地盤改良とは

新築や建替えの際に外構や建設の工事の見積もりを取るかと思いますが、家を建てる側の工事に目が行きがちで、家を建てる前の地盤改良をするための費用に目を向けられていないことが多くあります。

今回は、地盤改良の工事が必要となる理由と必要な費用、工事の内容について解説します。

地盤改良とは

災害の多い日本では、住宅を建てるときに地盤の強さがとても重要視されます。
地盤が弱いと安全に建物を支えることができずに、時間が経過するにつれて地盤沈下を起こしてしまうため、建物が倒壊する危険性が非常に高まります。

そのような事態を避けるために、住宅の基礎とも言える地盤を強くし、安全に支える地盤にするための工事を「地盤改良工事」と言います。

地盤改良が必要なのはどんな土地?

田んぼを宅地にする場合

田んぼは、雨水をためるために低い位置に造られることが多いです。
水が染みこむことが多いため、地盤が弱くなりやすく、地盤改良が必要になります。
家を建てるときには土を大量に盛り込まなければならず、一般的な住宅地に比べて造成費用が高額になります。

また、地盤改良費用には地下の地盤が強い地層が深く関係します。
強い地盤が浅ければ比較的安く済み、30坪前後の2階建ての家ならば60万円~100万円程度です。
強い地盤が10m程深ければ価格は高額になり、100万円~150万円ほどに上ります。

一度掘り起こした土地

工場の跡地などであれば、一度土地を掘り起こして盛り土を行われることが多く、盛り土を行うことで地盤が弱くなります。
その結果、地盤の改良が必要となります。

また盛り土をしている土地は地盤が弱く、地盤沈下を引き起こす可能性が高くなるため、通常の地盤改良工事では対応できず、高額になってしまうケースが多々あります。

地盤改良の前にまずは地盤調査

地盤調査とは、建物を建築する際に地盤を調べて強度などを確認することです。
家を建築する前に地盤調査を行い、家を支えられる地盤であるかどうかを判断し、必要に応じて地盤改良工事を行います。
どれだけ耐震性のある地震に強い家を作ったところで、家を支える地盤が弱ければ上に建つ家は揺れ、液状化を起こして沈み込んでしまうからです。

地盤調査の方法とは

SWS(スウェーデン式サウンディング)試験

調査の費用は5万円ほどで、住宅の設計ができたら、建物の四隅と中心となる場所の合計5カ所の強度を測定する方法です。
先端がスクリューのように尖っている鉄の棒を地面に立て、棒の上におもりを少しずつのせながら地面にねじ込んでいき、深さ25cmまで入る重さを記録します。
100kgのせても25cmに届かなかった場合、棒についているハンドルを回転させ25cmまで到達する回転数を記録します。

こうして得たおもりの重量やハンドルの回転数から、N値(地盤の強度)を算出します。
N値とは数字が高いほど地盤に強度があるとされ、一般的な一戸建てではN値が5以上あれば良好な地盤だといえます。

ボーリング調査

おもに分譲マンションや商業ビルなど建物の重量が重く、3階建て以上の建物を建てる際に用いられる地盤調査の方法です。
費用は深さや掘る箇所数によって異なりますが、住宅では25万円~35万円前後です。
ボーリング調査では地盤の強度を地質から調べることができ、支持層と言われる強固な地層に到達するまで地面をくりぬく(ボーリング)ことでN値を計測します。

また同時に地層のサンプルを取ることで、それぞれの深さにどのような土があるかも調べられます。
ボーリング調査を行うと地盤の強度を調べられるほかに、地下の水がどこに流れているか地盤自体が横にどれだけ動くかが分かります。

地盤改良工事の種類とは?

表層改良工法

表層改良工法とはセメントを使い、地表の周りを固める地盤改良工事です。
地盤の弱い部分が浅く2mほどまでの場合に使われる工法となり、表面の弱い地盤部分を掘り、セメント系固化剤を土に混ぜて戻し、十分に締め固めて地盤を強化します。

メリット

改良する深さが比較的浅く、また小さめの重機でも工事の施工ができるため安価になります。
また地中に石やコンクリートが混ざっていても施工ができるのはメリットの一つです。

デメリット

勾配がきついような土地には向いておらず、施工が難しくなります。
地盤改良工事の施工業者が実績を積んでいなければ仕上がりの強度に影響があるため、注意する必要があります。

柱状改良工法

柱状改良工法は、円柱状に固めた杭で地盤を改良する地盤改良工事のことです。
地盤の軟弱な部分が地中の2m~8mの場合に使われる工法で、地中に60cmほどの穴を開けて掘り進め、強い地盤まで掘ります。
地盤を掘った後に水とセメントを土と混ぜて埋め戻し、円柱状の強い地盤を築くことで地震の際に作った柱と土が摩擦を起こすため、建物の揺れが抑えられます。

メリット

表層改良工法よりは高額ですが、柱状改良工法も安い地盤改良の工事となっています。
また強い地盤がなくても、施工ができる可能性があるのもメリットになります。
しかしセメントを流し込む地質によってはセメントが固まりきらず、固化不良になることもあります。

デメリット

施工した後、もとの地盤に戻すことが難しいことがあります。
もとの地盤に戻すことが難しいと将来土地を売却したいときに土地価格が下がってしまい、また解体の費用も高額になってしまいますので注意してください。

小口径鋼管杭工法

小口径鋼管杭工法は、地面の中から鋼管で建物を支える地盤改良工事です。
地中30mまで地盤の補強ができるようになり、地中の深くにある強い地盤に鋼管の杭を打ち、建物を安定させます。
さまざまな場所で行うことができ、重機の搬入がしにくいような土地での工事にも適しています。
また工事の日数も1~2日程度で終わるため、短い時間で工事を終わらせたい方におすすめです。

メリット

小口径鋼管杭工法は施工後の地盤の強度が他の工法に比べて高い点がメリットになります。
また3階建てなどの重量のある建物にも対応ができます。

デメリット

地盤が強い支持層がなければ施工ができず、工事中は騒音や振動が発生するので、ご近所への配慮は必要になります。
さらに柱状改良工法と同じ条件で施工をするのなら、小口径鋼管杭工法の方が高額になる点は注意が必要になります。

まとめ

地盤調査や地盤改良工事の方法について、詳しく解説してきました。
地震や災害の多い日本では、安全な家を建てるためには、地盤の強さは重要です。
これから新築を建てたいとご検討されている方はぜひ、知識として頭の片隅に入れておくことをおすすめします。

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