると相続税以外にも固定資産税を納税する必要があります。

遺産分割の協議が進まずに相続先が決まらない場合や未成年が相続した場合も納税の猶予はされません。固定資産税の納付期限までに相続人の代表者や未成年の後見人などが立て替えるなど、あらかじめ決めておくことが大切です。

また相続放棄をした場合は原則として固定資産税を納税する必要はありません。相続放棄をすると不動産の所有者ではなくなり、納税の義務もなくなります。

しかし不動産だけでなく、現金や有価証券などのほかの相続も放棄することになります。

固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に対して納税義務が発生します。

1月1日までに相続放棄をできない場合は地方自治体の固定資産税の課税台帳に登録されるので、納税義務が発生してしまいます。年末に相続放棄をする場合は注意しましょう。

老後の資金不足で納税できないケース

定年退職後に固定資産税を滞納するケースも増加しています。不動産を購入するとさまざまなコストを払わなくてはいけません。

住宅ローンを完済しても固定資産税や修繕費、管理費、駐車場代などのランニングコストが家計を圧迫します。

老後の生活では年金が主な収入源です。退職前と比較して収入が半分以下になることが多いため、固定資産税などを納税することが困難になるケースが増えています。

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固定資産税が払えない場合の対処法

固定資産税が払えない場合の対処法は大きく分けて2種類あります。ひとつは国や地方自治体に相談をして分割納税や猶予の制度を利用することです。次に不動産の売却をすることです。それぞれの特徴をみていきましょう。

固定資産税を分割して納税する

地方自治体に相談して固定資産税を分割して納税する方法があります。これを分納といいます。

固定資産税は原則として4期に分割して納税することになっていますが、地方自治体と交渉することでさらに分割して納税可能な金額を支払うことを認めてもらえる場合があります。

しかし、延滞税が免除されないことに注意する必要があります。また分納の申請をして納付期限を守らずに滞納した場合は、弁明の機会を与えられずに差し押さえになることがあります。

納税の猶予や減免の手続きをする

特定の事情がある場合は納税猶予の申請ができます。

新型コロナウイルスの影響によって固定資産税の納付が困難になったら特例制度が適応される場合があります。

申請が通った場合は、納税の猶予や延滞税の免除などの支援を受けることが可能です。しかし特例を受けるためには細かい手続きや厳しい条件を満たす必要があります。

固定資産税は地方税なのでそれぞれの地方自体によって制度が異なります。お住まいの地方自治体に問い合わせしてみましょう

不動産を売却する

固定資産税を払えない状況では不動産を売却することも検討するべきです。

固定資産税を滞納し続けると最終的には差し押さえになり競売にかけられます。競売では7割程度の売却価格になる場合が多いです。

損をしないためにも競売が行われる前に売却を検討することが大切です。不動産の売却について不安がある場合には、自分だけで悩まずにお近くの不動産業者に相談することが大事です。

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