空き家の発生を抑制するための特例措置!空き家売却特例とはどんな制度?

少子高齢化や、働き場所の問題、若者たちが都会に出ていくことで各地で空き家問題が深刻化しつつあります。

手入れができていない庭の木が伸びて隣の家の土地に侵入していたり、害虫の住み家になっていたり、周りの住民に迷惑をかけていることもあります。

空き家問題は地方だけでなく、都市部でも増えており、権利関係や相続の問題などが複雑な場合が多く、それが原因で空き地のまま放置されているケースがあります。

この問題を解決するために2016年に「空き家売却特例」が制定されました。

「空き家売却特例ってどんな法律なの?」
「どういう利点があるの?」
「空き家があるんだけど、お得に売却したい。」
という疑問をお持ちではありませんか?

そこで、この記事では「空き家売却特例」に関する疑問を、中立的な立場ですっきり解決します。

法律や税金は少し難しく感じるかもしれませんが、そういうことが苦手な人のためにできるだけ分かりやすく紹介しています。

空き家売却特例を利用するには条件もありますが、利用できる場合は大きな節税になるので、ぜひ最後までご覧ください。

更地にするよりも住宅がある方が固定資産税が安いって本当?

土地や建物を保有していると固定資産税がかかります。しかし、固定資産税は空き家の場合は住宅用地の軽減措置特例が適応されるので1/3~1/6に減額されます。

この軽減措置特例を受けるために、住宅を相続したとき、更地にせずに空き家のままにしておく人が多く見られます。

定期的に管理をしていればいいのですが、管理ができていない場合、近隣住民の迷惑になることもあり問題になっています。

節税のための空き家でも、状態が悪い場合には「特定空き家」に認定され、特例が適用されなくなってしまいます。固定資産税が3倍から6倍も上がってしまうなんて驚きですよね。

空き家の管理には十分ご注意ください。

固定資産税のために空き家があることの弊害

固定資産税が高くなることを懸念して、更地にせずに空き家になっていることで、近隣住民にはさまざまな弊害を与えていることがあります。

・老朽化した家屋や、雑草など景観が悪くなる。
・住宅の価値が下がる。
・粗大ごみの不法投棄や悪臭の原因になる。
・放火の原因になる可能性。
・土地や建物が有効に活用されない。

また、固定資産税の節税を目的に空き家を放置した結果「特定空き家」に認定され、固定資産税の支払額が上がる可能性もあります。

「特定空き家」に認定されないためには下記のようなことに気をつけましょう。

・そのまま放置すれば倒壊の恐れがあって危険であること。
・そのまま放置すれば衛生上、有害になる可能性があること。
・適切な管理が行われていないこと。
・著しく景観を損なっている状態であること。
・近隣住民や通行人の生活環境の保全に不適切であること。

家は誰も済んでいない場合、定期的にメンテナンスをしないといけません。

ご自宅を無料で査定します
無料価格査定はこちら

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例とは

戸建て住宅の空き家を減らすために2016年から2023年までの暫定的に行われている制度で「相続空き家の3000万円特別控除」があります。この特別控除でなんと、最大600万円も税金が変わります。

相続や故人の遺産により受け取った住宅や土地を売ったとき、一定の条件をクリアした場合に、譲渡所得税の金額が最高3000万まで控除を受けることが可能です。

対象期間

住居用の土地、または建物の売却時期が、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの場合、空き家に関わる所得の特別控除の特例を受けられる可能性があります。

住居用の土地と建物を相続してから3年を経過する日が属している年の12月31日までに建物、もしくは取壊し後の土地を譲渡した場合が対象です。

条件

空き家売却特例で譲渡所得税の控除を受けるためには下記の条件を満たしていなくてはいけません。

・昭和56年5月31日以前に建築されていること。
・家屋のみ又は家屋の敷地のみの相続ではないこと。
・分譲マンションは対象ではないこと。
・譲渡価値、売却価格が1億円以下であること。
・相続以降、事業用や貸付用など、人に貸したことがないこと。

必要書類

特例の控除を受けるためには必要な書類があります。

・譲渡所得の内訳書
・売却した資産の登記事項証明書等
・被相続人居住用家屋等確認書
・耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写し
・売買契約書の写し

あまり聞きなれない書類が多いですが、書類が揃っていないと特例を受けられません。どうしても手元に書類がない場合や、分からない事があれば税についての相談窓口や市役所などで相談するといいですね。

譲渡所得の計算するには

譲渡所得金額=土地等や建物を売った金額-取得費-譲渡費用

「土地等や建物を売った金額」から「取得費」と「譲渡費用(仲介手数料や売買契約書の印紙代などを含む)」を引いた金額が「譲渡所得金額」です。

さらに、譲渡所得金額に税率をかけたものが譲渡所得の税金になります。

不動産に関するお問い合わせは
ファミリアホームサービスまで

無料価格査定はこちら

空き家売却特例の適用が受けられるか

空き家売却特例の適用が受けられるかどうかは、ほかにも細かい条件がありますので国税庁のチェックシートを参考にするか、「税についての相談窓口」に相談するといいと思います。

国税庁HPのチェックシートはこちらから
https://www.nta.go.jp/about/organization/fukuoka/topics/joto_zoyo/pdf/04.pdf

空き家売却特例の申告方法

空き家売却特例を申告するためには、上記で説明した必要書類とともに、確定申告をする必要があります。

「確定申告書付表兼計算明細書」を土地と建物分の両方、「譲渡所得の内訳書がわかる書類」と「登記事項証明書等一定の書類」を添付する必要があります。

確定申告には「措法35条3項」と記載します。

土地・建物の登記事項証明書の請求に関してはオンラインでの請求も可能です。必要書類が分かりづらい場合は「税についての相談窓口」があるので電話で相談することができます。

不動産に関するお問い合わせは
ファミリアホームサービスまで

無料価格査定はこちら

老人ホームに入居していた場合の要件

2019年4月1日以後の譲渡を対象として、老人ホームに入居する場合も特例の対象になるように税制改正による見直しがありました。

今までは相続開始直前まで居住していたことが条件の1つでしたが、老人ホームへの入居する場合も空き家売却特例の対象になることで、対象になる人も増えそうです。

老人ホームとは具体的に認知症対応型のグループホームや養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付きの高齢者向け住宅、介護医療院、障がい者支援施設などのことをいいます。

注意点

老人ホームに入居直前に、介護保険法に規定する要介護認定や要支援認定、障害支援区分の認定のいずれかを受けていなくてはいけません。

そして、老人ホームやグループホームに入居する前までは、その家に居住していたこと、老人ホームに入居している間は、その家屋が空き家だったことが条件になっています。

まとめ

空き家の発生を抑制するための特例措置として、制定された「空き家売却特例」について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

2016年から2023年の暫定的な措置ですが、適用されると大きな節税になります。

それを機に、空き家をそのまま管理し続けるのか、それとも売却してしまうのか、など考えてみるといいですね。

不動産売買の相談や、住宅に関する税金のことなど「こういう場合はどうなんだろう」と思った時にはぜひご相談ください。

不動産売却に関する
Q&Aはこちら

不動産売却Q&A