今後新しく住む場所を考えるときに賃貸住宅に住むのがいいのか、マンションや一戸建てを買って持ち家に住んだほうがいいのか悩む方は多いでしょう。
新しい場所に住む理由は、結婚・転勤・子供の教育事情や就職など様々ですが、人生の節目で住み替えを考える方がほとんどです。
今後の長い人生を見据えて、持ち家と賃貸のそれぞれのメリット・デメリットを解説するので、是非参考にしてみてください。
賃貸住宅のメリットとは?
引越しがしやすい
賃貸の一番のメリットは、「引越しのしやすさ」です。
持ち家の場合、自分の家に飽きてしまったり、住んでいる環境に違和感があったとしてもローン返済が残っていたり、買主が見つからなくてすぐに引っ越すことはできません。
しかし、賃貸であればローンの返済もなく、入退去の手続きも簡単なので、希望にかなう物件が見つかれば、すぐに住み替えることができます。
設備の修理費用がなく、万が一被災しても修繕費用がかからない
備え付けのクーラーやトイレ・お風呂などの設備が老朽化し、経年劣化が原因で故障をした場合は、基本的に修理費用は大家さんの負担になります。
万が一、地震や津波、火災などに被災してしまっても、自己負担は持ち家に比べてはるかに少なくなります。
不動産関連の税金払う必要がない
一戸建てやマンションを購入すると継続して固定資産税や都市計画税を払う必要があり、購入の際には不動産取得税、登録免許税を払う必要があります。
賃貸ではそれらの税金がかからず、基本的に賃料・共益費・更新料の支払いのみで住むことができます。
賃貸住宅のデメリットとは?
契約の更新ができないことがある
賃貸住宅の大きなデメリットは、「高齢になったときに契約を更新できない可能性がある」ことです。
賃貸は住んでいる限り家賃を払い続けますが、一定の期間で契約更新が必要です。
更新をするときに保証人を用意しなければいけないため、退職後などの高齢になると身元保証人が求められることがあり、用意できない場合には契約の更新を断られるケースがあります。
内装や設備を選べない
持ち家であれば、自分好みの内装にリフォームできるため、使い勝手がよく便利なトイレやキッチン、お風呂に変えることができますが、賃貸では自分のものではなく、大家さんのものなので、元々ついている設備を使い続けることになります。
また、築年数の古い物件では家賃が安いことがありますが、駅から遠い・騒音が気になる・インターネットの速度が遅いなど、家賃相応のデメリットがある場合があります。
退去時には原状回復費を払う必要がある
賃貸住宅では、物件を退去する際に入居時の状態に戻す「原状回復」といわれるリフォームをする必要があります。
このとき、家具を置いていたフローリングのへこんでいる箇所や冷蔵庫・レンジなどの家電をおいて壁が黒ずんでいる部分では、経年劣化に当たるものとして原状回復義務は借主にはありません。
しかし、たばこのヤニでついた壁紙の黄ばみやにおいなどは、経年劣化によるものではないため原状回復費を借主が負担することになり、結果的に引越し費用が高額になることもあります。
家賃を払い続ける必要がある
賃貸住宅に住み続けている限り、一生家賃を払い続けなければなりません。
退職後の収入が減った状態で家賃を払い続けるとなると、経済的負担が大きくなる可能性があります。
また賃貸のため、自分の資産にならず、配偶者や子・孫などに相続することができないのも、予め考慮すべきことです。
持ち家のメリットとは?
自分の好みに作ることができる
持ち家最大のメリットは、自分好みにリフォームでき、注文住宅などの場合、新築で建てる時にある程度自由に作ることができる点です。
内装も賃貸であれば選べませんが、持ち家ならば無垢の天然素材など、好みや予算に応じて選べます。
キッチンやお風呂などの水回りの設備も、使い勝手やデザインなどをライフスタイルに合わせてお好みのスタイルに仕上げることが可能です。
ローンを払い終えればお金の負担が軽くなる
賃貸では一生家賃を払わなければなりませんが、持ち家であればローンを完済すれば、その後の住居にかかる費用を抑えることができます。
持ち家のデメリットとは?
ここまでは持ち家のメリットをみてきましたが、当然ながらデメリットも存在します。
具体的にどんなものがあるのか、チェックしていきましょう。
気軽に引っ越すことができない
持ち家の大きなデメリットは、引越しを気軽に行うことができない点です。
勤めている会社で地方に転勤をすることになったときに気軽に引っ越すことができず、単身で地方に赴任をするというのは、よく聞くケースです。
住宅設備の修理、改修費用がかかる
当たり前ですが、持ち家では経年劣化した設備の改修・修理の費用をすべて自分で払わなくてはなりません。
水道やガスなどの設備の寿命は約15年といわれており、修理するタイミングが重なれば大きな出費となります。
相続のときにトラブルになるケースがある
不動産は分割をすることが難しく、トラブルに発展するケースがあります。
例えば、子供が2人以上いる場合、資産の分割がスムーズにいかず、取り分を巡って争うケースもめずらしくありません。
また、遠方に子供が住んでいる場合は、相続の話し合いが長引き、決着がつくまでの間の維持費や固定資産税の支払い、メンテナンス費用を負担し続けるケースもあります。
賃貸と持ち家、それぞれのメリット・デメリットについて、確認してきました。
ここからは、双方の特徴を把握したうえで、それぞれどのような人におすすめなのか、具体的に解説します。
賃貸住宅がおすすめな方とは?
転勤が多く住む場所が定まっていない方
勤めている会社の転勤が多い方や、退職まで社宅や賃貸に住んでおり、その後老人ホームの入居を考えている方に向いています。
収入にばらつきがあり、出費をコントロールしたい方
収入が景気に左右されやすく、ばらつきがある方は賃貸が向いています。
持ち家は最悪の場合、自分の家を売却することになるので、出費のコントロールしやすい賃貸のほうがおすすめです。
持ち家がおすすめな方とは?
収入が安定しており、退職までにローンの完済が見込める方
住宅ローンは、完済まで長い間払い続けなければなりません。
収入が安定して定年での退職までに完済が見込める方に向いています。
4部屋以上確保したい方
部屋数をなるべく確保したい方は、賃貸住宅よりも持ち家の方がおすすめです。
賃貸では4LDK以上の物件は少なく、例えあったとしても、自分の住みたい地域ではなかったりするなど、物件探しに苦労することがあります。
その点、持ち家であれば部屋数を多く作ることができるため、部屋数をしっかり確保したい方に向いています。
不動産として資産にしたい方
配偶者や子供、孫などの子孫に不動産を相続して財産として残していたい方には、家を持つ方が向いています。
持ち家は社会的信用にもつながりますし、持ち家を担保に資金の借り入れをすることができます。
ライフスタイルによってリフォームをしたい方
持ち家は、将来的にリフォームをしたいと考えている方にもおすすめです。
子供が増えたときには、物をたくさん収納できるよう収納を増やしたり、子供が大きくなったときには2世帯住宅としてリノベーションしたりするなど、ライフスタイルの変化に応じて臨機応変に対応できます。
老後には、安全に暮らしやすくバリアフリーな家にすることも可能でしょう。
まとめ
「賃貸VS持ち家」ではどちらにもメリット・デメリットがあります。
2018年の総務省統計局の都道府県別でみる住宅状況~住宅及び世帯に関する基本集計(確報値)~によると、全国で持ち家と賃貸の住んでいる比率は、持ち家が61.2%、賃貸が35.6%です。
比較的持ち家に住んでいる人が多く、賃貸が少数派になります。
持ち家・賃貸、それぞれの特徴を踏まえたうえで、お金の面だけでなく、ご自身のライフスタイルや将来設計を明確にし、いろいろな視点から検討してみてはいかがでしょうか。