固定資産税の計算方法|知っておきたい5つの軽減措置についても解説

土地・建物を所有していると、毎年所在地の市区町村に固定資産税を納税する必要があります。固定資産税は、1月1日時点において、土地・建物、事業用資産などの償却資産を所有している人に課される税金です。

固定資産税は、土地・建物を購入した年の翌年の4月から6月に納付書が送られてくるために、納税があることを忘れてしまい、慌てて金額を確認する方も多いようです。

今回は固定資産税の確認方法、計算方法、そして軽減措置のうち代表的なものを紹介します。
納税前にしっかりと資金計画を立てられるように、今回のコラムを参考にしてみてください。

固定資産税評価額・納税額を確認するための方法

自己が所有している土地や建物の固定資産税評価額・納税額は、毎年自治体から送られてくる固定資産税納税通知書を確認すればわかります。
通知書には、同じ市区町村内に所有している土地・家屋の一覧が表示され、それぞれに評価額と納税額が記載されています。 

不動産を購入したばかりでまだ納税通知書が送られてきていない場合には、自治体の担当窓口を訪問することで、固定資産税台帳を閲覧することができます。
台帳には、地番ごとに評価額が記載されているために、納付書が送られてくる前に正確な情報を把握することができます。

また、中古住宅を購入した場合には不動産登記の時に「評価証明書」が必要になります。
前の所有者が不動産会社を通じて司法書士に提出しているかもしれませんので、不動産会社に確認すれば評価証明書のコピーを入手することができる場合があります。

固定資産税をシミュレーションしてみることは可能か

購入してから数年が経過していれば、固定資産税額は前年度の通知書・納付書を計算すればおおよその税額がわかります。

しかし新築の建物を購入・建築した場合には、前年度の通知書がありません。
このような場合に、おおよその税額を知るためにはどうしたらよいのでしょうか。 

固定資産税の計算方法

まずは、固定資産税の計算方法について確認しておきましょう。 

(固定資産税額)=(課税標準額)×1.4% 

課税標準額とは、評価額に色々な特例措置や軽減措置を考慮して算出された評価額です。

 固定資産税評価額はどのように決定されるのか

土地の評価額は、「路線価方式」もしくは「標準宅地比準方式」によって決定されます。

「路線価方式」とは、土地の前面道路について1㎡あたりの評価額を決定し、その評価額に地積を乗じて評価額を算出する方法です。
地図上に1㎡あたりの評価額を付した表を「固定資産税路線価表」といい、市区町村によってはインターネット上に公開されています。

路線価に㎡数を乗じた評価額に、実務では土地の特殊性(奥行の長さ、不整形地、がけ地など)によって評点(0.9、0.8など)をつけて評価額を補正することによって決定しています。

「標準宅地比準方式」は郊外や山地、田畑などの土地の評価に用いられる方式です。「標準宅地」の評価額を市町村が決定して、標準宅地の平米当たりの単価に地積(㎡)を乗じ、土地の用途(宅地・畑・牧草地など)ごとに補正係数を考慮のうえ算出します。

この評価額は、公示地価の70%を目安に決定されます。 

家屋の評価額の決定方法は土地に比べると複雑です。

住宅の基礎、外壁、屋根の建材や構造によって「評点」という点数が定められており、評点の合計に建物の老朽化や物価の水準などを考慮した補正をすることで算出します。

評点は建物を再建築するときにどれぐらいの費用がかかるかという観点から、建物の構造ごとに分類して点数化したものです。

この評点を基に評価額を計算すると、新築価格の70%から80%の評価額になることが多いようです。 

固定資産税の5つの軽減税制

固定資産税は課税標準に1.4%を乗じて算出されますが、土地について公示地価の70%、建物について新築価格の70%を目安に固定資産税を計算してみると、思ったより税額が高いということに気づくかもしれません。

これは、固定資産税の軽減措置が考慮されていないためです。

自宅として土地・建物を購入したときには、さまざまな軽減措置を適用することができますので、順に確認していきましょう。

新築住宅の軽減特例

マンションや一戸建ての新築住宅を取得した場合、床面積の要件や住宅の用途・構造などの要件を充たすことで、家屋の固定資産税が以下のように軽減される特例があります。 

住宅の種類 床面積の要件 期間 軽減特例の
内容
一戸建て 50㎡以上
280㎡以下
(※1)
3年間 2分の1
マンション等
区分所有住宅
50㎡以上
280㎡以下
(※1)
5年間(※2) 2分の1
共同住宅の貸家 40㎡以上
280㎡以下
(※1)
5年間(※2) 2分の1

 

※1 1戸当たり120㎡までの部分が限度
※2 3階建て以上の耐火・準耐火建造物の場合 

住宅が長期優良住宅に認定された場合には、さらに2年間延長され、5年間(3階建て以上の耐火・準耐火建造物の場合は7年間)固定資産税が2分の1となります。 

住宅用地における軽減特例

購入した一戸建ておよびマンションの土地部分の固定資産税について、以下のような住宅用地の軽減特例が用意されています。 

1戸当たり200㎡以下の部分 6分の1
1戸当たり200㎡を超える部分 3分の1

駐車場や資材置き場などの用途で賃貸している土地は、固定資産税が高額になる場合があります。そのため土地活用方法を共同住宅の経営をする手法に切り替えて税金を安くするということもよく行われています。 

省エネリフォームを行ったときの軽減措置

断熱材の交換、断熱サッシへの変更、窓を二重ガラスにするなど熱効率の省エネに関するリフォーム行った場合には、住宅の床面積が120㎡の部分を限度として固定資産税額の3分の1が減額されます。

築年数や工事の種類、工事金額などの所定の要件を満たすことで、リフォーム工事の翌年度分に限り適用される軽減措置です。

バリアフリーに関する住宅改修を行ったときの軽減措置

車いすが利用できるように廊下を拡張した、玄関や部屋の段差を解消した、浴室やトイレ、階段に手すりを設置したなど、バリアフリーに関するリフォーム工事を行ったときには翌年に限り1戸当たり100㎡の部分を限度に固定資産税額の3分の1が減額されます。

65歳以上の方や要介護の方が入居しているなど所定の要件を満たす必要があります。

耐震改修を行ったときの軽減措置

昭和57年1月1日以前から所在する建物について耐震改修を行った住宅については、工事を行った年の翌年に限り、120㎡までの部分を限度に固定資産税の2分の1が減額されます。長期優良住宅の場合には3分の2が減額されます。

建築士や指定確認検査機関による証明書を取得すること、工事金額が1戸当たり50万円を超えることなどの要件を充たす必要があります。 

固定資産税についても年間の資金計画にいれておきましょう

令和3年度は評価額の評価替えの年度です。評価替えがあっても土地については大幅な不動産市場の悪化などの要因がないと評価が下がることはありませんが、家屋については築年数が経過すると評価が下がる可能性があります。

納税通知書をチェックして評価額が変わっていないか確認してみましょう。

固定資産税は年1回のみの納税であるために、忘れてしまいがちです。納税通知書が送られてきてから資金繰りを考えるのではなく、予め資金計画に入れておくことで、計画的な納税を心がけましょう。

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